是枝裕和監督おすすめの映画ランキングTOP5
社会問題をテーマにした作品が多い点、そして、大衆に迎合することなく、自身の伝えたいテーマをぶれずに伝えようとするスタイルはすごくかっこよくて好きです。見ていてハッピーになれる作品は少ないですが、見た後に必ず見て良かったと思える作品を提供してくれる稀有な監督だと思います。
第5位.是枝裕和「海街diary」
是枝裕和「海街diary」がおすすめの理由
是枝監督の作品は結構、救いようのない状況に追い込まれた絶望の淵にいる人が描かれる事が多い気がしていましたが、今作は比較的、マイルドな設定で気構え過ぎずにみれます。気構え過ぎずに見れるといっても結構、訳ありな人生を送っている姉妹たちの話なので、見応えは十分です。今作の特におすすめポイントが、演技派の若手女優たちのナチュラルな演技です。長女役の綾瀬はるかさんを筆頭に、次女役の長澤まさみさん、三女の夏帆さん、そして腹違いの妹役の広瀬すずさん、皆さんそれぞれに魅力的で物語に引き込まれていきました。鎌倉の街並みや時の流れと女優の皆さんの演技が上手くシンクロしていた様に感じます。是枝監督の作品らしく、大どんでん返しやみんながハッピーエンドになる様な結末はありませんが、そこがまた、リアルで自分の人生とも重ね合わせてしまいました。ドラマ性のある作品が好きという方や作品から何かを感じ取りたいと考えている方にはおすすめの作品です。
第4位.是枝裕和「誰も知らない」
是枝裕和「誰も知らない」がおすすめの理由
是枝監督を知るきっかけとなった作品です。当時は是枝監督という名前よりもカンヌで評価を受けた作品。あるいは、柳楽優弥くんが話題になった作品程度にしか見ていませんでしたが、いざ、作品を見てみると、色々と考えさせられました。私の中では、是枝監督の作品は見た後にスッキリとする事は無いと思っていますが、まさに今作はその典型と言える様な作品です。当たり前の暮らしを送る事がどれだけ幸せな事なのか、普通な生活がどれだけ恵まれている事なのか痛感させられました。人気の映画や話題の映画の多くは綺麗事が並べられたり、勧善懲悪なストーリーが多かったりしますが、今作では1つ1つのシーンが胸にガツンと響いてくるので、忘れられない作品になるでしょう。私もそうですが、特に子を持つ親の世代の方はこの作品を見た後には、より自分の子供が愛おしくなると思います。胸が痛くなるシーンが多いですが、特に成人以上の方に見てほしい作品です。
第3位.是枝裕和「そして父になる」
是枝裕和「そして父になる」がおすすめの理由
子供の取り違えが作品のテーマとなっているのが今作の最大の特徴です。交わる事のなかった2つの家庭が子供の取り違えというあってはならない事が原因で結びついてしまう姿が描かれています。今作の最大の見どころと言えるのが、福山雅治さんをはじめとする親たち、そして、不運にも運命に振り回せれてしまう子供たちの心の変化です。この作品は子供が生まれる前と生まれた後、それぞれのタイミングで見る機会がありましたが、子供が生まれてからの方が、より感情移入の度合いが高まりました。自分だったら、あの場面でどの様に接するのだろうか、生みの親なのか育ての親なのか。何度見ても、自分自身の中でも答えは出せていませんが、本当に家族のあり方や親子とは何なのかと言う事を考えさせられました。現代の医療環境では起こる事は基本的には無いかと思いますが、子を持つ親の方には是非、この作品を見て親子の結びつきについて考えて欲しいなと思いました。
第2位.是枝裕和「三度目の殺人」
是枝裕和「三度目の殺人」がおすすめの理由
見終わってあとにもやもやが残るのが今作の最大のおすすめポイントです。三度目の殺人の意味は何なのか、そして、誰が結局、真犯人なのか分から無いまま終わってしまいますが、それは自分たちで考えてみてねと言うメッセージだと思うので、謎解きの様に私は楽しんでいます。痴漢冤罪をテーマにした「それでもボクはやってない」が似た様な終わり方をしましたが、この手の答えを見せずに観客に考えさせる手法は嫌いではありません。きっと答えは無くて、見た人一人一人がこのテーマに関して、真剣に考える事自体が監督が伝えたい事、したい事なんだと思います。大衆に迎合して、分かりやすい痛快な作品も多いですが、その手の作品とは一線を画している是枝監督のスタイル、大好きです。また、犯人役を演じている役所広司さんの鬼気迫る演技はかなり見応えありました。あまり、役者の演技で度肝を抜かれる事はありませんが、今回の役所さんの演技には驚かせれました。感情の起伏の表現素晴らしかったです。
第1位.是枝裕和「万引き家族」
是枝裕和「万引き家族」がおすすめの理由
さすが、世界の映画祭や映画賞で数々の賞を受賞しているだけの事はある作品です。はじめから終わりまでスクリーンに釘づけでした。万引き家族と言うタイトルと写真から普通の家族が万引きをする話なのかと思ったら全く違う。そんなシンプルな話を是枝監督が描く訳もなく、かなり複雑な事情を抱えた家族の話でした。是枝監督ならではの観客に結末を考えさせたり、社会問題を投げかけるスタイルは健在で、今作でも色々と考えさせるシーンが随所にあって自分でも消化しきれているのか分かりません。決して、この映画を見てハッピーになると言う様な映画ではありませんが、家族とは何なのか、貧困、虐待など色々な事を考える良いきっかけになる作品だと思います。これまで是枝監督が映画で扱ってきたテーマが色々と凝縮されている彼の集大成を感じる事が出来る作品なので、ファンの方はもちろん、是枝監督作品を試しに見ようかなと思った人にも見てほしい作品です。