岡崎京子おすすめの漫画ランキング

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岡崎京子おすすめの漫画ランキング

私が十代二十代とどっぷりハマっていた漫画家だからです。割とシンプルな絵で、その時の空気みたいなものを切り取ってくるのがうまい漫画家さんです。たかだか一瞬の空気なのですが、どの一瞬も永遠に残るような空気でした。九十年代に事故に遭い、それ以降は目立った活動はありません岡崎京子さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第5位.岡崎京子「ジオラマボーイ パノラマガール」

岡崎京子「ジオラマボーイ パノラマガール」がおすすめの理由

私が一番最初に触れた岡崎作品です。とにかく軽さと空気感が特徴的だと感じました。89年に出版された本です。赤い変わった装丁の本で、手に取ると変わったスタイルの絵が書いてありました。単純に下手だとは言えない絵で、デザインと個性が際立っていました。特に笑った顔や泣いた顔がすごく魅力的でした。物語は男の子と女の子との恋愛なのですが、意図して中身のあまりない二人の恋愛が描かれていました。会話も絶妙でした。人間性の希薄さや、大きな試練にぶち当たらない少年少女を描くためにいろんな仕掛けがしてありました。無造作に何かが引用されていたり、ストーリーの無造作な破綻や、少し力技の展開などがそうです。主人公のケンイチとハルコについてはすごくプレーンな感じで、キャラとしては濃くありません。長編二作目でこの様な複雑な仕掛けを成り立たせてしまう岡崎京子の才能はやはりすごいと言わざるを得ません。この作品で重要になってくるのは、脇役キャラクターです。生き生きとしゃべる脇役キャラは岡崎作品の特徴です。ストーリーと主役のキャラクターをグイグイ埋めてきてとてもいいです。

 

 

第4位.岡崎京子「チワワちゃん」

岡崎京子「チワワちゃん」がおすすめの理由

先日電子書籍版の「チワワちゃん」を買ったぐらいに好きな本です。今見るとちょっと濃い表紙がとてもいいです。短編集ですが、好きな短編が多いです。中でも映画にもなった「チワワちゃん」が私はとても好きです。小さくてキュートでしかもナイスバディーで、といったような女の子、通称チワワちゃんについての短編です。チワワちゃんは死にます。それも死体はバラバラにされ捨てられていたという悲惨な最後です。しかも誰がやったかはわかりませんし、当然犯人も捕まりません。そういうゴロッとした不安とか、人の死について考えさせる作品です。岡崎作品には本当に頭がバカでたまらない幸せそうなひとが出てきたりもするのですが、基本的に人間の空疎さみたいなものがテーマです。この作品は象徴的な作品だと思います。それにしても生前の彼女と面識のあった人たち。最後らへんで集まってくるのですが、本当に九十年代の空気を背負っているようで懐かしいです。あのころはああいうふうな人たちが色んな所にいたよ、というだけでも読む価値があります。それっぽい人たちをさらっと自分の漫画に登場させる岡崎京子はすごいです。

 

 

第3位.岡崎京子「ヘルタースケルター」

岡崎京子「ヘルタースケルター」がおすすめの理由

大きな破綻を感じるからです。岡崎さんがこの作品の最後の原稿チェックを行っていたときに事故にあわれました。そして長い間作品が刊行されませんでした。この作品は主役のリリコに尽きる。リリコは大きな破綻そのものです。自己中心性、強烈な欲望、執着、自己愛、残忍性、他社への攻撃性など、強烈なエンジンを始終ふかしている感じです。ロケットみたいな推進力で駆け抜けていき、爽やかさはこれっぽっちもない。職業は大人気のモデルだけど、全身整形サイボーグです。ものすごいプロ意識でぎりぎり自分を保っている。私は岡崎作品に出てくるキャラの力のない空疎さや力の無さが好きなので、こういうキャラクターはどちらかというと苦手です。しかしリリコに関しては目をそらせないという意味で好きです。登場のときから破綻が予定されているキャラクターはすごく悲しい感じがします。主人公と対比されるキャラクターはたくさん出てきますが、主人公が魅力的なだけにどのキャラも映えます。中でも私のお気に入りは検事の麻田です。一人だけとにかく飄々としているところが気に入っています。

 

 

第2位.岡崎京子「東京ガールズブラボー」

岡崎京子「東京ガールズブラボー」がおすすめの理由

とにかく何回も読みました。読むたびにハッピーになる作品。主人公の金田サカエちゃんの勢いと元気さにやられていました。地方に住んでいる私は、この作品を読んで東京に憧れを持ちました。物語の舞台は八十年代、テクノとかがちょうど流行っていた頃の話です。地方に住んでいてテクノやニューウエーブの同人誌をしているサカエちゃんは、東京に大きなあこがれを抱いています。サカエちゃんが東京の親族の家にやっかいになる形で東京にやってくるところから物語は始まります。当時のかっこいいとされたスポットの情報も好きでしたし、音楽などを中心とした文化全般に対しての敬意ある語り方も好きでした。でもなんといっても金田サカエちゃんのバカエピソードとかがセンス良く書かれていたりして、私にはたまりませんでした。読んだ当時地方はどうしても情報が足りなくて、都会の情報に飢えていましたから。九十年代に読んだ岡崎京子さんの漫画はとてもおしゃれなイメージがあり、住んでいる地方都市から私を連れ出してくれるようなパワーが有りました。本当にかっこいい、岡崎京子さんの到達点の一つです。

 

 

第1位.岡崎京子「リバーズ・エッジ」

岡崎京子「リバーズ・エッジ」がおすすめの理由

ぞくぞくと背筋が寒くなるような名作です。すごいものを読んでしまったと私は思いました。この作品は奇跡的な名作だと思います。九十年代の日本の漫画会を代表する様な作品です。「リバーズ・エッジ」は何度も読み直しましたが、読み返す頻度は「東京ガールズブラボー」に比べると低いです。理由はつまらないからではなく、ダメージがあるからです。この作品はハッピーなものではありません。舞台は九十年代の郊外です。たくさんの鬱屈が溜まっているような場所での若者たちの物語です。若者たちはほぼ全員空疎です。真剣に生きていてもどこか頼りなく、勢いもありません。そして逃げる場所もありません。たくさん出てくるキャラクターたちも、特別な人間は少ないです。ある種の諦念みたいなものを抱えた少年少女たちばかりが出てきます。物語に死体が出てきます。少年少女たちの生活と対比されて、大きな効果を出しています。登場人物たちは九十年代にそこら中にいただろう子たちで、趣味なんかも当時の嗜好をストレートに反映しています。当時の鬱屈した空気について知るための手がかりになる漫画とも言えるかもしれません。

 

 

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