古谷実おすすめの漫画ランキング
「行け! 稲中卓球部」や「僕といっしょ」等のギャグ漫画以外にも、「ヒミズ」や「サルチネス」といった人生をテーマにした作品を発表している所が好きです。ギャグ漫画はめちゃくちゃ笑え、「ヒミズ」や「サルチネス」では、ハッとさせられる程、心に刺さる衝撃的な作品であり、自己投影しながら読んでしまいます。登場人物の顔も妙にリアルで良いです。古谷実さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第5位.古谷実「ゲレクシス」
古谷実「ゲレクシス」がおすすめの理由
この作品は古谷実作品の中でも、最高にブッ飛んでおり、読み手の想像力や価値観によって、ストーリーの解釈が異なる様な摩訶不思議な作品です。バウムクーヘン職人の大西たつみに降りかかる不可解な現象。その状況下で、自分の価値観や、存在意義を見つめ直した結果、主人公の出した答えは?といった内容で、単行本全2巻ですが、話のスケールがデカく、人生や価値観等といった従来の古谷実作品のテーマが最高潮に達したとも云える作品だと思います。最初に読み始めた頃、この作品がこんな展開になるなんて想像もつきませんでした。読み手の想像を遥かに超えるストーリー展開は、良い意味で読者を裏切り続け、その個性的過ぎる世界観は、常に読者の想像力を刺激してくれます。作品の要所要所で出てくる、登場キャラクター達の、哲学じみたセリフにも深く考えさせられます。古谷実作品の中でも、一番作者自身の世界観がはっきり浮き彫りになっている作品だと思います。最初から最後まで突飛した展開が続くため、ついて行くのがしんどいかも知れませんが、作品自体短いため、ちょうど良い所で完結しているので、壮大な作品ですがスッキリ読める所が好きです。
第4位.古谷実「僕といっしょ」
古谷実「僕といっしょ」がおすすめの理由
僕といっしょは、稲中の後に発表された作品で、基本ギャグ漫画ではありますが、人生についても触れられているので、この作品にも考えさせられる部分があります。母親の死をきっかけに家出をした、中学生のすぐ夫と、その弟のいく夫が上京して、そこで出会った同い年の孤児のイトキンや、様々な境遇にあるキャラクターが絡んで来るといった内容で、前作の稲中よりストーリー性のある作品です。前作の稲中も、かなり笑えるギャグ漫画でしたが、この作品にもかなり笑わせてもらいました。悲惨な状況や境遇を笑いで表現する所も好きです。登場キャラクターも個性的で、妙な人物ばかりです。強烈な個性を持つキャラ同士が絡んで生まれる笑いに、前作の稲中もそうでしたが、作者の古谷実さんのセンスに驚愕しました。悲しいのに笑えるというギャグ漫画は、この作品以外で読んだ事がありません。また、家族や自分に近しい人物を中心に話が展開されるからか、何故か少しほのぼのとした感覚になります。特に最終話は感動させられます。稲中とはまた違ったタイプのギャグ漫画ですが、この作品も爆笑させられる事間違いなしなので、いろんな人にオススメしたい作品です。
第3位.古谷実「ヒミズ」
古谷実「ヒミズ」がおすすめの理由
この作品は「稲中」等のギャグ漫画が続いた直後に発表された、古谷実作品初のシリアスなテーマの作品で、思春期や、青春時代の残酷な部分が如実に表現されています。自分の悲惨な環境や、周りの人間に振り回されずに、どうにか「普通」の人生を送ろうと、必死にもがこうとする主人公の住田くんの姿に、心を打たれました。話の展開が内向的で、自分自身と向き合うシーンが多く描かれています。強迫観念とも云える自身の価値観に囚われ、救い用の無いラストを迎えます。序盤から終盤にかけて繰り広げられる自問自答に、自己投影しながら読みました。それまでの古谷実作品には無かった重たい作品ですが、人生という大きなテーマを取り扱ってる部分では共通していると思います。かなり前に発表された作品ですが、今読んでも衝撃的です。主人公の住田くん以外のキャラクターにも複雑な出来事が訪れ、色々な目線から話が展開されます。特に意識する事も無く、普通に生きようとしていても、いつどこで何が起きて、それが自分の人生にどう作用するか分からないと、この作品を読んで思いました。色んな意味で考えさせられる作品なので好きです。
第2位.古谷実「行け! 稲中卓球部」
古谷実「行け! 稲中卓球部」がおすすめの理由
この稲中は古谷実のデビュー作で、いろんな漫画作品に影響を与えた伝説的ギャグ漫画です。他誌等にも、この作品に似たギャグ漫画が多数掲載された程影響力があり、そのギャグセンスは今読んでもめちゃくちゃ笑えます。この作品にも人生について触れられており、悩み多き年頃の若者達を中心に、その孤高のギャグセンスと強烈な個性を放つキャラクター達が織り成す唯一無二の世界観は、他のギャグ漫画には無いオリジナリティーに溢れています。前野、井沢、田中等の卓球部員を中心とした、思春期特有の悩みや、日常生活に於ける疑問等を圧倒的なギャグセンスで昇華するそのセンスは、衝撃的であると同時に、ハッとさせられる事も多々あります。登場キャラの顔も、現実の世界で実際に居てそうな人物ばかりで、特にブスキャラの画がリアリティーがあってかなり笑えます。サブキャラでありながらも強烈に印象的な人物も多々登場するので、毎回読んでて飽きません。スカッとするぐらい笑いたいギャグ漫画を読みたい人にオススメしたい作品です。古谷実作品の入門編に最適だと思います。
第1位.古谷実「サルチネス」
古谷実「サルチネス」がおすすめの理由
この作品は、古谷実作品のなかでも、「ヒミズ」や「ヒメアノ~ル」の様に重たい内容で無く、ほのぼのとした部分やポジティブな部分が現されている所が好きです。主人公の中丸タケヒコは、妹の愛ちゃんの幸せを祈り、妹の事を中心に考えて生きている男で、ある事をきっかけに、妹の幸せを第一に考えている自分が、実は妹を不幸にしていると感じ、家出をします。14歳の頃から17年間、家をに引きこもり、妙な修業ばかりしていた男が東京に出てきて、そこで色々な人物に出会い、成長していくという内容で、時に笑いがあり、古谷実作品の共通したテーマとも云える人生についても題材にした作品で、この作品にも色々な事を考えさせられました。主人公の中丸タケヒコは、俗にいう「変人」で、独特の価値観を持っています。ですが、その意見にも説得力があり、そういう考え方もあるのかと思わされました。妹のために空回りする事が多々あるけど、頑張る主人公や、妹とのお互いをちゃんと想い合ってる感動的なシーン等、泣ける場面も多々あり、感動させられる作品でもあります。登場人物も良い人ばかりで、個性も強いので印象に残っています。作品のラストが特に印象的で、主人公のセリフが心に刺さったのと同時に、なかなか言える事じゃ無いけど、いつか自分もそう思えたら良いなと思いました。単行本全4巻ですが、中身が濃く、まるで映画みたいな作品です。