徳弘正也おすすめの漫画ランキング
好きな理由は主に3つ。まず、作品内における緩急自在な表現力。シリアスな展開の中にも必ず下ネタをぶち込む徹底ぶりは唯一無二と思われます。そして書き込み力。時にうるさかったり汚く見えることもありますが、先生の(キャラクターの)思いや感情がひしひしと伝わってきます。最後に先生の描く女性の胸の丸さです。これは週刊少年ジャンプの大先輩でもある永井豪先生から受け継いでいる先生の魂ともいえる表現だと思います。(この丸い胸、徳弘先生からワンピースの尾田先生が受け継いでます)徳弘正也さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第5位.徳弘正也「ふぐマン」
徳弘正也「ふぐマン」がおすすめの理由
遺伝子組み換えという人間の底知れぬ業をシニカルに笑いとサスペンスを織り交ぜながらその怖さや便利さ痛烈に描いた良作ではないかと思います。主人公は美人さんを前にすると極度に緊張してしまい話すことすらできなくなる体質?なので、遺伝子をチョイチョイっといじってそんな自分とオサラバしようと考え虎の遺伝子を組み込むことに。しかしトラフグの遺伝子を組み込んでしまいさぁ大変てな感じでドタバタと物語は始まるのですが、これってよく考えると恐ろしい話ですよ。自分の子孫を作るためならば人間ではない他種さえも自分に取り込んで子孫を残そうとする・・それだけでも十分身勝手で恐ろしいのに目的にそぐわない遺伝子を組み込まれちゃうなんて実際にあったら笑い話にもなりませんからね。遺伝子操作はよく神の領域なんていいますが、科学の発達によって人間より下位に位置付けられた感のある神。そんな神の領域なんてもはや言葉だけのものなのかも知れないとこの作品を読んでいて思いましたね。悲喜劇を装ってはいますが身近にある人間至上主義のおぞましさを本作は教えてくれます。各話ごとにマドンナ的女性が登場し恋愛手前で終了という寅さん的な作りなので、軽い気持ちで読み進められましたのでもっともっと長く続いてもよかった作品ではないでしょうか。
第4位.徳弘正也「Wrestling with もも子」
徳弘正也「Wrestling with もも子」がおすすめの理由
当時からすれば先に行き過ぎていたのでしょうね、短命に終わってしまった不遇の作品です。今では格闘女子を追いかける方々を特段マニア扱いしませんけれど、この当時はまだ今ほど一般的ではありませんでした。主人公のイサムは女子レスリングジュニアチャンピオンのもも子とお近づきになってあわよくばその鍛えられた筋肉に直に触れてみたいというマニア心とエッチな下心からレスリング同好会を作り、もも子と関係を築いていきます。今ならラノベにゴロゴロありそうなシチュエーションですね。後引き漫画ばかりの先生の作品の中でも本作は特に後引き感が強いです。もっともっと広がりを作れたのでは?と今でも思ってしまいます。先生が可愛い女性キャラの描き分けが不得意でなければもも子のライバル(可愛い子)をもっと増やせたのではないか?先生、同人誌で続き書いてくれないかな?等・・。だってわずか2巻で完結しているのですから。本作のような風刺も問題提起も無い青春漫画を、平凡な男の子が非凡な女の子に憧れを抱き恋をする物語を、あの徳弘正也がこの先描いてくれるわけがありません、だからこそ貴重なのです。未読な方は苦手感まるだしな徳弘正也を感じられるかもです。
第3位.徳弘正也「狂四郎2030」
徳弘正也「狂四郎2030」がおすすめの理由
「ふぐマン」同様に遺伝子にスポットを当て、それにナチスのような選民思想、集団的心理を結び付け、さらに人間が科学を管理支配していたつもりが、いつのまにやら科学が人間を管理支配するという現在も危惧されている状況を舞台にした大恋愛物語。現実の歴史的事実と重ね合わせている事項を用いて物語の世界を構築しているので「あるかも・・」と読み手に思わせる説得力があり、リアルに感じます。本作では徳弘メカとでもいうべきような独特のアナログ感を纏ったメカが随所で見られ、そのメカらしいメカっぷりが作品の世界観を広げてくれるだけでなく、読み手の物的興味までくすぐるのです。(例えるならスターウォーズや鳥山明の世界)ウンチクめいた説明セリフをキャラクターに随所で語らせていますが、それらセリフを煩わしく感じるまでには至らないギリギリのバランスを保ちながら最終話までいくので読みづらいとか難しいと感じることはありません。しかし、誰しもが持つ身勝手で卑怯で姑息な感情をこれでもかと見せつけられ、過度な残虐描写もリアルな世界設定ゆえに生々しく感じることが多くて決して読後感の良い物語だったとは言えません。主人公は自分と彼女と犬だけの未来しか考えていません。世界を変えようだなんて思っていないのです。恋に盲目な二人がいちばん怖いというオチに賛否が分かれるでしょうけれど、そんなもんだよなぁと変な説得力を持った忘れられない「恋愛」漫画です。
第2位.徳弘正也「近未来不老不死伝説 バンパイア」
徳弘正也「近未来不老不死伝説 バンパイア」がおすすめの理由
本作は「昭和不老不死伝説 バンパイア」の続編になります。ですので「昭和~」から読むことをお勧めしますが、主人公は同じですのでこちらの「近未来~」を先に読み、後で「昭和~」を読んでも主人公たちの前日鄲として面白く読めるものと思います。(表向きの主人公は本田昇平ですが、徳弘先生にとっての主人公は十文字篤彦でしょう)「昭和~」「近未来~」共に難しいテーマに正面から挑戦しています。マザーコンプレックスと宗教。このマザーコンプレックスには性的対象としての要素も含まれる為ドロドロ感は否めません。スッキリ爽やかな読後感どころか人によっては忌み嫌う感情になるかもしれません。それでもこの作品が数ある先生の作品の中で異質な光を放っていることは間違いなく、先生にとって意欲作であったであろうことは想像に難くありません。宗教における偶像や奇跡をバンパイアと呼ばれる不老不死体質者と絡めた上に、我々が植え付けられ見て見ないふりをしている聖母の処女性をこれでもかと完全に否定し、母性愛と人類愛は似て非なるものだと訴えてるように見える「近未来~」はある意味問題作と呼べるのではないでしょうか。
第1位.徳弘正也「ジャングルの王者ターちゃん♡」
徳弘正也「ジャングルの王者ターちゃん♡」がおすすめの理由
「新ジャングルの王者ターちゃん♡」も含めてこの作品が徳弘正也先生の中でベストだと思っています。少年漫画でありながら主人公には奥さんがいる!(それも容姿端麗な美人とは真逆)同時期に連載していた漫画でそんな設定の漫画ありませんでした。初期の下ネタ的お笑い一辺倒からシリアスな題材をぶち込んできたり、格闘漫画ばりの展開になっていった後期と、徳弘先生ならではの描写が完成されたのはこの前期後期で展開が変わったことによってより完成されたように思えます。良い意味でも悪い意味でも徳弘正也スタイルが固まったといえる作品と思います。ふっざけた下ネタを合間に入れながら環境問題や動物保護、化学や先端バイオテクノロジーといった事柄に造詣を深めていったのもこの作品あってのことでしょうし、格闘アクションにしても当時人気のバトル系漫画と一線を画したものを模索して理論的アプローチを取り入れたのもこのターちゃんからではないでしょうか。下ネタもどんなにシリアスな展開からでも下半身に結び付ける術を先生が身につけたのもターちゃんあっての賜物と思います。(アニメ放送開始日は下ネタをどうするのか見たくて帰宅時間を意識していたのを覚えています)本作からは徳弘先生がまだ右往左往する様が見て取れますし、若さもあってか勢いみたいなものも作中から感じられ、アクションや下ネタも現在より弾けているので、未読の徳弘正也ファンの方には新鮮に映るでしょう。