- 芥川龍之介おすすめ作品ランキング
- 11位. 芥川龍之介「或阿呆の一生」(2票)
- 11位. 芥川龍之介「河童」(2票)
- 11位. 芥川龍之介「歯車」(2票)
- 11位. 芥川龍之介「奉教人の死」(2票)
- 11位. 芥川龍之介「蜜柑」(2票)
- 11位. 芥川龍之介「侏儒の言葉」(2票)
- 9位. 芥川龍之介「あばばばば」(3票)
- 9位. 芥川龍之介「トロッコ」(3票)
- 6位. 芥川龍之介「芋粥」(4票)
- 6位. 芥川龍之介「杜子春」(4票)
- 6位. 芥川龍之介「桃太郎」(4票)
- 5位. 芥川龍之介「鼻」(6票)
- 4位. 芥川龍之介「地獄変」(9票)
- 3位. 芥川龍之介「藪の中」(10票)
- 2位. 芥川龍之介「羅生門」(14票)
- 1位. 芥川龍之介「蜘蛛の糸」(15票)
- 1票入った芥川龍之介のおすすめ作品も紹介
芥川龍之介おすすめ作品ランキング
読書好き100人の方に芥川龍之介さんのおすすめ作品をお聞きしランキング形式でまとめました。面白い作品ばかり、ぜひ読書の参考にしてみてください。
11位. 芥川龍之介「或阿呆の一生」(2票)
芥川龍之介「或阿呆の一生」がおすすめの理由
この小説は芥川龍之介が自殺した後に見つかった作品の一つで、自伝的な小説と言われているものです。主人公は明らかにされていませんが、読み進めていくうちに芥川龍之介の視点で書かれていると私は思います。芥川龍之介が生まれてから死ぬ前までのことが淡々と進んでいきます。短編なので読みやすいし、何を思っていたのか、何をしていたのかが少しでも分かる内容だと思います。また、今はなくなった当時の日本の風習も書かれています。(30代女性)
芥川が自殺したあとに見つかった短編小説。陰鬱な精神状態の中で、絞り出した文章で重々しい。どうにも生活が窮迫していく様子が淡々と臨場感をともなって書かれている。度々出てくるセンテンスで、綺麗だなぁと感じるものがあった。(30代女性)
11位. 芥川龍之介「河童」(2票)
芥川龍之介「河童」がおすすめの理由
「河童」に様々な人間の思いを託した作品です。この世に生まれそうになったときに、「お前は生まれたいのか?」と、聞くのです。「こんな世には生まれたくない」と返事をすると、母のおなかはすっとへこんで生まれようとしていた子は、いなくなるのです。こんな話にビックリします。この世に生きることを「河童」に託して語っています。(60代女性)
芥川龍之介の代表作ともいえる「河童」。虚構ではありますが、人間社会にも置き換えることができます。この作品の中では実際、河童のお産の場面もあり、この世に出てきたいのかと赤ん坊に問う場面が印象的でした。わかりやすいので、是非読んでいただきたい作品です。(20代女性)
11位. 芥川龍之介「歯車」(2票)
芥川龍之介「歯車」がおすすめの理由
実を言うと、決しておもしろい小説というわけではありません。スケッチ的に、現実と幻想が述べられているのですが、その文章がやたらときれいなのです。きれいで、そして、怖い。砕けたガラスの破片のような感じです。そして、ラストの、妻の言葉。これが怖かった。へたなホラー小説よりも、ショックを受けたものです。(60代男性)
主人公の僕がだんだんと追い詰められていく様子を描いています。芥川龍之介は自殺して亡くなりましたが、こういった感覚に悩まされていたのかなと思った。狂ってしまうという不安を言葉に表すのはとても難しいが、それをこんなにもわかりやすく迫るように描写しているのがすごいと思った。(30代女性)
11位. 芥川龍之介「奉教人の死」(2票)
芥川龍之介「奉教人の死」がおすすめの理由
女性が男性を装って修道士として生活していると、或る姙娠した女性が相手はその修道士だと嘘をつきます。教会を追放された修道士は、火事の時に身を挺して人助けをしつつ燒死してしまいます。その純粋な他者への「献身」が美しく描かれています。(50代男性)
芥川の、キリシタンの話をまとめた作品。基本的には信心深い人が出てくるのですが、それ故大きな葛藤や苦悩、献身、棄教など、とてもスケールの大きな話が詰まっています。実際の資料半分、創作半分になっており、構成が凄く巧みだなあと感心するばかりです。(30代女性)
11位. 芥川龍之介「蜜柑」(2票)
芥川龍之介「蜜柑」がおすすめの理由
とても短い短編です。主人公が汽車で乗り合わせた田舎くさい少女。その少女の言動を疎ましく眺めていた主人公の心に一転感動を呼ぶその一瞬の風景の美しさがありありと目に浮かびます。とても読後感の良い素敵な小説でした。(40代女性)”
蜜柑 と書いて みかん です。これも短編ですが、短編小説の神が降りて来たような傑作です。わたし的にはこれを超える短編小説は読んだことがないかな。この小説も、最初は不快感から始まります。いかにも貧乏で不潔で臭い少女。それが列車でそばにいる。「イヤだなあ感じ悪いなあ」と思うものの、高級な人間である「私」は平気を装っています。これは『鼻』の主人公にも通じるところ。しかも、そのクソガキが窓を開けるのです。当時は蒸気機関車ですから、煙がモクモクなわけですよ。ここで「私」の不快感は頂点に達します。矛盾・葛藤・苛立ち。しかし、それが蜜柑によって解消されるのです。この結末も美しいですね。蜜柑の温かみのある色が宙を舞い、「私」の心も倦怠から脱却するのです。芥川の実体験だとも言われていますが、蜜柑の使い方が絶妙なんです。ひょっとしたら、実際には少女は窓を開けて弟たちに声を掛けた程度なんじゃないか、と思いますが。本当に素晴らしい。(40代男性)
11位. 芥川龍之介「侏儒の言葉」(2票)
芥川龍之介「侏儒の言葉」がおすすめの理由
小説や物語ではありませんが、芥川龍之介を知る上では外せない作品だと思います。哲学や神話、フランスに限らず海外の文学、時事の事柄に対する意見、政治の本質など芥川の博識と慧眼に驚きます。本当に頭の良い人だったのだと思い知らされます。(50代男性)
言ってみれば、芸人がお題をふられて面白いことを言ってみる、それと同じです。芥川の思想を探ることも、人生について考えることもせず、ただ楽しむことに努めるべき一つの作品でしょう。しかしそこから私たちの思想や人生に影響を与えるのだからすごいです。(30代女性)
9位. 芥川龍之介「あばばばば」(3票)
芥川龍之介「あばばばば」がおすすめの理由
まず話の題名が変わっているのでそこからして惹かれます。とても短い話ですが読んでいるうちに題名のことは忘れてしまうかもしれません。どういう風に話が展開していくのだろうと気になってきた頃に突如明かされるあばばばばという題名の意味には少し笑ってしまいます。よく考えてみればどうということのない話なのですが主人公の気持ちのささやかな移ろいが見事に描写されており、とても面白い小説です。(20代女性)
何気ない日常のやりとりの中に、一人の女性が人生の大きな一歩を進んだ瞬間が主人公の目線から客観的に捉えられていて、その客観的な視点だからこそ母になることの強さが伝わって来た。男性側から見たそんな母になった女性の思いが書かれている。(30代女性)
非常に短いお話ですが、印象に強く残る作品です。自惚れていた男が異国の女性を手籠めに出来るのではないか、と勘違いし、その胸の内を淡々と語る小説です。誰しもが経験するであろう、若かりし頃の恋の勘違い、青い思い出、思い出すと悶えてしまいそうな、苦笑いしてしまうようなそんな経験。これから経験する人にはピンと来ないかもしれませんが、ある程度の年齢の方には若かりし頃を思い出すきっかけになると思います。「あの頃は若かったな」と、読んだ後に苦笑してしまう、そんな小説です。(20代女性)
9位. 芥川龍之介「トロッコ」(3票)
芥川龍之介「トロッコ」がおすすめの理由
作品最後の校正の仕事をしている「私」の小説家を夢見て挫折した上京青年の哀切と、トロッコで遊び、家から遠い所まで来てしまった少年の哀切とのオーバーラップが見事な作品です。少年文学でもありつつ青年文学としても仕上げられている所に芥川の腕の冴えが感じられます。(50代男性)
トロッコは、芥川龍之介らしい仄暗さがあり、読後も釈然としないお話です。理不尽というか、大人の都合というか、要するに子ども時代の独特の感受性をえがいた作品です。大人にとっては大したことはない出来事でも、子どもの頃はあんな気持ちになったなと、思い出させてくれる作品です。(20代女性)
このお話は、一人の子供が大人へと成長していく物語です。幼いころの青春の苦い思い出、見たこと、知ったこと、感動したこと。年月が経ちふと蘇る記憶は、人生のあり方をひしひしと痛感しつつあるのだろうなと思いました。(30代女性)
6位. 芥川龍之介「芋粥」(4票)
芥川龍之介「芋粥」がおすすめの理由
国語の授業で習って以来久しぶりに読み返したのですが、どうにもならぬこの世の仕組みや人間の業が凝縮されていて悲しくも可笑しく、昔より数段グッときました。シンプルな文章でもって、残酷なまでに真実を伝える力はさすが文豪。並ぶものがありません。(40代女性)
よく夢や希望は達成されると燃え尽き症候群になるといわれますが、これは志の高さによるものではないでしょうか。五位みたいに子供にさえ馬鹿にされるような意気地のない、志の低い人間は達成前の夢を目の当たりにしただけで、夢が萎えてしまうということなのでしょう。また藤原利仁は自分の力をフルに利用し、五位に引導を渡したかったのではないでしょうか。現代の組織の中でも、部下を飲み食いさせ十分試すことができる方法かと思います。新人が入社したらぜひ試してみてください。(60代男性)
「今昔物語集」に題材を求めてアレンジし、現代も変わらない人間の業というものを鋭く掘り下げる手法が新鮮です。作品に漂う滑稽味が、面白いと同時に切なくて心に残ります。短編ですぐ読めるのに中身が濃いのも魅力です。(40代女性)
芥川龍之介の有名な小説より記憶に残っている短編です。冴えない男が一度でいいから自分の中で一番の馳走である芋粥を飽きるほど食べたいと願う。それがひょんなことから叶ってしまった後の心境が描かれた話ですが、人間のささやかな幸せというものについて考えさせられとてもほっこりするお話です。(40代女性)
6位. 芥川龍之介「杜子春」(4票)
芥川龍之介「杜子春」がおすすめの理由
お金持ちになりたい杜子春が仙人にいろいろねだっているうちに、畜生になった父母がめったうちにされる姿を見せられる、という話で、みなさんよくご存じでしょう。「お前が幸せになれるのなら、私たちはかまわないのだよ」と話す母の言葉に、しゃべってはならないとされていたのに、杜子春はつい「お母さん」と声を出してしまいます。ここのところ、私は子供のころに読んで、涙が出てしようがありませんでした。心温まる小説だと思います。(60代男性)
仙人によって、何度も助けられてお金もちになるも、その度に使い果たしてしまった杜子春。最後には仙人になるために多くの試練をクリアするが、最後の最高にどうしても超えられない試練が待っていた。短いけど、考えさせられる内容です。(30代女性)
この作品は、純朴な子どもが大人にある意味騙されるというお話です。精神的につらい箇所もありますが、だからこそ、子ども達には是非いまのうちに読んでおいてほしいなと思います。展開的には少しわかりにくいのですが、笑える部分もありますのでおすすめです。(20代女性)
お金持ちの家に生まれ、親の遺産を散財して一文無しになった男の物語です。不思議な老人と出会い、その老人の不思議な力によって、人生で何が大切なことなのかを気づかせてくれるお話です。甘い誘惑に惑わされる人間の弱さを教えてくれて、同時に人としてどう生きていくべきかを示してくれます。(30代男性)
6位. 芥川龍之介「桃太郎」(4票)
芥川龍之介「桃太郎」がおすすめの理由
誰もが知っている昔話『桃太郎』を作者がこれぞというほどこき下ろしており、全編がブラックユーモアにあふれています。桃太郎一行の欲望とエゴにまみれた行動や発言は我々がよく知る物語と違った印象を与えてくれるでしょう。そして彼らの言動はラストの因果応報へと続く筋道としては分かりやすいです。(30代男性)
私たちが、幼少期から読みきかされてきた桃太郎とは真逆の人間性で描かれるので、苦笑いの連続です。桃太郎はお爺さんお婆さんも手を焼く荒くれもの。鬼ヶ島へ鬼退治に出掛けるのも働きたくないから。家来にする犬猿雉の三匹は互いに仲が悪くしかも打算的!鬼ヶ島の鬼たちは平和主義者で平穏に暮らしており、理不尽に征伐されてしまう…。芥川らしいパロディ版桃太郎は是非多くの人にも知って欲しい作品です。(40代女性)
昔話の桃太郎を別解釈した芥川バージョンの桃太郎です。昔話は桃太郎が正義として描かれていますが、こちらは鬼視点の桃太郎で、桃太郎が横暴な男として描かれています。本当は怖いグリム童話のような大人向けの内容です。別角度から語られる桃太郎は新鮮で、皮肉めいて芥川らしい解釈で、正義とは何かを考えさせられます。(20代女性)
日本に幼いころから住んでいるのであれば、おそらく一度は触れたことがあるであろう桃太郎。桃太郎が善、鬼が悪という設定を真逆にし、感じの悪い桃太郎と善良な鬼という構造で物語が進むのが秀逸。「日本書紀」では、天照大神の使いとされた八咫烏が桃太郎が誕生するきっかけとなるのにも、土着の人々を滅ぼしていった朝廷のイメージと重なり面白い。芥川らしいニヒリズムにあふれた作品である。(30代女性)
5位. 芥川龍之介「鼻」(6票)
芥川龍之介「鼻」がおすすめの理由
主人公の内供は自分の長い鼻が悩みでした。少しでも鼻を短く見せようと、鏡を見て研究するも上手くゆきません。さらには道行く人々をじっと見つめ、自分の様な鼻はいないか必死で捜すのです。しかしその様な者はおらず、内供はさらに落ち込むのです。そしてあれこれ苦心しながらも、最後には自分の鼻を受け入れるのです。誰が読んでも面白い作品ですが、特にコンプレックスがある人にはおすすめです。(30代女性)
人間離れした大きな鼻を持った和尚を主人公にした短編小説で、教科書や課題図書で読んだことがある人もいると思います。コンプレックスを抱えた人間がいざコンプレックスを解消すると、逆に周りの言動が気になってストレスを抱えてしまうという人間の矛盾をユーモラスに描いており、ありのままに生きることの大切さを感じられる1冊です。自分のコンプレックスに悩まされている人はぜひ読んで欲しいと思います。(20代男性)
自分の長い鼻を酷く気にしているのに、そうでないように振る舞う僧侶の心の中を見事に描いている。人はコンプレックスから逃げたくなる。克服する。少し好きになる。いつの時代も人とコンプレックスの関係は変わらないかもしれないと悟った物語。(30代女性)
夏目漱石に絶賛された初期の短編です。芥川は全作品読みましたが、人間の可笑しさが、愚行を経て解消されるという明るい結末が好いですね。あと味が良いと言いましょうか。矛盾や葛藤が素直に解決されるパターンで小説を書くと薄っぺらいものになりがちですが、この作品は、シンプルでいて深みがあります。短い話ですし、青空文庫でも読めますので、もし、未読でしたらぜひお読みください。(40代男性)
短い物語の中に人間の内面の心理や葛藤が端的に描かれているところを秀逸に感じる。シリアスな教訓とそこはかとないユーモアが織り交ぜられており、やや説教めいた内容とも取れるが、結びは爽やかで晴れ晴れとした読後感がある。(30代女性)
いたってシンプルな内容で本好きの方には物足りない作品かと思いきや、今の時代にすごく合う作品だと感銘を受けました。人と違うところがあってそれは個性となることなのにそれを無理矢理変えてしまいコンプレックスを克服するような話なのだけれども、今も見た目や宗教など人と違うというだけでそれを不幸だと笑ったり、しかしその不幸を乗り越えれば次にまた違う幸福を求めてしまう。人間の欲深いところが描かれていて非常に深くみなさんに読んでもらいたい作品です。1916年に書かれた作品とは思えないほど深い内容のものです。(20代男性)
4位. 芥川龍之介「地獄変」(9票)
芥川龍之介「地獄変」がおすすめの理由
『地獄変』は芥川龍之介が、説話集『宇治拾遺物語』の「絵仏師良秀」独自にアレンジした作品です。醜くて傲慢な絵描きの良秀には、親からは信じられないような心優しく美しい娘がいた。その娘が取り上げられてしまい、虫の居所のよくない良秀。そこへその娘を取り上げたものから地獄変の絵を描くように申しつけられ、当てつけのように、実際に見たものしか描けないというと、描くように申しつけたものは牛車に良秀の娘を乗せて火を放ち差し出します。それだけで胸が苦しくなるような話ですが、良秀は見事な絵を描いて見せるのです。作品には良秀の心中は描かれておらず、芥川ならではの、そこから先は読者の心の中に預けられてしまうという作品です。(40代女性)
いやがらせのため行われた愛娘の火あぶりを見ても、それを参考に絵を完成させることを悩みもせず優先させ娘を見殺しにした絵師の狂気が恐ろしいです。ショッキングで過激な内容ですが、不快感はないので驚きはしますが読みやすいです。人間の執念のおぞましさやいやらしさが、読んでいて垣間見えてくる物語だと思います。(20代女性)
とても有名な中編ですが、注ぎ込まれた熱量に寒気を覚える程です。最高の地獄絵を画くために娘が焼け死ぬところを見つめつづける…ただそれだけなのに、人間の愛憎が詰め込まれて、文字から紙面から溢れ出ているような作品です。実際に読んであの炎の熱さを体感して欲しいです。(40代女性)
ある絵師が、地獄の様子を絵に描こうとして、焼かれて死ぬ女性を実際に見なければ描けないという。そこで彼の娘が焼き殺される様を見せられる、という話です。自分の娘が焼かれていく様子を見ているときの絵師の目がギラギラを光っている、というイメージが、今でも私の脳に残っています。強烈な作品です。(60代男性)
現実主義で作風が暗く読了後どこかモヤモヤする芥川作品だが、このモヤモヤこそが芥川作品の面白さだとわたしは思う。芥川龍之介は朧げな不安のなか自殺という人生の決断をしたが、現代へ生けるわたし達は芥川作品から様ざまなモヤモヤとその真意を感受することができそれは芥川作品の醍醐味と言えよう。そんな芥川作品のなかでも『地獄変』は、圧倒的な描写力でクライマックスの恐ろしくも美しい光景が目に見えるようであった。(20代女性)
「宇治拾遺物語」の中の説話を元にした短編です。登場する人間模様を描くことによって物語が豊かに展開し、しかも本質を突いていて深い。芥川の本領がいかんなく発揮されています。個人的には父に焼き殺される娘を慕って火に飛び込んでゆく猿のイメージが、目に見えるような臨場感で心に鳥肌が立ちました。(40代女性)
芸術至上主義を扱った話、のように見えながら大正らしいエロ・グロ・サド・マゾの気風を盛り込んだサスペンスになっていて、個人的には後の江戸川乱歩のような退廃的探偵小説っぽさのはしりを感じるところが面白いと感じます。(40代男性)
この小説は、私が初めて学校の授業で学習した、芥川龍之介の作品です。どうやら『宇治拾遺物語』の、『絵仏師良秀』というお話が元ネタのようで、私は古典作品も学習したのですが、ストーリーのあまりの悲劇が、芥川龍之介の洗練され気迫に満ちたゾッとするような語り口と相まって、非常に衝撃を受けたのを覚えています。最高にリアルな作品を追及するあまり、主人公の良秀は、最終的に自分の愛する娘を犠牲にし、炎に苦しみ焼け死んでいくさまを描写することになるのです。当時は非常にショックを受けましたが、今読み返すと、この作品には、芸術家としての芥川龍之介の、ほの暗い業のようなものも込められているのではないかと思われてなりません。狂気に満ちた、ゾッとするストーリーですので、何度も読み返したい作品ではないかもしれませんが、是非一読して欲しい小説です。(20代女性)
平安時代の絵師が殿様から地獄の絵を書くよう命じられ、地獄の絵を描いていく話。
絵師は変わり者で、絵のためであればどんなことでもする人物。家族を失うほどのことがあっても芸術を優先する絵師の気持ちは理解できないものの、読んでいてどんどん引き込まれた。(30代女性)
3位. 芥川龍之介「藪の中」(10票)
芥川龍之介「藪の中」がおすすめの理由
盗賊・殺された男・その妻と、三人の話です。それぞれの話が全く違う・・一体真実は何だったのだろうか。実際は何が起きたのか。物事がわからない時に「藪の中」という言い方をしますが、そのもとはこの小説です。「羅生門」として、映画化もされました。三船敏郎主演です。(60代女性)
自分なりの考察や解釈をするのが楽しい作品です。わかりやすく書かれていなくても物語の真相をある程度想像することができる小説はたくさんありますが『藪の中』は、それができません。いろんな仮説を立てることはできるのに、そのどれが本当の正解であるかは、結局何度読んでもわからないようになっています。きちんとしたオチがないともやもやするという方には向かないかもしれませんが、考察等好きな方はぜひ読んでみてもらいたいです。(20代女性)
ある男が藪の中で死んでいた。犯人が捕まり、その調査にあたった者、被害者の関係者などの証言を淡々とまとめただけの話。だけど、あれこれ考えてしまってすっかりハマってしまう。いまだにこの真相を巡り討論が起こるのもわかります。(30代女性)
読後、煙にまかれたような気持ちになる。多襄丸、女、死霊となった男(女の夫)の三者が殺人事件の証言をするが、内容が食い違っていて真相がわからないという点が面白い。芥川の王朝物(平安時代の京都を舞台にした作品群)の中でもとりわけ完成度が高いと言える。(30代女性)
ご存じ、黒澤明の映画「羅生門」の原作となった小説です。実は芥川には「羅生門」という作品もあるので、その昔、私は混乱したものですが、本作が映画の原作です。各パートごとに語り手がおり、めいめいに事件の模様を語る。しかし、それぞれの話が食い違っていて……という話です。あまり固く考えず、ちょっとしたミステリーとして読めばよいのではないでしょうか。(60代男性)
それぞれの登場人物の独白で繰り広げられて明るみになっていくサスペンス調の展開は、本当に面白くてぞくっとします。多くの説明がなくとも、人間の心の闇や、対面的な部分が描かれているのが読み応えあります。朗読劇などにも使われる作品ですが、やっぱり読むのが一番おもしろいと思います。(40代女性)
ある殺人事件について、それぞれの登場人物が証言をします。ところが、みながみな食い違った証言です。最初は誰が本当のことを言っているのかという推理小説を読むような気分で読んでいました。結局は事件の真相はわかりません。読み終えたあとには犯人探しの推理というより、事実はひとつでも真実は人の数だけ存在するのではないかという思いをつきつけられます。そして、読めば読むほど証言を深読みしたくなり、読む度に別な面が現れてくるという複雑さはなかなか他の小説では味わえない醍醐味だと思います。(30代女性)
他の作品も素晴らしいものが多いですが、何度も読み返してしまうのは「藪の中」でしょうか。どの人物が語っているのが真実なのか。あるいは誰もが偽りを言っているのか。何度読んでも答えは出ません。芥川自身がどのような回答を考え用意した作品なのか、とても気になります。(40代女性)
登場人物は夫婦と盗賊。その中で夫が殺されてしまいます。妻は盗賊が殺したというが、盗賊は自分ではないと言う。霊となって現われた夫は妻だと言い、三人の証言がそれぞれ違うのです。夫を殺したのは誰なのか?誰が本当のことを言っているのか?最後まで本当のことは分からない・・・という結末です。(50代女性)
藪の中を題材にした朗読劇を見てとても面白かったので、原作を読みました。とある殺人事件をめぐり、それぞれの自白や検非違使による聞き込みが順番に語られていくのですが、それぞれ言っていることが違うので、誰が正しいのかはたまた皆嘘をついているのか、矛盾を探したり推理するのが楽しいです。それぞれの視点で語られるので、状況は同じことを話しているはずなのに飽きずに一気に読めてしまいます。(20代女性)
2位. 芥川龍之介「羅生門」(14票)
芥川龍之介「羅生門」がおすすめの理由
人間の、生きるためならしかたないという考えから来る悪事が他者に伝染していく様が、鮮やかに描かれていると思います。さっきまでは正義の心を以て他者を戒めていた男が、驚くほどすぐにあっさりと悪事を行うという連鎖が、現代の日常生活でも実は頻繁に起きていることなのではないかと考えると、痛烈な皮肉のようで面白いです。内容を知っている人も多いであろう有名な物語ですがおすすめです。(20代女性)
放浪の下人が街を歩き、誰もいなくなった羅生門へたどり着いてからの展開が臨場感溢れる描写で書かれており、風景が目に浮かぶようです。また、追い詰められた下人の悪事に対する葛藤の心情描写は真に迫るものがあります。(10代男性)
高校の教科書に載っていました。羅生門の中で展開される話ですが、描写が生々しく、リアリティのある表現で書かれているのであたかもその場にいるかのような気分になる物語です。人間は、極限状態になるとどのような行動をとるのかが分かる小説です。(30代女性)
京都に天変地異が起き、つかえていた主人から解雇された下人は、飢え死にをするべきか、盗人になるべきか「究極の選択」を強いられます。下人は、櫓の中に広がっていた「あちら側の世界」の住人になり、櫓の中から飛び出して夜の闇に消えていきます。生きること、命とは何かを芥川の言葉が問いかけてくる迫力ある作品です。(40代女性)
ほとんどの人間が悪者になりたくないと思い、そうならないように気を付けて生きている。例え嘘の仮面を被って生きていくとしても、悪者にならないように生きている。果たしてそれは人間らしい生き方なのか、人間として生きていく強さとは何か、そういった事を考えさせてくれる傑作短編。(30代女性)
これは私が中学の頃、教科書にのってたものですが、内容が暗黒的です。一人の男が生活苦から犯罪をするかを考え、良心の呵責に苦しみますが、老婆の「生きるための悪は許される」という言葉を受け、悪の道へ堕ちていくものです。きっかけさえあればどんな人も悪になるということを考えさせられる話です。(20代男性)
学生時代に国語の授業で習うはずですが、大人になって読むとまた考えさせられる。
飢餓に苦しむ一人の若者。飢えてもなお、善人で居続けた彼がほんのちょっと残った正義感を完全に捨て去るシーンの衝撃。改めて、この心の機微に感動した。(30代女性)
短編ではあるが、心理描写がしっかりしている。舞台は平安時代の羅生門、登場人物は下人と老婆。双方餓死してもおかしくない身の上だった。生死に関わる状況では、悪の道に染まる者もいれば、染まらない者もいて、羅生門はその境い目の象徴として描かれている。(30代女性)
人間のエゴを描いているところが衝撃的でした。人間って一体何なのだろうと考えさせられます。死体の描写が怖くて、それ以上に人間が怖いと思った作品でした。若いうちにぜひ読んで欲しいと思います。純文学が苦手でもこれはわかりやすいのでおすすめです。(40代女性)
主人公の下人が、物語の初めではこの先どうやって生きていけばいいか悩んでいるが、盗賊になる勇気が無くて途方に暮れていたのに、物語の最後には老婆に会って勇気をもらって老婆の服を奪って逃げ去るところが人間くさくて面白いと思ったから。嫌いになれないなと読む度に思う。下人はどこに行ったんだろう?と、つい物語の続きを考えてしまいます。(20代女性)
下人の心理の変化によって人のエゴイズムが巧みに描かれているため。また、これを読むことによって何が正しいか、自分が下人と同じ立場だったらどのようにするかなどを考えることによって人として成長できると思っているから。(10代男性)
暗くて重い世界の中、生きていくために悪人になることを選ぶまでの主人公の葛藤が見事に描かれている名作です。クラス、部活、家庭と人間関係で悩み揺れ動く思春期の時になぜこんなに暗くて重い話を勉強せねばならぬのかと思いましたが、思春期だからこそ、真っ向から闇に向かう作品を勉強できてよかったのだと思います。人間だれしもが持つ闇に向かい合うことで気が付く自分の光があるのだと学んだ作品でした。(20代女性)
生きるための悪を描いた残酷だけれどどこか共感する本です。普段自分のことだけになりがちで、まさに下人そのものではないかと考えさせられます。色々ないみで貧しくなると人間に余裕がなくなるという貧困の極みをみせつけられる作品です。(30代女性)
芥川龍之介のお薦めといえばやっぱりこれ。教科書でお馴染みの表題作他、初期の作品を充分に楽しめます。エゴイズムや劣等感・愛するものへの複雑な感情等、人間のネガティブな側面が冷徹に描かれています。「芋粥」は、読んでいて主人公が可哀想になる程。これからもずっと読み継がれてほしい短編集です。(40代男性)
1位. 芥川龍之介「蜘蛛の糸」(15票)
芥川龍之介「蜘蛛の糸」がおすすめの理由
地獄に落ちている主人公に、お釈迦様が「蜘蛛の糸」を垂らします。これをつたえば地獄から抜け出せる・・主人公の後には、地獄の住人が、我も我もと登ってくるのです。主人公は自分だけが助かりたいがために、「我欲」だけの行動に出ます。すると「蜘蛛の糸」はぷっつりと切れて、主人公はまた地獄へと落ちていきます。仏教説話的な話ではありますが、含むところの多い話です。「我欲」の行動に出なければ、地獄から這い上がることができたのだろうか・・(60代女性)
中学の教科書で知り、その後大人になって読み返しました。罪悪に満ちた人生でも一点でも良心に添って小さな生命を助けた行動で地獄から這い上がれるチャンスがあるという内容は、何気ない日常が次のステップに繋がり、悪事も本人の記憶にさえないちょっとした善行で許されるという心の救いを感じます。自分の行いは自分に帰ることを意識する作品です(60代女性)
蜘蛛の糸によって救われるはずだったカンダタが自分の利益のために他の人を見捨てようとしたシーンで、やはり人の本質というものはそうそう変わるものでは無いのだと気付かせてくれますし、他人を蔑ろにすると自分に行いが返ってくるというような寓話的なメッセージが含まれたお話なので読んでいて勉強になります。子供にも読ませたい名作ですし、おすすめです。(20代女性)
短い物語ですが、人間の本質をズバッと現していると思うからです。もし自分が同じ状況にあったら、私はカンダタと同じことをしたと思うし、世の中の多くの人もそう思っていると思います。自分が一番かわいい、自分さえよければ他の人がどうなってもいいという考えを否定しようとするけど、否定できない。人間の深い部分をついた作品だと思います。(50代女性)
有名な作品の一つで、道徳的な寓話。この話の教訓は、人や生き物に親切にしていれば、自分が窮地に立たされたときに助け出してくれる人もいるかもしれないから、人に優しく接しなさい。誰が見てるかわからないよと教えてくれる。(30代女性)
人間の心の浅ましさ、業の深さを描き出した作品で、英語の教科書にも載っていたように思います。カンダタが後ろから上がってくる罪びとたちに「上ってくるな」と叫んだとたんにぷっつりと糸が切れるシーンが印象的でした。せっかくの仏の慈悲を自らの慾でふいにしてしまうところが身につまされます。それを見た仏様は悲し気な顔をされるだけで、天上界はあくまでも静かなままというラストが地獄のまがまがしさとの対比をより印象深くしています。無駄のない文章と鮮やかな切り口で短編の名手たる芥川龍之介の傑作の1つだと思っています。(50代女性)
教科書にも載っていて、あまりにも有名な作品です。地獄に落ちているカンダタにお釈迦様が蜘蛛の糸をたらすのだが……という話です。普通は、自分さえよければいい、というエゴイストは結局救われないのだ、という道徳的な教えを説いていると解釈されていますが、いやいやどうして、もっともっと深読みのできる作品です。(60代男性)
多分教科書などで誰もが1度は見聞きしたことのある話でしょう。誰でも過去に何か良いことをやっていれば、いつか報われる時が来るという功徳を与えようとするお釈迦様と地獄から這い上がりたい「かん陀多」をめぐる話です。この話は自分さえよければ、自分さえ助かれば他のものはどうでもいいという考えだと最後に自分をも滅ぼしてしまう「因果応報」の教えに通じると思います。一本の蜘蛛の糸を独り占めしようとした、小学生でも理解できる地獄の哀れな男の物語です。(60代男性)
とにかく内容が分かりやすくて、子どもにも比較的読みやすいお話だと思います。登場人物も基本的にはお釈迦様とカンダタという2人で関係性も分かりやすく、何より短かくオチも分かりやすい。読書が苦手な人や、芥川初心者の人に入門として薦めやすい作品です。(20代女性)
カンダタはせっかくお釈迦様から蜘蛛の糸を差し伸べてもらったのに、自分だけが助かろうとして結局は地獄に後戻りすることになってしまった。自分だけが助かればいいという、その人間の本質的な部分は誰しもが持っていると思うが、1人1人の命の重さは同じであり、助け合いの心を持って蜘蛛の糸を一緒に登れていたら助かったのかもしれない。短い話ではあるが、実に考えさせられるお話であるから、昔から好きな作品である。(20代女性)
自分のことしか考えなかった結果天国へ登ることができなかったカンダタの話から自分勝手ではなく相手を思いやらなければならないと言うことを学ぶことができ、いい教材だと思うため。また、文章の表現が優れているから。(10代男性)
オススメの理由の一つは芥川龍之介の本の中でも比較的読みやすい本だからです。児童向けの短編小説なので、長すぎず文章も仰々しありません。お子様でも読めると思います。内容は人間の欲望を忠実に描かれていて、私達人間の深層心理を抉ってくれます。このように大人でも子供でも気軽に読めちゃう「蜘蛛の糸」を私はオススメします。(10代女性)
私は日頃からついつい利己的な考えで行動してしまいます。この主人公カンダタとすごく自分がたぶり、普段から周りをおもいやる優しい気持ちや余裕を持ちたいと思います。普段の自分の行為を振り返らせるとても深い本だと思います。(30代女性)
この話はサイズ、要素の盛り込みとかから誰でも読めて面白いと思う。この作品を見てると地獄の事を考えさせられる。地獄は許しを乞うために日々過ごしていてそれに対して天国の釈迦はたった一つの善行で許されるチャンスを与える。あの世のメカニズムを垣間見た感じ。(40代女性)
芥川の作品の中でも、この蜘蛛の糸は代表的作品です。あらすじは、かんだたと言う泥棒が道を歩いていて、足元の蜘蛛をふみそうになります。その時に、蜘蛛に情けをかけてやり、踏み殺しませんでした。かんだたが捕まり、死刑にされ、地獄で苦しんでいるところを見た釈迦は、一度だけ蜘蛛に情けをかけたことに免じて、天界から蜘蛛の糸を降ろして慈悲をかけてやる話です。たった一度、蜘蛛にかけてやった情けが、事理分を救うことに繋がり、しかし、心の悪がそのチャンスをも失くさせてしまう、心のあり方を考えさせるお話です。(50代男性)
1票入った芥川龍之介のおすすめ作品も紹介
1票入った芥川龍之介のおすすめ作品も紹介します。ランキング入りはしませんでしたが名作揃い。ぜひ読んでみてください。
芥川龍之介「アグニの神」
芥川龍之介「アグニの神」がおすすめの理由
ちょっとしたミステリータッチの作品です。インド人の婆さんがアグニの神というものを信仰しながら、自らの都合が悪くなるとその神の言葉を疑いそして裁かれる因果応報のストーリーになっています。登場人物は少ないながら個性があり、その中でもやはりインド人の婆さんが一番灰汁が強く印象的でした。(30代男性)
芥川龍之介「お富の貞操」
芥川龍之介「お富の貞操」がおすすめの理由
明治の頃、上野戦争で混乱している世が舞台であることがまず珍しいです。戦という非日常にあって、思わぬ状況に直面した人間の異常な心理を切り取った鋭い切り口には、作者の人間観察における非凡な天才を感じずにいられません。「その時はなぜかそうするのが正しいと思った」という瞬間が確かにあり、しかし自分だけのマイノリティな感覚と思っていたそれを表現できるなんてと圧倒されます。(40代女性)
芥川龍之介「或日の大石内蔵助」
芥川龍之介「或日の大石内蔵助」がおすすめの理由
吉良邸討ち入り後の大石内蔵助の一日を描いた作品です。大望を果たし上機嫌な内蔵助のもとに、自分たちの評判や影響が聞こえてくることで再び今回の討ち入りについて自身見つめ直すという内容です。内蔵助と周囲のギャップ、それに気づいて徐々に内面の昂ぶりが冷めていく様子がよく描かれています。(30代男性)
芥川龍之介「一塊の土」
芥川龍之介「一塊の土」がおすすめの理由
作品の舞台は鎌倉っぽいですが、モデルは小田原出身で湯河原に嫁いだ人で、湯河原に行ってみると海にとても近い所にモデルの人の家があり、文学散歩をしてみると、鎌倉らしき設定の虚構性が面白い作品です。江戸・東京、ひいては日本の縮図として文学・芝居に使われてきた鎌倉を舞台に、芸術至上主義者らしからぬ近代天皇制批判が射程に入っている農民文学です。(50代男性)
芥川龍之介「戯作三昧」
芥川龍之介「戯作三昧」がおすすめの理由
心情や情景の描写に卓越していると思った。綺麗というよりはうまい、そして掘り下げ具合もちょうど良い。芥川は淡白な作家だと思っている人が多いと思うが、内臓助の心模様は妙に込み入り、しかし良い具合に綱渡りを見せる。何度もゆっくり読み返したい作品。(30代女性)
芥川龍之介「犬と笛」
芥川龍之介「犬と笛」がおすすめの理由
とある笛吹きの美少年がその笛のうまさに神様から不思議な力のある犬を貰って、その犬の力でお城のお姫様を助け出す、というお話です。後期の方に良くある昔話の類のものですが、話のわかりやすい単純明快な勧善懲悪ものに近く、読みやすくておすすめです。ただ、これを切っ掛けに読むのなら、後期の昔話のものを読む方をお勧めします…前期の方とは毛色が違うので…(20代女性)
芥川龍之介「枯野抄」
芥川龍之介「枯野抄」がおすすめの理由
松尾芭蕉の絶句「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」に取材した作品でありながら、芭蕉の死後の弟子たちのさまざまな思いを冷徹に分析的に描いているところが魅力です。師の夏目漱石の死によってその呪縛から逃れようもがいている芥川とも重ねて読めて面白い作品です。(50代男性)
芥川龍之介「秋」
芥川龍之介「秋」がおすすめの理由
芥川龍之介の小説は全部読みました。芥川といえば、地獄変や芋粥、蜘蛛の糸に代表されるように時代物の作家というイメージがありますが、実はとても近代的な小説が多いのです。秋は女性目線で書かれた、女性独特の意地悪な感じ、乙女ちっくな感じのある小説です。明治時代の女性が小さな世界でつまらない意地を張って、妄想の恋心で嫉妬したり張り合ったりする感じは、現代でも違和感なく通じるものがあり面白いです。芥川は女子をよく観察してたなぁと思います。ラストの虚無的な感覚、これも女性ならではの気持ちの動きだなと思いました。(40代女性)
芥川龍之介「神々の微笑」
芥川龍之介「神々の微笑」がおすすめの理由
西洋の神々が日本に訪れ自分達の世界との違いに戸惑うというあらすじです。最後は我々の神が「勝つ」のだ。西洋の宗教は自分たちこそ至上であるのだと信じるのに対し日本国は神道を通じ、たおやかに世界を包括する。日本人が失いかけている国体と魂を復刻させるために読んでおくべき良著。(40代男性)
芥川龍之介「雛」
芥川龍之介「雛」がおすすめの理由
落ちぶれた父親が娘の雛人形を売らざるを得なくなり、夜中にひそかにその雛を眺めるシーンの切なさが魅力の作品です。また語り手の娘が成長し、娘時代の思い出として語っているという設定もウマイ所です。横浜の街を歩いていると、そんなことが実際に昔にあったのではないかと思わせるリアリティーのある作品です。(50代男性)
芥川龍之介「西方の人」
芥川龍之介「西方の人」がおすすめの理由
芥川のキリスト観を記述。難解ではあるが、解説が秀逸なためとても勉強になります。
狭量というべきか、ストイックというべきか、自己に対する絶望感がありありと見受けられて、読み進めるのは面白くもありつつ少々息苦しい。(30代女性)
芥川龍之介「読んでおきたいベスト集」
芥川龍之介「読んでおきたいベスト集」がおすすめの理由
現代作家たちが読んだ芥川作品を集めた一冊で、有名どころがひとまとめになっています。芥川龍之介は文体も内容も読みにくい明治〜大正の文豪の想像を覆してくれた作家でもあります。精神的に迷走している現代人にはなにか感じるところがある一冊ではないでしょうか。(30代女性)
芥川龍之介「白」
芥川龍之介「白」がおすすめの理由
主人公の「白」は犬ですが、ある日、お隣の仲良し犬の「黒」が犬殺しの罠にかかりそうなのを見殺しにして逃げます。家につくと白かった自分の体は真っ黒になっていて、大好きな飼い主の家族の姉弟に、追い払われて宿無し犬になってしまいます。その後、子犬を助けたことをきっかけに、様々な人命救助をしますが、身も心も疲れ切って再び家に帰ります。そして、月に向かって黒を見殺しにしたことを懺悔し、死ぬ前に姉弟の顔が見たいと言いながら犬小屋で眠ってしまうのです。朝になり、姉弟の声で目が覚めると白い体に戻っていた、という芥川の童話?です。「白」に対しては、よく芥川の自殺願望だとかキリスト教への傾倒だとか、複雑に解説しているのを多く目にしますが、私はそこまで深読みせずに単純にこの物語が好きです。臆病だった自分のしたことが許せなかった白に対して共感するからです。誰でもいつも勇気を持った正しい行いができるとは限りません。特に自分の命が懸かった場合なら尚更です。だからと言って白に勇気が無いわけじゃないとも思うのです。その日は白にとって勇気が無かった日、だったのだと、そしてそんな自分が大嫌いで許せなかったんだろうと、考えるのです。自分の日常と照らし合わせてもよくある話です。しかし、最後は大好きな姉に抱きしめられて、白は涙を流します。そんな白の涙を見て「白が泣いている」と言った姉も弟に「姉さんも泣いてる」と言われたところで物語は終わるのです。芥川の作品で「泣けた」と言うとよく驚かれますが、「白」はそんな一冊です。(40代女性)
芥川龍之介「魔術」
芥川龍之介「魔術」がおすすめの理由
子供向けにわかりやすく書き直されたものを読んだのですが、人間の欲や業を見透かされるような、ドキッとする内容です。子供もなんとなく感じるものがあったようで、「なんかこのお話好き!」と言っていました。はじめは、『魔術』という謎めいたタイトルに心惹かれ、怖いものみたさという感じで手に取りましたが、読んでみると、そう来たかー!とうなってしまいました。とても短いお話なのに、ぐっと深い印象を残すところが、さすがは芥川龍之介だなあ、と思います。(40代女性)
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