矢口史靖監督おすすめ映画ランキング

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矢口史靖監督おすすめ映画ランキング

コメディ監督として、振り切った演出で笑わせてくれる印象が強いけれど、貶める笑いではなく、対象を愛してやまない感じが伝わってきて、笑ってても気持ちいいです。最近は、普通に働いて暮らしている人々を温かく描いた作品が増えて、コメディの枠を越えた独自のジャンルを築きつつある気がします。

 

 

第5位.矢口史靖「ひみつの花園」

矢口史靖「ひみつの花園」がおすすめの理由

樹海に眠る5億円を手に入れるために、ありとあらゆるスキルを身につけていく女性の猛進を描いたジェットコースターコメディ。矢口監督初期の作品で、いかにも低予算ぽいシュールな笑いをちりばめつつ、思いきりのいいエンタメに徹した個性が光る痛快作です。ヒロインが銀行強盗に遭い、爆発に巻き込まれて生還するオープニングからして怒濤の勢いですが、なんと言っても、お金大好きヒロインを演じる西田尚美が素晴らしくチャーミング。同時ほぼ無名だったと思うのですが、目標以外は何も見てない感じで突っ走っていくピュアなバイタリティーがなんとも痛快で、この一作で一躍コメディエンヌとして一躍評価されたのも納得の快演でした。運転免許、ロッククライミングなど、宝探しに必要なスキルを次々と身につけ、ついにはクライミングで賞金稼ぎまでしてしまうノリノリの活躍に引き込まれっぱなし。しかしラストは、ついに大金ゲット!というベタな痛快ではなく、それをあっさり飛び越えて次へ向かっていく彼女の成長とも思えるオチになり、その潔さもまた魅力的でした。インディーズ(ではないのかもしれないけど)らしい若々しいエンタメ魂を感じられる作品だと思います。

 

 

第4位.矢口史靖「ウォーターボーイズ」

矢口史靖「ウォーターボーイズ」がおすすめの理由

ひょんなことからシンクロナイズドスイミング部を始める羽目になった高校生男子たちの奮闘を描く青春コメディ。コメディ監督として一気に認知されるきっかけになった作品で、主演の妻夫木聡の出世作でもありました。とにかく気持ちいいくらいに笑わせることに徹した作品で、男子たちのチャーミングなキャラとドタバタの展開にどこか圧倒されながらも引っ張られてしまいます。竹中直人演じる怪しい師匠もいかにもいい加減で、何か糧になるような教えをくれるわけでもないけれど、それでもひたすら打ち込むことで成長していける、青春ってスゴイ。それでいて、ラストに完成したシンクロナイズドスイミングは、「男がシンクロ!?」というイロモノ感を完全に払拭する、圧巻のエンターテイメント。笑いの対象へのリスペクトをしっかり感じさせる監督の姿勢はこの頃からのものだと思います。演技中最大のピンチを招くアクシデントを、彼女の機転で乗り切る「LOVE海パン」の展開も最高。どや顔のような妻夫木スマイルに大笑いしながらも、爽快感溢れるクライマックスでした。

 

 

第3位.矢口史靖「サバイバルファミリー」

矢口史靖「サバイバルファミリー」がおすすめの理由

世の中から電気が突然消滅し、東京からお母さんの実家のある九州へ自転車で向かおうとする一家の冒険を描くロードムービー。リアルな世界を描いてきた矢口監督ですが、本作では、発電のみならず電池の電気まで消えてしまうという、ちょっとファンタジックな異色の設定でした。リアルに考えると、命の危険に直結しそうなパニックムービー的シチュエーションですが、そこの重さにはあまり突っ込んでいません。右往左往しながらもなんとか困難を乗り越えていくデコボコ家族の奮闘に話を絞って笑いを交えて描きながらも、文明社会の中で、地に足のついた暮らしとはどんなものなのかを問いかけてきます。出会う人々も示唆的で、「この状況を楽しまなきゃ」なんて言うイケてるアウトドア一家の、オシャレでエコしてるような胡散臭い描写はなかなか痛烈。かと思えば、過疎の村で一人で暮らしている親父の切なさと優しさは、確かな体温をもって伝わってきます。時間をかけて電気のない暮らしを身につけていく一家が、それでも再び文明生活に戻っていくラストに、安易なエコ推奨でない、現代の都会人なりの「地に足のついた暮らし」へのリスペクトが感じられて好きでした。

 

 

第2位.矢口史靖「ハッピーフライト」

矢口史靖「ハッピーフライト」がおすすめの理由

威圧感バリバリの教官のもとでテストフライトに臨む副機長の奮闘を軸に、空港で働く人々の仕事ぶりを描いたジョブコメディ。パッケージ的には、副機長の初フライトと、花形の国際線デビューに苦戦するドジCAの頑張りを描くドタバタコメディかと思わせるのですが、実際は飛行場で働く人たちの仕事ぶりを丁寧に描いていて、お仕事コメディとでも言いたい群像劇でした。まだ経験の浅い副機長とCAのおとぼけで笑わせつつ、お客さんのクレーム対応や、果てには機体トラブルで東京に引き返すという事態に立ち向かっていく彼らの奮闘に引き込まれます。しかし、それ以上に魅力的なのが、飛行場で働く裏方の人たちの頑張りでした。冒頭で受付係の田畑智子が嘆くとおり、CAなどと比べると地味なポジションに見えますが、荷物を取り違えられたお客さんのためにすっ転んでもなりふり構わず疾走する彼女は、なんともカッコよく爽快。そのお客さんとの恋の予感がご褒美のようにほのめかされるラストのセンスも好きです。完璧な仕事にこだわったばかりにミスを犯してしまう若い整備士の成長など、さまざまな立場で真面目に働く人々の仕事が心に残りました。

 

 

第1位.矢口史靖「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜」

矢口史靖「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜」がおすすめの理由

大学受験に失敗して、思いつきで1年間の林業体験実習に申し込んだ都会の若者が、想像を絶する田舎暮らしと林業の厳しさに悶絶しながらも成長していく青春コメディ。主人公を演じる染谷将太が、ちゃらんぽらんで根性ナシだけど底抜けに素直な若者を生き生きと演じて、こりゃ先輩たちからしたら可愛くてしょうがないだろうなあというナイスキャラでした。物語には、長澤まさみ演じる地元女性との淡い恋愛も描かれるけれど、この映画のみどころはなんといっても、狂暴な先輩(教官?)との師弟関係でしょう。登場からして野獣のような先輩の伊藤英明がまた当たり役。甘っちょろい主人公をスパルタで指導しつつ、次第に彼を認め、男の絆で結ばれていく心の変化に感動してしまいます。別れのシーンの、後輩の茶化しに言い返すこともできず号泣する姿に、思わずもらい泣きでした。一方、矢口監督らしい思いきりのいいコメディは、クライマックスの祭りのシーンで堪能。林業体験実習は、現実にも切実な背景で行われているものだけれど、映画はその上っ面をなぞるのでなく、きちんとこの仕事へのリスペクトをもって描かれていることに感銘を受けました。

 

 

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