【2019年】桜木紫乃おすすめの本ランキングTOP7

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【2019年】桜木紫乃おすすめの本ランキングTOP7

波乱万丈な女性の人生、貧乏とか絶望とか、そして北の大地の寂しさとか悲しさを描かせたら絶品の桜木紫乃さん。その湿っぽさが癖になります。そして秀逸すぎる人間設定。桜木さんの描く女性の強さ、シリアスな人間ドラマの大ファンです。桜木紫乃さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.桜木紫乃「氷平線」

桜木紫乃「氷平線」がおすすめの理由

6つの短編全て舞台は北海道で、一筋縄ではいかない男女の関係が描かれています。冬の常に薄曇りの道東の風景が蘇ってくるようで、依存という言葉がどれも当てはまる気がしました。女性歯科医がダラダラと付き合い続けた院長との関係を清算して、僻地の診療所で新しい生活を始める話と、窮屈な田舎町を出て東京で出世したけれど、地元で一度関係を持った売女のことが忘れられない男の主人公の表題作がとくに好きでした。両方寂しくて、寒々しくて。どこか窮屈とした地方の町で生まれ育つと、そこから抜け出したい気持ちを多くの人が持つはずで、飛び出すのも留まるのも自由だからこそそこで道は別れるけど、外の世界に憧れながらも留まる理由を作ってそこに居続けるという矛盾もあったりする。そういう鬱屈としたものが全体に漂っている小説で、苦しいけど共感できました。

 

 

第6位.桜木紫乃「誰もいない夜に咲く」

桜木紫乃「誰もいない夜に咲く」がおすすめの理由

壮絶なのに醒めていて、不思議な印象が残る作品群。全て北海道の街が舞台の短編集です。雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。桜木紫乃さんの育った環境が、男女の肉欲をこんな風にさめた感じで描くきっかけになったのかなとか考えたりしました。言ってしまえば、どうしようもないダメな男とズルズル付き合ってしまう女が何人か出てくるのですが、その割に溺れているような雰囲気はなくて、さめた諦めみたいなものに包まれているから。暗部がひとつもない人生を歩んでいる人はほとんどいないです。だけど、だからこそしたたかに、明日をどうにかして生きて行こうという力強さを感じました。ふわっとしてどこか現実離れしている物語と同じくらい、こういう胸が軋むような生々しい物語も好きです。

 

 

第5位.桜木紫乃「硝子の葦」

桜木紫乃「硝子の葦」がおすすめの理由

身体は繋がっても、心が繋がることはない。そういう孤独が漂う小説です。一歩踏み込むことを躊躇うのはお互いを思うからこそなのですが、その一歩の足りなさが二人の大きな距離になっているのが切ないです。様々な面倒事に巻き込まれたあと、節子がした選択。起こした行動がミステリーの大筋になっていきます。肉欲、暴力、嘘、怨恨、様々な思いが渦巻いているのに、作品自体の温度は低い。実家がラブホテルだったという桜木紫乃さんが、ラブホテルという場所に対して思うことが、おそらく登場人物の言葉を介して表されたりしていて、そこもまた興味深いです。この小説に出てくるローヤルというホテル。桜木紫乃さんが直木賞を受賞した作品もホテルローヤルですが、それとは全く別物らしく、それぞれの楽しみ方があります。桜木紫乃さんの作品は何冊か読みましたが、こういう作品も描くんだなと意外な驚きもありました。

 

 

第4位.桜木紫乃「蛇行する月」

桜木紫乃「蛇行する月」がおすすめの理由

高校を卒業して間もなく、20歳以上も歳上の菓子職人と駆け落ちした順子。親子3人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間たちが引き寄せられます。自分にとっての本当の幸せを問い続ける彼女たちが綴る、順子という女性を軸にした物語です。女性だからこその醜さや嫉妬、打算が見え隠れしましたが、そこにあるのは日々を必死に生きようとする女たちの姿で、誰かと比べずして自分のことを幸せと言い切るのはとても難しいのだということを改めて感じます。こういう気持ち私も感じたことあるけど、ちゃんと気づいてなかったな、と自分の気持ちも認識できてとても勉強になりました。誰とも比べず、背伸びせず、見栄もなく「自分」というものをしっかり持っている人は強いと思いました。流されず、自分だけの幸せの基準を持っている人は、たとえ人から下に見られても強いんだと。とても静かな物語でしたが、じんわりと沁みる良い本です。

 

 

第3位.桜木紫乃「星々たち」

桜木紫乃「星々たち」がおすすめの理由

章ごとに視点が変わる短編連作で、誰か一人の人物について描くという小説はよくありますが、こういう感覚は初めて。感動というか、凄い、と唸る感じ。奔放な母、咲子とも、2回目の結婚で自分が産んだ娘とも生き別れた、千春というという女。ひとつの関係に囚われず、北の大地をさすらう千春の数奇な性と生、そして彼女と関わる人々の光と闇の物語です。北国だからこその厳しさや寒さ、乾いた空気が物語全体をモノクロの風景に変えているように感じます。一冊を通して千春という女を描いているのに、千春が何を思い、どんなふうに考えてその道を辿ったのか、そして後悔や悲しみ等はあったのかというのが全くわからないところが独特でとても良かったです。千春と関わった人たちはみんな北の大地でつましく暮らしています。悲しみや小さな幸せや日々の暮らし。小さく光りながらやがて消滅していく命たち。ドラマチックではないけれど、それぞれに生きた分のドラマがありました。

 

 

第2位.桜木紫乃「ホテルローヤル」

桜木紫乃「ホテルローヤル」がおすすめの理由

釧路高原を見下ろせる場所に立つラブホテル、ホテルローヤル。このホテルを舞台とした男女の7つの短編集です。ちょっと変わっているのは、廃墟となったホテルローヤルから、建設のいきさつまでを時間を遡っているということ。男と女が繋がりあうことに、本当は心の温もりが欲しいと思う。でも、第1章の廃墟で繰り広げられる繋がりには寒々しさを感じます。そこから章を追うごとに、少しずつ、少しずつ温もりが増してきます。と言っても、それぞれが複雑な事情を抱えているのだけれど…。ホテルローヤルに書かれた物語には妙なリアリティがあって、登場人物たちが重ねる身体の熱とつたる汗が紙面から伝わります。どこかにこのホテルはあって、登場人物たちもどこかで生きているのではないか。そう思わせる筆致の繊細さが美しいです。ページが、文字が呼吸するかのよう。人間模様が素晴らしい作品でした。

 

 

第1位.桜木紫乃「ラブレス」

桜木紫乃「ラブレス」がおすすめの理由

姉妹の60年の絆と、姉の生き様を軸に描かれた母娘三代にわたる壮大な物語。もう途中で読むのをやめようかと思うくらい辛い話だと思っていましたが、最後まで読んでよかったです。昭和20年代、歌の得意な百合江はバスガイドになる夢がありました。しかし、貧困、毒親、クズ男、時代、様々な荒波に巻き込まれ、苦労と不幸の連続に。百合江はなんてかわいそうなんだと決めつけていましたが、最後まで読むと、不幸か幸福かなんて、他人にわかるものではない。百合江はひょっとして幸福だったのはと思えます。百合江のその自由奔放さと、次から次へと不幸が起きても前に進んでいく強さがうらやましいとです。終盤の阿寒でのシーンが百合江を象徴していて涙が止まりませんでした。切なくなるとわかっていながら何度も読みたいのは、力強い女性に力をもらいたいのかもしれません。くじけそうなときに再度したい本です。

 

 

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