中島哲也監督おすすめ映画ランキング

スポンサーリンク
スポンサーリンク

中島哲也監督おすすめ映画ランキング

実写にアニメを取り入れるなど、サービス満点の遊び心ある演出で、毎回楽しませてくれる監督です。時に遊び心が行き過ぎてガチャガチャした印象になっちゃうこともありますが、演出の中に人間を描く優しい目線が確かに感じられるのが好きです。

 

 

第5位.中島哲也「Beautiful Sunday」

中島哲也「Beautiful Sunday」がおすすめの理由

ある夫婦が暮らすマンションで、周囲の部屋に住む人々が過ごす風変わりな日曜日を描いた不思議なドラマ。まだ監督としてあまり有名でない頃の作品で、後年の作品に目立つような派手な演出があんまりない代わりに、マンションの住民たちのキャラクターはなかなか奇抜で、静かだけれどなんともシュールな魅力のあるコメディになっていました。物語は、会話の少ない夫婦の淡々とした探り合いのような空気を軸に進んでいくのですが、妻がバイトで送り迎えしている小学生の女の子がかなり印象的。塾のライバルに勉強で勝つことだけを楽しみにしている彼女は、いじめられてもお構いなしで勉強漬けの生活を送り、「むなしくない?」と聞かれて「むなしい」を辞書で調べてみるも、結局意味がピンと来ないのが可愛い。部屋で日々奇声を発するおばあさんも面白くて、宇宙へ帰るなどと言って屋上に上って大騒ぎになるも、ひとしきり歌って見せた後、ほんとに宇宙へ帰ってしまうというまさかの展開に呆然。どういうジャンルの映画なんだこれは、と思いました。初期のインディーズ作品らしい、地味だけれど遊び心のセンスが光る好篇でした。

 

 

第4位.中島哲也「嫌われ松子の一生」

中島哲也「嫌われ松子の一生」がおすすめの理由

中学教師から風俗嬢、ついには殺人者へと転落していく女性の人生を描く。物語は、彼女の死の報せを聞いた親戚が後片付けのために彼女のゴミ屋敷を訪ねるところから始まり、「つまらん人生だった」という言葉にひっかかった甥の瑛太が、彼女の人生をたどっていくことで進んでいきます。濡れ衣を着せられて教師をクビになるところから始まり、彼女の人生の物語は悲惨なネタだらけ。それがただ不運というだけでなく、彼女自身が男に依存し、入れあげることで不幸を呼び寄せているような、女の業のような救いのなさがありました。けれど、男と別れるシーンのあまりのドロドロっぷり、そこからカラリと調子が変わって心機一転のお気楽な恋に没頭していく鮮やかさが見事で、湿っぽいお涙頂戴の空気になることはありません。彼女の一生懸命な無様さを追ううちに、これは不幸であっても「つまらん人生」ではないのだと次第に思わされました。醜く変わり果てた彼女が東京の片隅から見上げる星空、その後ろ姿に思わず「松子さん!」と呼びかける瑛太と同じ共感を僕も感じていたと思います。ミュージカルからファンタジーまで何でもありの中島監督の演出が、この猥雑な人生を彩るのにピッタリでした。

 

 

第3位.中島哲也「下妻物語」

中島哲也「下妻物語」がおすすめの理由

微妙な田舎、下妻で暮らす少女2人の友情を描く青春コメディ。ポップなキャラクターと王道の友情ストーリーに、アニメから文字表現まで駆使する賑やかな演出がマッチして、中島監督の名を一気に世に知らしめた作品でした。少女の一人、深田恭子演じるモモコは、小ずるい手でお金を作ってフリフリのロリータファッションを手に入れ、田舎町をその姿で闊歩する個性派の女の子。もう一人、土屋アンナ演じるイチゴは、乱暴でストレート、暴走族に入っているある意味古風なヤンキー少女。この超対称的な2人が、ヤンキーのイチゴの方から強引に友達になっていくという関係がまず面白い。友達なんて求めていなかったモモコの方も、イチゴの特攻服に入れてあげた刺繍に驚喜する彼女をみてなんだか泣きそうになる、というエピソードが素敵でした。互いに人生の転機に直面したとき、互いの力になろうとする友情の熱さに、素直に引き込まれてしまいます。主人公の2人に加え、モモコの両親、モモコが崇拝するデザイナーなど、脇のキャラも面白く、新鮮な青春映画を堪能しました。

 

 

第2位.中島哲也「夏時間の大人たち」

中島哲也「夏時間の大人たち」がおすすめの理由

逆上がりができずに悩む小学5年生の男の子から見た、まわりのおかしな大人たちの世界。中島哲也監督の長編デビュー作で、夏休みの懐かしいような切ないような空気感、その中で交錯する大人と子どもの思い出が優しく描かれ、大好きな作品になりました。主人公の男の子は、逆上がりを居残り練習するように言われて、なんとかサボって帰ろうとしちゃうようなマイペース少年。しかし、「ここで逃げたらダメな大人になっちゃうよ」ともっともらしいことを言われ、気になってまわりの大人たちを観察し始めます。彼の可愛らしくも深刻な悩みに、子ども時代をくぐりぬけてきた両親の思い出が交錯していくのがいい。自分に特別な才能はないと思い知ってしまったお父さんのエピソード、少女らしい思い込みで母親を遠ざけてしまったお母さんのエピソード、どちらもどこかユーモラスで切なく、それが現在の両親と少年のほのぼのした関係の中に確かに生きている感じがして、とても共感しました。のちの中島監督作品につながる演出の遊び心もありつつ、子どもを取り巻く世界の温かさを素朴に見せてくれる、珠玉の小品です。

 

 

第1位.中島哲也「告白」

中島哲也「告白」がおすすめの理由

娘を失くし、退職を決めたシングルマザーの中学教師が、最後のホームルームで娘の死の真相を語り始める異色の学園サスペンス。関係者の独白を積み重ねて、それぞれの主観から物語が進んでいく、湊かなえ独特の作風を踏襲した展開が、どこに着地するかわからない異様な緊張感を生み出しています。第一部とでも言うべき教師の独白で、娘を殺したのがクラスの2人の男子生徒であることが明かされ、彼女が2人に仕掛けた復讐が衝撃的な演出で描かれます。しかし、それは序盤に過ぎず、教師が退場した学校で、殺人に関わった2人がたどるその後の心理と運命がシビアに描かれていきます。主犯の少年と、彼に共鳴する少女は、美しく繊細で、彼らの耽美で破滅的な犯罪をどこかで応援してしまいたくなるほど。けれどこの映画は、そんな彼らの世界の薄っぺらさを容赦なく断罪します。ラストに再び現れ、中学生たちの自己陶酔を大人の筋道通った狂気でばっさり切り捨てる、松たか子の迫力が強烈。無駄のない尖ったストーリー展開に、中島監督の挑戦的な演出がマッチした、見ごたえあるサスペンスでした。

 

 

タイトルとURLをコピーしました