アルフレッド・ヒッチコック監督おすすめ映画ランキング
サスペンスの巨匠と言うだけにとどまらない、映画界の巨人。サスペンス映画を芸術のレベルまで引き上げた凄い人。作品はどれも非常に完成度が高く、今見ても鑑賞に堪えうるものが多い。人格的には酷い人で、キム・ノバクのインタビューでも素行の悪さが語られている。今なら確実にミートゥー運動の餌食になっているような人。
第5位.アルフレッド・ヒッチコック「裏窓」
アルフレッド・ヒッチコック「裏窓」がおすすめの理由
凄いサスペンス。ストーリーのほとんど全てが、一つの部屋で起こる。画面の何から何までが完成されている映画です。五四年制作。原作はサスペンスの巨匠、ウィリアムアイリッシュのサスペンスです。この映画はアカデミー賞に監督賞、脚本賞他四部門でノミネートされています。ストーリーはNYのアパートが舞台でになっています。ジェームズ・スチュアート主人公のはカメラマンです。事故で足を骨折して車椅子になってしまい、退屈を紛らわせるために、商売道具を使って覗きをします。一種の人間模様の観察ですが、悪趣味であることは間違いありません。犯罪的だとも言えると思います。こういう後ろ暗い趣味を持った人が主人公です。ある日主人公はどう考えても殺人としか思えない光景を見ます。殺人だと断定した主人公は、グレースケリー演じる恋人と調査を始めます。しかし警察はいくら説得しても信じてくれません。警察を説得するために決定的な証拠を二人は捜します。そして二人に迫る危機。部屋の狭さを感じさせないような技術が使われています。
第4位.アルフレッド・ヒッチコック「ダイヤルMを廻せ!」
アルフレッド・ヒッチコック「ダイヤルMを廻せ!」がおすすめの理由
興奮する映画でした。悪い人が主人公です。裏窓と同じく五四年制作です。同じ年度の裏窓がアカデミー賞にノミネートされたからか、この映画はアカデミー賞にはノミネートされていません。主人公である悪い男をレイ・ミランドが、不実な妻をグレース・ケリーが演じます。この映画に尊敬できるような人間は、ほとんど出てきません。本当に酷い話です。不実な妻と不仲になっている主人公は、妻の財産を得ようと思います。悪い知人をヒットマンに仕立てて、妻を殺そうと画策します。しかし妻がヒットマンを返り討ちにしてしまいます。妻は警察に捕まり裁判を経て、死刑判決を受けます。死刑が目前に迫り、完全犯罪が成立しそうになったときに、主人公は警察の追及を受けます。どうにか隠しきれなくなり、主人公は敗北を認めます。主人公はすがすがしいほどのゲス野郎です。サスペンスの形式がこういうドラマを求める、と言うことがあるのでしょうが、酷い人間を主人公に据えたものだと思います。この映画もほとんどの場面が同じ部屋の中で撮影されています。
第3位.アルフレッド・ヒッチコック「鳥」
アルフレッド・ヒッチコック「鳥」がおすすめの理由
鳥だらけです。それだけでも見事があります。この後沢山作られたパニック映画の原型になった作品。原型になるにふさわしいパワーを感じる映画です。この映画は鳥が主役、人間が引き立て役です。映画の中の現実を大きく変えるような力を持っていません。見ていて心細くなるように作られています。六十三年制作です。歴史に残る映画です。とにかく訳の分からない話。鳥が襲ってきます。凄い不安感です。だからなんなんだとも思いますが名作です。まず主人公達が危険な鳥たちに襲われます。主人公達は鳥から逃げようとして、追い込まれてしまいます。最後は家族を守って逃げようとします。本当にそれだけです。鳥には原因も理由もなにもない。防ぐ方法もないし、戦ってもむなしくなるだけで絶対に勝てません。本当に不安と恐怖を抱きながら逃げ去るしかないのです。逃げた先が安全だという保証もありません。本当に不条理の塊です。鳥に人格や目的を与えると、怖さはぐっと減ったと思います。こんなことを考え、実行してしまうところがヒッチコックのすごさだと思います。
第2位.アルフレッド・ヒッチコック「サイコ」
アルフレッド・ヒッチコック「サイコ」がおすすめの理由
ヒッチコックの映画には様々な名カットが無数にあります。その中でも屈指のカットがこの映画の中にあります。六十年制作。原作はロバート・ブロックです。この原作自体がアメリカの非常に有名な猟奇殺人事件を元にしています。私はロバート・ブロックの原作を読んだことがありますが、少し古びた感じがあります。映画の方も確かに古いのですが、そこまでの古さを感じさせません。主演はアンソニー・パーキンスです。かなり複雑な主人公の役を演じて、歴史に残る演技をしています。主演女優が殺されるシャワーシーンが語り草になっています。細心の計算に基づいて撮ったと結果ある逸話が生まれました。上映前のフィルムを検閲官がチェックするのですが、不合格なってしまったのです。「乳首が写っていた」と。実際に再検査してもらった所、誤解が解けたと言うことです。とても好きなエピソードです。偉い人の感覚を狂わせ、なかったはずの乳首を見せてしまう。技術の高さに驚くとともに、男の業の深さを感じさせる逸話です。
第1位.アルフレッド・ヒッチコック「北北西に進路を取れ」
アルフレッド・ヒッチコック「北北西に進路を取れ」がおすすめの理由
タイトルだけでも素晴らしい。イメージ喚起力のある良いタイトルだと思います。名シーンが多い映画です。五十九年に制作されました。アカデミー賞脚本賞をはじめ三部門にノミネートされています。この映画は質の高いスパイ・スリラーで、巻き込まれ型サスペンスです。主人公は悪い人間、感情移入を許さない人間ではありません。比較的一般に受け入れやすい作品になっていると思います。ケーリーグラントが事件に巻き込まれる広告会社の役員を演じています。最初にスパイと間違えられる主人公は、殺人者の汚名を着せられてしまう。主人公は全く関係ないのにもかかわらず、おとり・餌にされてしまっています。しかし何とか逃げ切り、一名をとりとめます。この映画の中でインパクトが強かったのは飛行機のシーンです。飛行機に追いかけられます。屹立する感じでかなり光っています。終盤にはラシュモア山国立記念公園のシーンがあります。アメリカの偉大な大統領四人の顔が形取られた崖でのシーンです。残念ながらロケではありませんが。派手なシーンの連続で、手に汗握ります。