ファンが選ぶ!佐野元春おすすめの曲ランキング10
日本語のロックの中でも、圧倒的な存在であり、まるで英語のように聞こえる日本語の歌詞というジャンルをクリエイトしてしまったアーティスト。当時、デビューしたばかりの吉川晃司が影響を受けていた。日本人のメジャーなアーティストでありながら、当時は実に珍しいことにニューヨークに単身で渡り生活し、日本では知られていなかった未知のジャンルであるヒップホップを吸収した。ヒップホップの影響を受けて、ポエトリーリーディングを実現し、なおかつチャートの上位でベストセラーとなったアルバム「VISITORS」は傑作だ。
第10位.佐野元春「アンジェリーナ」
アメリカにあこがれていた頃の、日本人の空気が濃縮されている作品。ニューヨークへ行きたくなる、聴いているだけで自分がカッコよくなったように錯覚できてしまう曲。現代風に言うと、ある意味では中二病的な要素なのかもしれないね。つまらない大人にはなりたくなかったけれども、カッコいい大人にはなりたいんだ、そんな気持ちを詩的に表現しているんじゃないだろうかと感じている。佐野元春のコンサートでは、とにかく盛り上がる曲だから、80年代の日本の歌謡曲の世界ではヒット曲とは言えないけれども、パーティー要素と盛り上がりに溢れているエネルギッシュでタイトなロックンロールだ。
第9位.佐野元春「ニュー・エイジ」
傑作アルバムの「VISITORS」に収録されているナンバーで、とても憂鬱な都会暮らしの雰囲気に満ち溢れているのに、やたらとカッコいい曲。憂鬱はブルート表現されるのだけれども、「鬱」でも「ウツ」でもなく「ブルー」と言い切るところに佐野元春の美学を感じてしまう。彼の作品には、ブルーというキーワードが、それこそたくさんちりばめられているのだけれども、これほど憂鬱で、これほど哀愁に満ちていて、なんだか知らないけれども妙にロジカルな雰囲気を漂わせてしまっているのは、唯一無二の存在感だからだろう。いろいろなアレンジでコンサートで味わえる。次は、どんなアレンジで聞かせてくれるんだろうか。
第8位.佐野元春「コンプリケイション・シェイクダウン」
ニューヨークが憧れの最先端だった時代に、なんの根拠もなく渡米した一人の日本人青年アーティストの、生々しい叫びがあふれている曲。ラップもヒップホップも、この歌があるのとないのとでは、まるで違っていたと思うんだ。1983年のニューヨークで、当時の生々しい空気を呼吸していた日本人のアーティストが、遠く離れている日本の地で支持されたままトップに輝いていた。アンダーグラウンドではないし、売れなかったのでもない、明らかに異質であると認識されながらも音楽業界で圧倒的な存在感を放っていたし、なによりも佐野元春は旅行でニューヨークを訪問したのでもないし、仕事のレコーディングのためだけに滞在していたわけでも無くて、しっかりとアパートメントで暮らしていたんだ。それって、さりげなく、すごいことだと思う。
第7位.佐野元春「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」
日本はバブル経済の絶頂期だったと思うけれども、それは後から気づいたことだし、当時は当時でリアルタイムに必死に生きていただけなんじゃなかろうかと思う。口笛を吹きながら歩いていたのは冬の街角だけじゃない、夏の街角のときもあった。佐野元春はロンドンを教えてくれた。こんなに素敵な空気感があって、メロディアスで、生きていることを全面的に肯定できるってことを教えてくれる歌だと思っている。だから、希望も絶望も、皮肉も諦観も、すべてを含めたうえで、正々堂々と疑問を歌いあげて、人生を謳歌していけるんだ。なんていうか、生きることをエネルギッシュにしてくれるんだよね、この歌。
第6位.佐野元春「ヤング・フォーエバー」
タイトルのまま理解してしまうと、いつまでも若くいよう的な感じになるけれども、ここでいう若さとは粗削りで武骨で凶暴さを秘めているものだから本当は要注意なんだと思う。生きていくのがつらいことは、たくさんあるのだけれども、誰かと心でつながっていると感じられるだけで生きていけると実感できるから、むしろ若さとは無知で情けなくてどうしようもなく愚かで、だからこそ愛しいものなのかなと思う。変わらないものは、心で見て聞いて感じるものだから、時間を超えて楽しく騒いで生きていこうと、自分の愚かさも弱さも受け入れられるような気持ちにさせてくれる歌だ。大切な人に、手紙を書くきっかけを作ってくれるよ。
第5位.佐野元春「HAPPY MAN」
アルバム「SOMEDAY」に収録されている、初期の佐野元春の才能が満載のナンバー。当時は、いったい何を言っているのか歌詞が聞き取れなくて、でも、聞き取れないくらいにカッコいい発音と発生とメロディーが聞満ち良くて仕方なかった。ほんとうは、こんな曲を、もっとたくさん作って欲しかったような気がした。ニューヨークに渡ってしまう前の、やたらめったらとカッコいいロックンロールナンバーを聞かせてくれて、コンサートでは踊って良いんだってことを教えてくれた曲。文句なしに叫んで騒いで、だけれどもお洒落で美しくて涙がでてきちゃうんだよ。
第4位.佐野元春「君が気高い孤独なら」
いろいろな世代から、つもる話を聞いてみよう。賢者は路上にいるかもしれないし、町内会の飲み会の席でとぐろをまいているかもしれない。なによりも、ぼくたちは旅人なんだから、もっと自由に、けれども土砂降りに遭遇してしまう前に、しっかりとこの歌を聞いておきたい。回避できないトラブルは、人生につきものだ。自然は天災をふりまくけれども、ぼくたちは自由闊達で生き続けていいんだ。賢く生きよう、ずるがしこくなってもいいから、いざとなったら他人の話を全部シャットアウトして、自然と宇宙と自分の内なる声だけに耳を傾けてみよう。生き続けていくためのテーマ曲だ。
第3位.佐野元春「DOWN TOWN BOY」
アルバム「SOMEDAY」に収録されていて、未熟だからこそ輝いている少年を、こんなにも大切に思える歌。若くて未熟で愚かなことは、確かに情けないことなのかもしれないし、ばかにしてくる大人はいるけれども、決して恥ずかしいことではないんだ。だからもっと自由に、自分を認めてあげよう。どこかマーチングバードが現れてきそうなテンポの良さがありつつも、どうして親は否定してくるんだろうという理不尽で幼い怒りを今でも思い出させてくれるメロディーだ。悲しいことばかり思い出してしまうのに、どうして優しい気持ちになれるのかと言えば、この歌のおかげなんだよ。
第2位.佐野元春「境界線」
大人になって、社会人になって、いつしか叔父さんと呼ばれる世代になりながらも、成熟しつつも未完成なままで輝き続けたいなと感じながら生きている。そんな世代にとって、テーマソングになっていると思う。境界線という言葉は、こちらと向こうとのボーダーラインとしてだけではなく、ひとりの人間の中にも存在している者なのかもしれないなと考えさせてくれる歌だ。明日は明日の風が吹くけれども、越えられるものを越えていこうよと静かに優しく、しかし厳しさをたたえながら語り掛けてくれているような歌。見あげて憧れるアーティストのときもあったけれども、今ではすぐ隣にいてくれるような存在感が素晴らしい。
第1位.佐野元春「約束の橋」
日本におけるバブルも、テレビドラマはトレンディドラマが大人気で主題歌が大ヒットしていた時代の空気を、たっぷりと吸収しているはずなのに、どうしてこんなにも色あせないのだろう。詩が歌詞というよりもポエムに近いし、なによりも人生をこんなに全面的に肯定してくれる歌って、いままであったっけと自分で自分に問いかけてしまう。世の中には、素晴らしい歌がたくさんある。それは事実だ。自分にとっての素晴らしい歌、圧倒的に口ずさんでしまえる歌は、これ。誰かにとっての名曲ではなく、みんなにとっての名曲であり、表彰台で歌うよりも、いまいるその場所でふと口ずさむくらいでちょうどいい。人生と共に居続けてくれる歌だ。