吾妻ひでおおすすめの漫画ランキング

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吾妻ひでおおすすめの漫画ランキング

かつては失踪騒ぎを起こしたりアルコール依存症に悩まされたりと、ドラマチックな人生を歩んできたマンガ家です。50歳を越えたあたりからはようやく平穏無事な日々を送っているらしく、年齢を重ねるごとにマイナーチェンジしていく作風が魅力になります。吾妻ひでおさんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第5位.吾妻ひでお「ぶらぶらひでお絵日記」

吾妻ひでお「ぶらぶらひでお絵日記」がおすすめの理由

2012年の2月29日に、角川書店から刊行されています。2008年の6月から2009年の6月までの1年間に渡る、著者のありきたりな日常生活の風景やごく些細なハプニングが映し出されていく作品です。元々はホームページの絵日記を纏めて2011年に自費出版して、通販サイトのみで限定販売されていました。著者自らが大手の出版社まで足を運んで熱心に担当の編集者に売り込んで、ようやく本格的な発表に漕ぎ着けています。可愛いらしい女子高校生のスケッチと、私小説風の淡々とした文章が交互に映し出されていくスタイルです。巻末には担当編集者による著者へのインタビューの他にも、あとがきとしてショートコミックも収録されています。知人の展示会に足を運んでみたりある日突然にギター教室に通い始めてみたりと、毎日の中で趣味と自分の視野を広げることの大切さが伝わってきました。驚くほどの沢山の小説・漫画を、アイスクリームを食べながら好きな本を読んでみる細やかな幸せには共感出来ます。執筆当時秋葉原で発生した無差別殺傷事件にも言及されていて、社会派コミックとも言えるでしょう。

 

 

第4位.吾妻ひでお「メチル・メタフィジーク」

吾妻ひでお「メチル・メタフィジーク」がおすすめの理由

「メチル・メタフィジーク」は、1980年の7月10日に奇想天外社から刊行されている作品集です。表題作の「メチル・メタフィジーク」から「こうして私はSFした」までの、バラエティーに富んだ5編を収録しました。現実の世界から目を背け続けてただただモラトリアムに走る、若き日の著者自身を投影したかのような主人公の姿がユーモアたっぷりになります。締め切りのある仕事はプレッシャーになるため全て断ってしまい、マイペースに執筆活動に取り組んでいく今現在の著者の姿が思い浮かべてしまいました。コタツで寝っ転がりつつ、喫茶店でダラダラとネームを考えているシーンが印象深かったです。プロレスラーから映画監督までの多岐にわたるジャンルの異才との、幅広い交流も垣間見えます。フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」からジョン・ウィンダムの「さなぎ」まで。古今東西の海外SFにまつわるさり気ないパロディーやオマージュが満載ために、普段はマンガを読むことのない活字派の方たちにも是非とも手に取ってみてください。

 

 

第3位.吾妻ひでお「地を這う魚 ひでおの青春日記」

吾妻ひでお「地を這う魚 ひでおの青春日記」がおすすめの理由

「地を這う魚 ひでおの青春日記」は、2009年の3月9日に角川グループパブリッシングから刊行されている自伝的コミックです。北海道の浦幌町から東京へとやって来た、若き日の著者自身のエピソードが幻想的なタッチから描き出されていきます。実在するマンガ家や志半ばで夢破れていった無名の青年たちが、次から次へと顔と名前を変えて登場する独特な作品です。画面の隅っこをウロチョロとする、グロテスクな外見のキャラクターにも不思議な愛着が湧いてきました。担当編集者との綿密な打ち合わせや出版社への原稿持ち込みなど、自らの夢を叶えるために努力する姿には励まされました。図書館で次回作の資料探しをするはずが、いつの間にか読書に夢中になってしまうエピソードも微笑ましく映ります。プライベートな趣味と生活のための実益が、微妙なバランスと距離感を保っていて心地よかったです。自分の好きなイラストを描くだけで生活出来てしまうのは羨ましいですが、その一方では締め切り間際に不眠不休で執筆活動に明け暮れる過酷な現場も垣間見ることが出来ました。

 

 

第2位.吾妻ひでお「不条理日記 SFギャグ傑作集」

吾妻ひでお「不条理日記 SFギャグ傑作集」がおすすめの理由

1979年の12月に奇想天外社から刊行されている作品集です。毎年SFファンクラブの投票によって選ばれる「星雲賞」の、1979年度コミック部門に輝きました。「失踪日記」や「アル中病棟」に代表されるような、後の大作へと繋がっていくエピソードが赤裸々に綴られていきます。「自分でも何を書いているのかサッパリわからない」と開き直るほどの、シュールなストーリーと乾いた笑いが見所です。著者が生まれ育った北海道への、ノスタルジーに満ち溢れた思いも伝わってきます。「しっぷーどとー篇」、「SF大会篇」と回を重ねていくにつれて予測不可能となるストーリー展開に引き込まれていきます。「何も思いつかない」と繰り返し呟きながら、厭々ながら執筆に励んでいる著者の後ろ姿が哀愁たっぷりです。 名古屋市内で開催されたSF大会で、これまでの鬱憤を晴らすかのような大暴れを披露する場面も痛快無比です。厳しい現実に打ちのめされながらも、険しいベストセラーへの道のりを歩んでいくクライマックスでの決意には強く心を揺さぶられるものがありました。ギャグマンガがお好きな方たちばかりではなく、海外のSF映画や小説に造詣が深い皆さんも是非とも手にとってみて下さい。

 

 

第1位.吾妻ひでお「失踪日記2 アル中病棟」

吾妻ひでお「失踪日記2 アル中病棟」がおすすめの理由

2013年の10月6日にイースト・プレスから刊行されています。前作「失踪日記」から8年の時を経て発表された作品になり、著者による更なる衝撃的な告白が見所です。毎日のようにお酒を飲んでいて、現実の世界と妄想との間を彷徨いながら描いたかのようなタッチには驚かされました。震える手で一升瓶から焼酎をグラスに注ぎつつ、畳の上を通り過ぎていく大名行列を眺めているシーンが圧巻です。売れっ子マンガ家として順風満帆な人生を歩んでいたはずの著者の、突然のスランプとすさんでいく日々の生活ぶりには胸が痛みます。その一方では自らの何気ない日常を綴った絵日記の中に、再起への小さな期待感が高まっていました。自分自身に降りかかる災難を、創作活動へのエネルギーへと転換していくことを学ぶことが出来ます。アルコールにはきっぱり別れを告げながらも、禁煙の方はサッパリ上手くいかないほろ苦いエピソードもありました。本書に登場する「心の隙間を埋める物が必要である」のセリフ通りに、お酒に代わる嗜好品はある程度大目にみるべきなのかもしれません。

 

 

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