【2019年】村上龍おすすめの本ランキングTOP7

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【2019年】村上龍おすすめの本ランキングTOP7

描かれている世界は生々しくて現実離れしているところがあるのに、想像しているうちに自分が疑似体験できているから不思議。作者本人の感情が、それほど強くにじみ出ていないこともあって、読むたびに自分の感情も変化していくのがわかります。友だちの愚痴に付き合うような感覚になれるのが気に入っています。村上龍さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」

村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」がおすすめの理由

親に捨てられた子供であるという点で、生まれたときからの絶望感が巨大すぎます。誰だって思春期には親と対立したり、大人になってから反抗したりすることはあるでしょうが、子供の頃に親から愛されているからこその親子関係なのに、初めから拒まれているというのは救いようがないです。もはや対立も、反抗もままならないという状況を経験しているので、その先に何が起きるのか想像するのが困難です。予測が困難だからこそ、すべての行動が見逃せません。想像することに慣れてくると、いきならドアを開けられた部屋に光が差し込んで来たみたいに、希望を感じることもできます。救いようのないことが、実は希望に変わってしまうことがあるのだと教わることができました。切なくて泣きそうになるのに、涙の一滴も出て来やしないぜ、と言い放ちたくなる名作小説です。

 

 

第6位.村上龍「海の向こうで戦争が始まる」

村上龍「海の向こうで戦争が始まる」がおすすめの理由

限りなく透明に近いブルーの後半で、やたらとノイズのように出てくるビジョンがあるのですが、そのビジョンが具体的に表現されたような小説です。海の向こうで戦争が始まるのは、最初は恐怖や戸惑いでしかありませんでした。いつか戦争が起きるかもしれないのは不安です。けれども戦争が始まったら、こんなに楽しいこともあるのかと、自分の中から悪魔が目覚めてしまうのが強烈でした。善人だけではなく、極悪人も自分の中に生息していることを、その事実を突きつけられてしまった小説です。どうしようもないほどの恥ずかしさと、けれども一度味わったので忘れられなくなって再度求めてしまう不思議なドリンクのように、何度も何度も本を開いてしまいました。強烈な性的な香りが満ちているのに、不潔な匂いも液体の感触も感じられずに、ひたすら風に吹かれて埃まみれになっているようです。その埃もサラサラです。

 

 

第5位.村上龍「超電導ナイトクラブ」

村上龍「超電導ナイトクラブ」がおすすめの理由

なんとしてでも子分になりたいと思える、そんな先輩に出会ってしまったような衝撃を味わえる作品です。これは村上龍自身なのでしょうか、それとも音楽の天才教授でしょうか。誰かのリアルな姿を思い浮かべようとするのですが、すればするほど蜃気楼を見ているようにぼんやりとしてしまいます。見つからない宝を探して、今日も街の裏路地を歩いて彷徨って、何も見つからないけれどね尾石井お酒が飲めればそれで満足です。そういう気分になります。今夜もダメだったな、と思った矢先に、いつもの諦めが気持ち良くて一日を締めくくれるぜと感じた主運管に、超電導が体に走りました。まるで電気ブランを飲んだかのようです。電気ブランがびりびりと舌を、しびれさせます。本物のコカインが入ったコーラも、さぞかし美味しくて病みつきになることでしょう。中毒と悦楽を言葉から感じ取ることのできる小説です。

 

 

第4位.村上龍「長崎オランダ村」

村上龍「長崎オランダ村」がおすすめの理由

経済的に豊かな社会の中で、快楽に溺れきることのできない情けない男たちの姿が哀れで仕方なくなる作品です。もっと遊べばいいのに、もっと堕ちていけばいいのに、そうすれば自分も社会も救われるのに、と思わずにはいられなくなります。ユーミンが友だちと言うのですから、村上龍そのものだと思います。ということはこの後輩は、同郷の輩なのでしょう。リアルです、リアルすぎて吐き気がしてきそうですよ、もうこいつら本当に恥ずかしいやつらだなあ、と大声で笑いたくなるので、実際に笑ってみたら、いちばん恥ずかしいのは自分自身だったと気づく、恐ろしく計算尽くされている小説です。自分の姿を鏡で魅せてくれる文章は、カミソリのように切れ味が鋭いはずなのに、実はカミソリに巧妙に似せただけの竹だったのかもしれません。血を流さずに、とても平和な堕落と快楽を満喫できるのは、大人たちだけです。相棒が欲しくなる小説です。

 

 

第3位.村上龍「限りなく透明に近いブルー」

村上龍「限りなく透明に近いブルー」がおすすめの理由

芥川賞の受賞作であり、過去最高に売れた芥川賞受賞作品だと言われていますが、文句なしに納得できる小説です。超ミリオンセラーで、しかも短編のように一気に読んでしまえる極上の小説です。昭和を代表する文学作品のひとつといって良いでしょう。前評判を知ってから読んだのですが、いったいあの前評判はなんだったのかと怒り狂いたくなるほど清潔な作品に驚かされてしまいます。不良どもめと、ののしられている連中こそが実は優等生だったという展開が、あたかも現実の学園生活のようにも思えてきます。気になる人がいても、ある日突然そこからいなくなってしまうので、いちいち感傷にひたっていたら心がもちません。意識的に他人を装うか、狂ったふりでもしていないと、上手に生きていけない気がします。忘れてしまいたいようなことがたくさんあるのに、すべてを忘れられなくなってしまう。読み返すたびに記憶を改ざんさせられてしまうような、小説です。

 

 

第2位.村上龍「ラッフルズホテル」

村上龍「ラッフルズホテル」がおすすめの理由

村上龍の作品を読んでいると、いつ美女が裸になって現れるのかと期待している自分がいるのですが、それは映画を観ているかのような感覚です。疑似体験でもないし、リアルな想像でもありません。もちろん妄想とも異なります。もうそうであれば官能小説の方が良いでしょう。これは読む映画です。映画を観ているときには、それほど感情移入しなくても、むしろ役者の表情とセリフこそが、もっとも重要なストーリーテラーとなります。「ラッフルズホテル」は、遠い海外のホテルのはずですが、東京湾岸に建築されたカジノつきのホテルのように思えてくるから不思議です。東京やシンガポールなどのアジアの大都会が、本当に魅力的に思えてくる幻想的な世界観にあふれている小説です。海とつながっているプールがあったらいいのに、と思えてくることがあります。それはまさに現実に存在するプールであり、この小説は預言書のような存在感を放っていました。村上龍が預言者として陰に君臨しているかのような作品です。

 

 

第1位.村上龍「音楽の海岸」

村上龍「音楽の海岸」がおすすめの理由

ぜひ音楽を聴きながら、それも可能であるのならキューバの音楽を聴きながら読んでほしい小説。個人的に誰かに勧めるとしても、真っ先にこの作品を紹介しています。官能的な美しさが、これほどまでに文章だけから伝わってくるのは奇跡としか言いようがありません。音楽を聴いていると、むちゃくちゃ踊りたくなるのですが、その一方でホールやハウスのすみっこでじっと息をひそめて饗宴を眺めていたいような気分にもなってきます。静と動が同時に存在し、どちらも自分の内側から炸裂してくるのです。まるで起爆剤のように、そこかしこに言葉が効果的に用意されています。耳から聞きたくなる文章が、容赦なく連続射撃されてくるのです。海の向こうで始まったのは戦争ではなく、かといって限りなく透明な乱交パーティーでもなく、我を忘れて自分の体のリズムで快楽を享受できるコンサートでした。最高傑作です。

 

 

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