スタンリー・キューブリック監督おすすめ映画ランキング
キューブリック監督の特徴は、毎カットの撮り方がクールで構図がスマートなところです。
彼の映画はどの作品も印象に残るカットが1つはあり、「その作品といえばこのシーンだよね!」とパッと思い出せるシーンがすぐに思い浮かびます。
第5位.スタンリー・キューブリック「時計仕掛けのオレンジ」
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スタンリー・キューブリック「時計仕掛けのオレンジ」がおすすめの理由
キューブリック作品の中でも特に異質な世界観が目を引く一作です。少年とも青年とも言える絶妙な年頃の男たちが主人公で、彼らは一言で表してしまえば「不良」です。しかしこの監督の作り出す不良は他とはかけ離れており、彼らは道化師のような奇妙な衣装に身を包み、現代アートのような不気味なアンティークが散見されるアジトに溜まって性とドラッグと暴力にまみれた生活を送っています。視聴者はその他のどこでも見たことがないような奇天烈な主人公たちの生活を見せつけられ、特に際立ったストーリーラインがないにも関わらずこの世界観に圧倒され作品にのめり込むことができます。キューブリック監督の撮影技法や演出も、この少年たちの姿をさらにクールなものに仕上げており役者を引き立てます。そして主人公は暴力的な日々がたたってついに更生施設に入れられてしまうのですが、それから起きる哲学的ともいえるストーリー展開にもぜひ注目して頂きたいです。
第4位.スタンリー・キューブリック「2001年宇宙の旅」
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スタンリー・キューブリック「2001年宇宙の旅」がおすすめの理由
銀河、そして宇宙を舞台にした壮大なストーリーの作品です。物語のスケールこそ大きいですが、カメラは主に宇宙船員の主人公たちと、彼らをサポートする人工知能コンピュータに向けられています。彼らはディスカバリー号という宇宙船で木星探査に向かっており、その道中の物語がこの作品のメインとなっています。特筆すべきはその宇宙船内の描写です。現代で観ても1960年代に撮影されたとは信じがたいほどの船内の近未来的なデザイン、そして重力表現などの演出は実物にしか見えないほどの完成度になっています。機内で出される宇宙食のデザインや重力変換装置などのギミックなど、船内機能もとてもロマンを感じる作りになっており、これぞSF作品という興奮を味わうことができます。さらに驚くべきは現代で話題になっている人工知能(AI)がストーリーのメインになっている事です。機械であるはずの人工知能がまるで人間のように葛藤する姿、そしてあるシーンでは歌を歌い始めるのですがその理由を考察してみるのもまた楽しみ方の1つになっています。
第3位.スタンリー・キューブリック「フルメタルジャケット」
スタンリー・キューブリック「フルメタルジャケット」がおすすめの理由
ベトナム戦争を舞台にした戦争映画です。この作品ではキューブリック監督のもう1つの大きな魅力である、皮肉的な表現が大きく表れています。物語は大きく2つのパートに分かれており、前半は軍隊で鍛え上げられる主人公たち新兵の姿が、後半は彼らが戦地に赴く姿が描かれます。前半では主人公たち頼りないアメリカ兵たちが、鬼教官と書いても言い表せないほどの厳しい教官に徹底的にしごき上げられる様が見られます。放送禁止用語が大半を占めるような罵声をひたすら浴びせられ、親や家族をバカにされながら厳しい訓練を受けることによって彼らが1人の人間から兵士へと洗脳されていく様子がこのパートの見どころです。罵詈雑言のワードチョイス、そして教官役の俳優の迫真の演技に逆に笑いが出てしまうという不思議な仕上がりになっています。そして後半ではベトナムに派遣されて過酷な戦地を生き抜く彼らが描かれるのですが、彼らは前半の過酷な訓練を通して常識の理性を保つネジが既にユルユルになってしまっています。そしてそのネジがついにピンっと音を立てて飛んでしまうラストシーンは圧巻です。
第2位.スタンリー・キューブリック「博士の異常な愛情」
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スタンリー・キューブリック「博士の異常な愛情」がおすすめの理由
この作品も戦争映画なのですが、いわゆる戦地を描いた映画というよりは冷戦や原爆、それらを通した政治を風刺したような一作になっています。その風刺の鋭さがまさにキューブリック節という仕上がりで、シリアスな笑いを随所に見ることができます。全員が悪人であるというキャッチフレーズの有名な邦画シリーズがありますが、それになぞらえて表現してみるとこの映画は全員が狂人です。現実世界でも変わった人はよく人を惹きつけますが、映画も似たようなところがあって変わったキャラクターは視聴者を虜にしてしまう傾向があると思います。この作品はまさにそれを立証するようにキャラクター性の強い登場人物たちに釘付けにされてしまい、視聴者がこの作品を大好きになってしまうような魅力を持っています。片方の爆撃がすぐさま人類の破滅を引き起こすという核兵器による冷戦状態、その極限状態でドラマを引き起こす狂人たちの皮肉たっぷりのストーリーは他では見られないものになっています。
第1位.スタンリー・キューブリック「シャイニング」
スタンリー・キューブリック「シャイニング」がおすすめの理由
どことなく不気味な雰囲気が漂うキューブリック作品ですが、この作品はその特性を最大限に活かしたホラー映画になっています。この作品はキューブリック作品の中ではストーリーが一貫していて分かりやすい物語になっているので、キューブリック作品を観たことがない方に特にオススメの一作です。舞台は山奥にひっそりと佇むホテルで、主人公はそのホテルの管理人として働くことになり、家族とともに引っ越してくるところからストーリーは始まります。そしてホテルで起こる怪奇現象、ホテルに残された謎など文字に起こせば王道ホラーのようですが、やはりそこは監督の技量で他のホラー映画とは一線を画したようなホラー映画になっています。キューブリック監督の撮影の巧みさは、バン!と恐ろしいシーンを映す場面にもふんだんに活かされており、その画面構成の完璧さがかえって視聴者が感じる不気味さを増長させることに成功しています。特に、ワンピース姿の少女2人がホテルの廊下で立っている有名なシーンがありますが、あのシーンは視聴後数日間脳裏に焼きつくことでしょう。