【2019年】東野圭吾おすすめの本ランキングTOP7
東野圭吾さんは多分現在の日本でトップクラスの職人的小説家だと思います。毎回巧妙なトリックと個性豊かな登場人物が駆け巡り、一体頭の中がどうなっているんだと思わずにはいられません!読者の想像を掻き立て伝える文章が本当に上手いです。東野圭吾さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.東野圭吾「虚ろな十字架」
東野圭吾「虚ろな十字架」がおすすめの理由
これは東野圭吾最大の問題作という帯にも頷けました。散りばめられていた伏線が一本に繋がっていく様は小気味よいリズムさえ感じられます。死刑制度について。テーマは重いです。被害者遺族、加害者家族、多角度からの目線でテーマに挑んでいます。しかしそこには結局答えはありません。自分なりに考えるしかないんです。重すぎるテーマに辛いと思う人もいるでしょう。答えのない結末に不完全燃焼と思う人もいるでしょう。けれど私はそれで良いと思いました。色んな罪の償い方を見せるけど、どこかもやもやしてスッキリしない感覚。そのもやもやの正体は、罪を犯してしまったらもう二度と償えないかもしれないという現実があるからなのかもしれないなと考えさせられました。科される罰と、被害者の救済は別に考えないといけない気がします。読んだ人それぞれが考え、答えが見つかるといいなと思います。
第6位.東野圭吾「人魚の眠る家」
東野圭吾「人魚の眠る家」がおすすめの理由
最愛の娘の脳死、そして臓器移植という重いテーマを正面から突きつけられた気がしました。東野圭吾作品らしく、読みやすく理解しやすい展開で、ミステリー要素もありながらも、ものすごくヒューマニックなストーリーでした。人には常軌を逸したと見られてしまう母親の行動も、自分の身に置き換えればわかりすぎるほどわかる…彼女だけじゃなく、周囲の人がそれぞれに悩み苦しんでいる姿も描かれていて、読んでいて様々な視点に立って考えさせられてしまいました。生人くんには胸を締め付けられます。残された人の辛さは計り知れないけど、こうして決着をつけた薫子の娘に対する狂気的な献身愛は結局間違ってなかったと思えるし、尊い命が次に繋がれていることに肯定的な気持ちになれる話だと思いました。プロローグからエピローグに向けてのストーリー構成が本当にすごいです。
第5位.東野圭吾「マスカレードホテル」
東野圭吾「マスカレードホテル」がおすすめの理由
連続殺人事件の次の犯行現場がホテルコルテシア東京ということが判明し、刑事がホテルマンに化けて潜入捜査につくという話。正義感が強く、敏腕で英語も堪能、見た目もよく、プライドが高いのだけが玉に瑕の刑事・新田と、お客様は神様を地で行き、ホテルの流儀を忠実に守るフロントクラークの山岸尚美。序盤は尚美が新田の指導役になるのですが、二人のやり取りが終始小気味よいです。奇妙なタッグですが、それぞれの立場だからこその視点で、真相に近づいていきます。徐々にお互いを認め合いながら真相解明していくところが面白くて、とにかく何も考えずに一気に読めます。変わった客の小さな事件を積み重ねながらメインの話へと収束されていく。落着したはずの事件の中にもひっそりと伏線が仕込まれていて、なるほどなー!と驚きました。全部の伏線が回収されてスッキリ終われる読了感。
第4位.東野圭吾「麒麟の翼」
東野圭吾「麒麟の翼」がおすすめの理由
日本の全ての道路の原点、日本橋。中国神話に現れる伝説上の霊獣、麒麟に翼が付いて対になって飾られている。そこで、男が胸にナイフを刺された姿で発見される。仕事一筋で家族を省みない父親像と、仕事仲間からは慕われる仕事人像。被害者の印象は同一人物なのに、関わる人が変わると、こうも評価が違うのかと思わされます。でもこういうお父さん多いんだろうな。家族とどう関われば良いか悩む中で、親として、人として過ちを償おうと行動しましたが、こんな形になってしまうなんて、とても切なく悲しいストーリー。死を間近にした人からの強烈なメッセージがとりわけ印象深いミステリーでした。最後にどんな想いで麒麟の下へ向かったのか、息子へのメッセージシーンでは堪えきれず大号泣してしまいました。東野圭吾を読むといつも切なくなりますが、この本を手にとった人と感想を語り合いです。あなたは何を思いましたかと。
第3位.東野圭吾「白夜行」
東野圭吾「白夜行」がおすすめの理由
これぞミステリーの最高峰。複雑でいて緻密な世界。雪穂と亮司、二人の周囲の人たちの目を通して約20年間のさまざまなエピソードが綴られているけど、二人が心境を語る場面はほぼありません。他人から見た二人の姿を通じて、いくつかの事件の真相や、二人の心情、関係、背景など、描かれていない部分に思いをはせる。不思議な感覚でした。ラストまで読んでも、真相は推測の域を出ません。最後の展開についても、その本位は誰にもわからないまま。それでも彼らの生き様があまりに鮮やかに胸に残りました。最後の13章にこの小説のすべてが詰まっていると感じました。12章分の長い長い助走の果ての13章のおもしろさは類をみないもので、夢中になって読みました。850ページが短く感じるほど、いつまでもこの世界に浸っていたいと思いました。とにかく読んでほしいです。
第2位.東野圭吾「流星の絆」
東野圭吾「流星の絆」がおすすめの理由
ミステリー好きが勧めるのが理解できます。600ページを超える超大作、読み応え充分です。俺たち三人は繋がってる。いつだって絆で結ばれている。そう流星の下で結びついた強い絆。「白夜行」と似ているのかなと思いましたが、そこはさすがの東野圭吾。私も一緒に犯人探しをしてしまいました。作中に、この行動はきっと破綻するだろうなと思う箇所がいくつもありましたが、それすら作者の意図するところで、まんまとしてやられてしまいました。登場人物の心理描写が鋭く、途中は絶妙な心理戦を見せられているような感覚に引き込まれました。三兄弟の絆の強さと、まさかの展開にハラハラドキドキしっぱなしで、人を信じられなくなる怖さを感じました。緻密に計算されたその先にある、まさかのどんでん返し。善意の中にもそれだけでは済まない事情。読後感は、これまでに経験したことがない種類のものでした。
第1位.東野圭吾「秘密」
東野圭吾「秘密」がおすすめの理由
バスの事故で妻を失った杉田平介を主観に置いた物語です。事故で命を取り留めた娘の藻奈美、しかしその魂は妻の直子でありました。肉体の生と精神の生、どちらが社会的に生きる上で重要なのか考えてもわからない難しいテーマでした。身体の中身が入れ替わるような話はよくありますが、本作品は一味違います。現実では起こり得ない状況ではありますが、できる限り登場人物の葛藤や心境が身近に感じられるよう描かれていて、 リアルに感じることができます。夫婦の愛をどこまで貫くことができるのか。立場や外見が変わってしまっても、今まで通りに愛することはできるのか。本当の愛について考えさせられる本です。また、男性目線と女性目線では、妻に感情移入するのか、夫に感情移入するのか、解釈の仕方が全く異なりまた面白いのかなと思います。嗚咽するほど泣きながら読みました。タイトルの「秘密」が沁みます。