ウォン・カーウァイ監督おすすめ映画ランキング

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ウォン・カーウァイ監督おすすめ映画ランキング

ウォン・カーウァイは芸術映画の監督です。作品は一般的な娯楽映画とは一線を画しています。とにかく相棒のカメラマン、クリストファー・ドイルの切り取った映像は鮮烈です。あまりに美しすぎて、切ない気分になってしまうほどです。現在地球上にいる最高の映画監督の一人です。

 

 

第5位.ウォン・カーウァイ「楽園の瑕」

ウォン・カーウァイ「楽園の瑕」がおすすめの理由

94年に作られた映画です。瑕という字の効果もありかっこいいタイトルですが、原題は直訳すると、時の灰です。あまりかっこいいとは言えません。この映画はウォン・カーウァイの映画の中で異色作です。まず武侠小説が元になっている点が凄いです。武侠小説とは要するに規模の馬鹿でかいチャンバラ映画です。チャンバラと同じように向こうでもお年寄りに人気があります。普通の武侠映画はドラゴンボールのようなワザまで出て来るぐらい派手です。アクションにこだわっています。ウォンカー・ウァイみたいに芸術映画畑の人間とはミスマッチです。観客は爽快なチャンバラを求めているのに、ウォン・カーウァイは芸術映画を譲りません。すっきりとしたアクションシーンがなくマニアックな映画になり、いくらかの観客は上映中に席を立ってしまう事になりました。しかしこのミスマッチこそが見所です。登場人物の細かい心理をなぞる脚本と、美しい画面がなんとも言えません。娯楽映画としては失格ながら、芸術映画としては心に残る逸品です。

 

 

第4位.ウォン・カーウァイ「欲望の翼」

ウォン・カーウァイ「欲望の翼」がおすすめの理由

90年に作られました。緑っぽい鬱屈した色が印象的な映画です。英題はワイルドだった日々と言うタイトルで、これも日本語のタイトルのほうがかっこいいです。ウォン・カーウァイのスタイルはこの作品から用いられるようになりました。続編が作られるはずの映画でした。ウォン・カーウァイは若いアイドル俳優達を好んで使いますが、その後香港の映画界をしょって立つ人材だったためギャラが高騰してしまい、続編制作が不可能になってしまいました。クリストファー・ドイルのカメラの手持ちカメラの威力は今回もすさまじいです。抑えめの色調ながら見るものを惹きつけてやみません。本作品は若者の群像劇です。もちろんラブストーリーです。脚本はきちんとありますが、それほどこだわって見なくても構わないのです。揺れ動くカメラが切り取ったものが目に飛び込んで来るに任せるのがおすすめです。時に印象に残る台詞が刺さります。「1960年4月16日、3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない」この台詞などは特に神がかっています。

 

 

第3位.ウォン・カーウァイ「天使の涙」

ウォン・カーウァイ「天使の涙」がおすすめの理由

95年に公開されました。とにかく見て貰いたいです。クリストファー・ドイルの圧倒的な映像は胸を打ちます。私は強い光の背景にある暗い世界をどうしても想像してしまいました。ストーリーはきちんとありますが、半分程度しか理解出来なくても伝わってくるものがあります。この作品の日本版のタイトルは堕落天使です。英語版では天使が複数形になっています。日本版の名前の方がとてもストーリーに合っていて、日本人で良かったと思わせる作品です。この話は殺し屋や美人のエージェントなど、現実離れしたキャラクターが沢山登場します。クリストファー・ドイルのカメラが物語を通して疾走する彼らを切り取ります。夜の香港も素敵で見ていて吸い込まれそうになります。この映画には口のきけない男の役で、金城武が出ています。とても濃厚で、彼の最高到達点ではないかという人も多いです。殺し屋とか女のエージェントなどを出すとどうしても滑稽になってしまいがちですが、この映画はそれを免れています。

 

 

第2位.ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」

ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」がおすすめの理由

97年に公開されました。同性愛がテーマになっています。この映画でウォン・カーウァイはカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞しています。原題はハッピートゥギャザーです。日本版のタイトルはブエノスアイレスです。タイトル通りブエノスアイレスが舞台の映画です。ウォン・カーウァイの映画は舞台になった都市と密接に結びついています。都市の中で人間の様々な営みを書くことが多いので、この日本版のタイトルが似つかわしいと思います。幾度も喧嘩別れを繰り返してきたゲイカップルについてのストーリーが展開します。二人の切ない愛とすれ違いを見ていると切ないです。なかなかに複雑で感情移入の難しいキャラクター達でもあります。今回の映画でも、全てを理解する必要がはありません。いつも通りクリストファー・ドイルのカメラが全てを切りつけ、映像に残します。見ている側は美しい映像に乗っかっていくだけでいいのです。胸が締め付けられそうな、ため息の出るような映像が待っています。

 

 

第1位.ウォン・カーウァイ「恋する惑星」

ウォン・カーウァイ「恋する惑星」がおすすめの理由

94年に作られました。この先何千本も映画を見ても、絶対にベストテンに入れるべき偉大な作品です。英語名がチュンキンエクスプレスというタイトルで、中国語タイトルが重慶森林です。これは村上春樹のノルウェイの森をもじったタイトルだと言うことです。恋する惑星というタイトルはとても素晴らしく、作品にもぴったり合っているベストなタイトルだと思います。日本人であることを感謝せずにはおれないタイトルです。この映画は本当に特別です。はじめから終わりまで全てが完璧なのです。流れる主題歌やぶれるカメラ、ひずむ時間など、どの瞬間も息をのむぐらいに足すところも引くところもなく美しいです。後半から出てくる行動人物の行動原理がつかめない所もありますが、考えずに感覚で見た方が上手く捉えられると思います。ウォン・カーウァイの映画について考えるとき、いつも真っ先に孤独という言葉が思い浮かびます。しかし人間はそこで終わりなはずがありません。この作品は人間の強さや希望みたいなものを感じさせてくれる特別な映画です。

 

 

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