【2019年】仁木英之おすすめの本ランキングTOP7
中国の歴史に詳しい筆者なので、とても詳しく地名などもでてきて為になります。また、どこか深夜アニメになりそうな可愛さの女の子たちが多く、セリフも魅力的です。ギャグのような要素も、シリアスな要素もふんだんに使って生き生きとした作品が多い為、愛読しています。仁木英之さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.仁木英之「先生の隠しごと」
仁木英之「先生の隠しごと」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第5作です。光の国があると聞き、向かう一行。そこにあったのはラクシア国という国。ラスクという若き王が治める国で、平等を歌い人々は楽しそうに暮らしています。でも、人間の世界で平等などあり得ません。実は、裏で目に着かぬところで働かされている人々がいました。ラクシア国の光と闇に王弁が挑んでいきます。一方、僕僕先生はラスクに惹かれていきます。ラスクは僕僕先生のかつての恋人・拠比に似ているようで、僕僕先生はラスクを拠比に重ねていきます。そして、2人は結婚すると言いだしたものだから王弁は大慌て。拗ねてみたり、怒ってみたり。でも、僕僕先生は変わりません。でも、薄妃は大人でした。王弁を優しく慰め、正しい道へ導く良き指南役として活躍します。僕僕先生がそんな状況なので、王弁は一人で行動を開始し、裏で働かされる人々を助ける為に奔走します。集団で病にかかる人々を先生の力なしで救ったことは、王弁をかなり成長させたのではないかと思います。そして、僕僕先生も目を覚ます時がきます。ラスクと拠比は違う人間であること、どんなに想っても拠比ではないこと…。ラスクに別れを告げ、一行と共に新たな旅に立つのでした。光の国・ラクシアは幻だったかのように消えていきます。僕僕先生のようなすごい仙人でも、愛するということだけはコントロールできないんだな、と人間味を感じることができて良かったと思います。
第6位.仁木英之「鋼の魂」
仁木英之「鋼の魂」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第6作です。胡蝶房の捜宝人・宋格之と、宋格之を父の仇と狙う呉紫蘭がメインとして登場します。程海は宋格之を仇としながらも、2人で孤児たちを育てています。宋格之が探しているのは秘宝・鋼人。舞台である洱海、程海に眠ると噂されているものの、未だ見つからず。四方八方から大国の脅威に晒される程海の人々は、湖の底に眠る鋼の神に命運をかけるのです。僕僕先生たち一行は湖の中に入っていきます。(息ができるようになるのですが、仙術とは便利です。)湖には確かに鋼人が眠っていました。少しうろ覚えですが、鋼人の中には日常が描かれているんです。でも、子供たちが消えていきます。古の戦いの中で亡くしてしまったのでしょうか。子供たちを守りたい、その強い強い気持ちが鋼人の中には詰まっています。鋼人は母親でもあったのです。王弁は、その鋼人の心に触れることに成功します。そして、鋼人が立ち上がるのです。(エヴァンゲリオンを思い起こしたのは私だけでしょうか…)彼女が立ち上がったことで、周囲も程海には簡単に手が出せなくなりました。最後は呉紫蘭が宋格之の子供を身籠もり、仇だった人と結ばれたり、うるさいだけだった馬銀槍がすっかり頼もしくなったり、僕僕先生一行以外のキャラクターがしっかり描かれた一冊です。
第5位.仁木英之「薄妃の恋」
仁木英之「薄妃の恋」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第2作です。5年の月日を経て再び旅に出る僕僕先生と王弁。2人の前に現れたのは熱愛中の男女でした。しかし、男の方は日に日に弱っていきます。王弁が不思議に思い、心配していると僕僕先生から驚きの話を聞きます。女はすでに人ではなくなった存在だというのです。好きな男のために、女性の皮を利用して人の姿を維持していた薄妃。でも人ならざるものと関係を続ける男は、徐々に無理がかかり弱っていくばかりだったのです。王弁はこのままでは愛する男が死んでしまうかもしれないことを薄妃に伝えますが、激しい抵抗にあいます。僕僕先生の助けも借り、薄妃を皮だけの娘に維持できるようにし、旅を続けていればいつか人のように膨らむことができることを諭します。こうして、薄妃が新しい仲間に加わることになります。愛する男と再び会えるように、薄妃は一度の別れを告げるのでした。他にも、短編集という形で雷神の子と少年の友情や、料理対決や、記憶をなくした兄の話などが盛りだくさんです。でも、僕僕先生と王弁の関係は相変わらず。僕僕先生は永遠とも思える長い時間を生きる仙人で、王弁は人間の青年。薄妃同様、難しい恋をしているのにこちらはのほほんとしていて、王弁てすごいな…と改めて思える一冊です。
第4位.仁木英之「僕僕先生」
仁木英之「僕僕先生」がおすすめの理由
見た目はキュートな若い女の子の仙人・僕僕とニートの青年・王弁が初めて出会うシリーズ第1巻です。王弁は何不自由ない暮らしをしつつ、のんびりと暮らしています。父親・王滔は、そんなニートの息子をみかねて、黄土山に住むという仙人に会いに行かせます。思いお酒を背負い、なんとか仙人の家にたどり着いた王弁の前に現れたのは、どうみても10代にしか見えない可愛い女の子。それが仙人の僕僕だったのです。僕僕は王弁に仙骨(仙人になるために必要な骨)はないが、仙縁はあると言います。僕僕に気に入られた王弁は弟子となり、一緒に旅に出ることになるのでした。旅先で出会う仙人・司馬承禎、老馬・吉良や古の神・帝江、そして黒い影の混沌。それらとの出会いや戦いを通し、王弁は薬師としても成長していきます。でも、僕僕先生は王方平、蔡経、麻姑らにより蓬莱山に戻ることになってしまいます。それから、5年。王弁は通信先生という名前を皇帝から授けられ、薬師として暮らしていました。王弁の元に僕僕先生が帰ってきます。「行くよ」新しい冒険の予感とともに本作は完となります。中国の歴史小説というと、難しいイメージがありますが、とても軽く読める作品です。まだ明かされない僕僕の背景や、2人の恋(?)の行方も楽しみに感じました。
第3位.仁木英之「胡蝶の失くし物」
仁木英之「胡蝶の失くし物」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第3作です。胡蝶房(暗殺などの裏方を請け負う集団)の劉欣が僕僕先生の暗殺の指令を受け、狙いにやってきます。劉欣はナナフシのように長い手足をした異形の人間で、その姿から両親に捨てられてしまいましたが、いい里親に恵まれ、その親に楽をさせるために、内緒で胡蝶に勤めている人情家です。仕事は冷徹ですが。ところが、僕僕先生は仙人なので、なかなか思うように仕事が進まず、仕方なくくっついていくしかありません。道連れとして一行に加わります。一方、薄妃は恋人に会いたくて仕方ありません。あるていど、人のようになれる時間が増えたこともあり、会いに飛んでいくのですが、そこで見たのは自分とは違う普通の女性と婚礼をあげる恋人の姿でした。怒り狂う薄妃。切ない幕切れとなってしまった薄妃でしたが、行くあてもなく、旅を続けることになります。現実は厳しいと感じたシーンです。劉欣が仙骨を持つ人間であることがわかり、ちょっぴり焦る王弁。王弁は僕僕先生とずっと一緒にいるために、仙骨を探し始めます。劉欣のほかにも蚕の蚕嬢(賑やかでプリプリしたかわいい女の子)が加わり、この先がどうなるのか気になるところです。
第2位.仁木英之「恋せよ魂魄」
仁木英之「恋せよ魂魄」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第9作です。出会いと別れのインパクトが大きい一冊となります。まず、冒頭から今まで長きにわたり共に旅をしてきた薄妃が呉紫蘭のもとに残ることにし、メンバーから離脱します。賑やかだった一行は少し寂しさを感じつつも旅を続けます。出会いも突然です。奇妙な格好をした術士・デラクです。どこかオネエっぽいデラクは薄妃が抜けたことであいた王弁の心の穴を埋めることができるのか…?そんな時、劉欣の両親が連れ去られ、劉欣は長安を目指します。ついに、胡蝶房の頭・貂が劉欣のもつ仙骨に狙いを定めたのです。そんな劉欣の後を追う王弁たち。この本は劉欣編と王弁編に大きく分けることができ、王弁編はタシという少女の病を治し、王善が薬師としてさらに成長するのを描きます。そして、劉欣編は暗殺集団胡蝶房らしくバトルの連続です。予想していた通りとはいえ、最後は悲しい悲しい別れが待っていました。ぶっきらぼうだけど、芯が暖かい愛すべき劉欣との永遠の別れです。劉欣は、王弁に自分の仙骨を遺していきます。物語の終局に向かいつつある気配を残す、渾身の一作です。
第1位.仁木英之「寂しい女神」
仁木英之「寂しい女神」がおすすめの理由
僕僕先生シリーズ第4作です。この作品が一番好きです。蚕の蚕嬢の正体が、水晶という巫女であることが判明します。恋のために封印を守る仕事を放り出した為、罰として蚕に姿を変えられていました。また、僕僕先生の過去が描かれています。過去の戦いで、僕僕は雷の女神として主力だったようです。そして、魃は黄帝の作り出した旱の女神でした。醜い姿、圧倒的な力。戦いが終わってしまえば、魃の居場所はどこにもありませんでした。全てを砂のように乾かしてしまう為です。魃は望まれて生まれたはずなのに、地中深くに封印されることになります。そして、今封印が解けつつあり、周りで雨が降らず問題になっていました。王弁はそんな魃を助けたいと思い、奔走します。とくに燭陰と共に古い戦友に会う為途方もない距離を超えていくシーンはすごかったです。王弁のまっすぐで疑うこともない姿勢に魃が癒され始めます。自分を恐れることもなく、信じてくれる王弁。今まで、疎まれることしかなかった魃にとって、それは恋心にも近いものに変わっていきます。最後は、僕僕と魃の睨み合いになりますが、王弁が初めて僕僕先生に反抗し、魃と話し合います。魃は王弁の為に再び封印されることを選びます。しかし、魃の恋心に全く気づかない王弁、そこにツッコミを入れる僕僕先生。最後はコミカルでしたが、シリーズで一番切ない恋だと思いました。