【2019年】泡坂妻夫おすすめの本ランキングTOP7

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【2019年】泡坂妻夫おすすめの本ランキングTOP7

マジシャンでもある泡坂妻夫は、小説にもマジックのタネや仕掛けを組み込んでいます。そこが面白い。マジックのことは詳しくなくても楽しめるようになっているところがすごいと思います。また、本自体に仕掛けがあったり、短編シリーズでは最後に登場人物が全員登場したりと、伏線の張り方が秀逸で好きです。上質なミステリーを書かれていた作家さんだと思います。泡坂妻夫さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.泡坂妻夫「死者の輪舞」

泡坂妻夫「死者の輪舞」がおすすめの理由

海方・小湊シリーズ一作目の長編小説。新米刑事の小湊と変人刑事の海方によるコミカルなやり取りとテンポのいい、軽妙なミステリーです。リレー殺人という題材で、読者を引き込みます。まずaが殺され犯人はbと判明、すると次はbがcに殺される。さらにその次も、とa→b→c→d・・・と順番に、被害者と加害者が交代して行く殺人事件。展開や真相がある程度予想できてしまうし、限りがあるテーマですが、そこをあっと言わせるのが泡坂マジック。ただ登場人物も多く、またそのために殺人描写が多いです(リレー殺人なのでたいていの人が死にます)。犯人の追跡劇もしっかりと書かれているため、ただのミステリーと言うよりは、ミステリーとサスペンスが合わさったようなドキドキ感があります。ただ、人物把握が大変なのと、取り立ててすごいトリックがあるわけではないので、第7位。

 

 

第6位.泡坂妻夫「乱れからくり」

泡坂妻夫「乱れからくり」がおすすめの理由

松田優作主演で映画化もされた長編小説。意外な犯人と、その犯行手法にやられます。犯人が死んだように見せかけて容疑の圏外へ逃れる、という「バールストン先攻法」はありふれた手法かもしれませんが、事件が起きる前に「犯人が本当に死んでいる」というのは珍しいでしょう。そこが注目ポイントです。中盤あたりから物語の中心となっていく、隠し財産の行方も面白く、実際に図が載せられている迷路の仕掛けと真の目的も意外でも面白いです。ちょっとリアリティに欠けるかもしれませんが、小説ならではと言うことで楽しめる人にはいいと思います。ただ、登場人物がみんないまいち活かせていないかな、というところ。まだ迷いながら書いている感じがあるので、若い文章を読みたい方にはオススメです。シリーズ化してもいいくらいには主人公と探偵役がいい感じのキャラクターなので、ここは少し残念。

 

 

第5位.泡坂妻夫「鬼女の鱗」

泡坂妻夫「鬼女の鱗」がおすすめの理由

宝引の辰捕者帳シリーズの第1作目となる連作短編集。毎話、語り手が変わるという、少し不思議な作品。探偵役は岡っ引きの辰ですが、彼が語ることはなく、ほとんど出てこない作品もあります。そこが変わっている点。事件が起きる、捜査する、犯人を逮捕する、で終わる話ではなく、江戸に生きる人々の人情に触れる話が多く、勧善懲悪ではないというところも不思議な点。勧善懲悪ではないとはいえ、人情を描いているからか、後味のいい、すっきりする終わり方です。最初の「目吉の死人形」でマジックのようなトリックが使われていたり、表題作「鬼女の鱗」では紋の話がでてきたりと、泡坂妻夫ならではのお話も多く、読んでいて楽しい作品集です。ただ、注釈が点いていないので、よほど江戸時代に詳しいか時代小説を読み慣れた人でないと、最初は戸惑うかもしれません。

 

 

第4位.泡坂妻夫「奇術探偵曾我佳城全集秘の巻」

泡坂妻夫「奇術探偵曾我佳城全集秘の巻」がおすすめの理由

曾我佳城シリーズをまとめた2冊のうちの1冊です。かなり分厚い短編集になっています。分厚さに驚いて、読むのをためらってしまうかもしれませんが、読み始めると面白く、さくさく読めてしまいます。タイトルにもあるように、探偵役である曾我佳城は奇術師(マジシャン)です。泡坂妻夫ならではの、マジックのタネや仕掛けを扱った事件ばかり。ですからマジック好きの方も楽しめるはず。それでいて、なぜその犯行に及んだか、なぜ謎が生まれたか、というような、ミステリーな部分もしっかりと描かれているのでミステリー好きにももちろんオススメです。また、登場人物が細かくキャラづけされているので、簡単なトリックがより複雑に見えたり、というアシストもしています。ただ、一度発表された作品を所収したものなので、時系列が少しわかりにくいかも。

 

 

第3位.泡坂妻夫「しあわせの書〜迷探偵ヨギガンジーの心霊術」

泡坂妻夫「しあわせの書〜迷探偵ヨギガンジーの心霊術」がおすすめの理由

ヨギガンジーシリーズ2作目の、初の長編小説です。紙媒体の本でしかできない、トリックが盛り込まれた本です。1作目の短編集とは違い、ヨギガンジーよりも、どちらかと言えば相方の美保子が主人公のような、探偵役が脇に置かれているという泡坂妻夫ワールド全開の作品。なので探偵に自ら行動して活躍してほしい人にははまらないかも。ただ美保子のキャラクターがとても可愛いので、そこはオススメです。ストーリーは、どちらかと言えばありふれていて、淡々と進んでいく印象でしたが、違和感を抱かせることなく張られた伏線には感動しました。大きなネタバレになってしまうので多くは語れないのが残念ですが、最後の最後で気づかされるトリックにはあっと驚きます。でも、このトリックがなくても面白いはず。なんの前情報もなしで読んで、驚いてほしい作品です。

 

 

第2位.泡坂妻夫「花嫁のさけび」

泡坂妻夫「花嫁のさけび」がおすすめの理由

シリーズではない、単発の長編小説です。人気俳優との結婚がかなった伊都子を待っていたのは幸せな新婚生活ではなく、謎めいた死を遂げた前妻の思い出にとらわれた人々、という、感情移入しやすい設定で始まる作品。亡くなった前妻の描写も素晴らしく、また周囲の人々がみんな怪しく見える描き方はさすがとしか言えません。ていねいに描かれている作品で、あっと驚かされると言うよりは、じわじわと真相がわかっていく感じの文体。昭和のサスペンス(あるいはミステリー)の香りがするので、好きな人にはバチッとはまる気がします。さくさくと一気に読めてしまう面白さです。ミステリーとしては、探偵役が気づく犯人の言葉の違和感が少し弱めかもしれません。この作品は先入観なしで見てほしいので、あまり多くは言えませんが、最後の一文がとてもさみしく印象的です。

 

 

第1位.泡坂妻夫「11枚のとらんぷ」

泡坂妻夫「11枚のとらんぷ」がおすすめの理由

ミステリーとしてもマジックのトリック集としても読める作品です。長編小説の中に、もう一つ、短編小説集「11枚のとらんぷ」が組み込まれている、という構成。長編をすべて読まずとも、「11枚のとらんぷ」だけでも充分楽しめる作品です。事件の謎解きには、この作中作が必要になってくるのも面白いところ。巻末の解説によると、「11枚のとらんぷ」の部分だけを読むマジシャンが結構多いようです。そのくらい、マジックのタネや仕掛けがしっかりしています。ミステリーに興味がある人はもちろん、マジックに興味がある人は読んでて絶対面白いはず!冒頭、マジックショーの舞台のシーンで始まりますが、この舞台シーンがまた面白い。描写が難しいマジックの描写が多く、それでいて単調ではないのです。舞台裏もしっかりと書かれていて、伏線の回収もすごいのでぜひ読んでほしい一作。

 

 

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