【2019年】有栖川有栖おすすめの本ランキングTOP7

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【2019年】有栖川有栖おすすめの本ランキングTOP7

現在のミステリ作家の中でも人気作家のひとりであり、その人気ぶりも納得の魅力ある登場人物と事件を解決する論理のち密さが魅力。看板シリーズが二十年以上続いているので著作数も豊富であり、登場人物たちの関係がすこしずつ深まっていく部分も魅力。有栖川有栖さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.有栖川有栖「妃は船を沈める」

有栖川有栖「妃は船を沈める」がおすすめの理由

日本ミステリ界を牽引し続ける作家・有栖川有栖の代表的名探偵のひとり、火村英生を探偵役としたシリーズの一冊。第一部「猿の手」と幕間、第二部「残酷な揺り籠」を収める。若い男に囲まれ暮らす不思議な魅力を持つ女性、妃沙子。彼女に付きまとう不可解な事件の数々を、犯罪学者・火村英生が追及する。第一部のタイトル「猿の手」とはウィリアム・W・ジェイコブズの怪奇小説の短編「猿の手」から取られている。語り手で火村の友人の推理作家・有栖川有栖が解釈したジェイコブズの「猿の手」の解釈と、火村英生が作中で示して見せた「猿の手」の解釈と、読者はどちらを素直と受け止めるだろう。作中の事件は彼らの解釈とは別のところで解決するが、作者がこのふたりの解釈の違いを思い付いたところから物語が生まれたという事実は、推理作家の頭の中を垣間見たようでひそかに興奮する。

 

 

第6位.有栖川有栖「暗い宿」

有栖川有栖「暗い宿」がおすすめの理由

同・火村シリーズの短編集である。語り手で推理作家の有栖川有栖が旅先で一夜の宿を乞い、不可思議な体験をするのが表題作。この短編集は全て民宿や旅館、ホテルなどの《宿》を舞台としているのが面白い趣向である。短編「ホテル・ラフレシア」は火村と有栖川がバカンスよろしくホテルでくつろいでいると…という短編で、有栖川の担当編集・片桐が火村に本を書くようたくらむ場面が面白い。短編「異形の客」は日本旅館での事件で、今時の若者らしい犯罪動機が興味深い。短編「202号室の災厄」では、頭脳派探偵の火村がある事件に巻き込まれ、身体的にも危機に陥る。彼が知恵を駆使して危機を乗り越える様子は彼らしい機敏さに満ちている。そしてラストで明かされる事件の真実は、皮肉な現実を火村自身があざ笑っているかのようで、彼の屈折した内面の悲劇性に気づくことができる。

 

 

第5位.有栖川有栖「菩提樹層の殺人」

有栖川有栖「菩提樹層の殺人」がおすすめの理由

同・火村シリーズの短編集である。火村の非公式な助手であり、物語の語り手である有栖川有栖の推理作家を目指した動機が探偵役の火村に語られるファン垂涎の短編が収録されている。有栖川と火村は大学生時代からの親友という設定だが、火村が犯罪学を専門とした直接的な動機は有栖川に語られたことがなく(「人を殺したいと思ったことがあるから」とぼかして火村自身は語っている)、有栖川が推理作家を目指した理由もまた火村には語られたことがなかった(ただし、シリーズ初期の「ダリの繭」という長編で有栖川は火村以外の友人に動機を語っているため、シリーズ読者の間では周知の事実)。この短編によってシリーズ登場人物であるはずの火村と有栖川は一段階深い友人関係になっており、20年以上続く寿命の長いシリーズでありながら二人の関係性が変化するという印象的な一冊となっている。

 

 

第4位.有栖川有栖「江神二郎の洞察」

有栖川有栖「江神二郎の洞察」がおすすめの理由

有栖川有栖のもうひとつの看板シリーズで、大学四年生の江神二郎とその後輩、有栖川有栖、そしてミステリ同好会の面々が主体となって活躍する通称・江神シリーズの短編集である。江神シリーズは別称・学生編(火村シリーズは別称・作家編)と呼ばれ、その名の通り、語り手である大学生・有栖川有栖が出会った事件が収録されている。火村シリーズは殺人事件が起こることが多いが、江神シリーズは主人公が学生なこともあり、いわゆる日常の謎を取り扱った事件もある。中でも白眉は「ハードロック・ラバーズ・オンリー」であり、学生有栖川が喫茶店で出会った少女の謎を江神は話を聞くだけで見事に解き明かして見せた。長編では巻き込まれ方名探偵として活躍する江神だが、彼のこうした洞察力は日常生活の中でもいかんなく発揮され、有栖川をはじめミステリ同好会の面々と共に青春時代の鮮やかないち風景を活写している。

 

 

第3位.有栖川有栖「双頭の悪魔」

有栖川有栖「双頭の悪魔」がおすすめの理由

学生編の第三長編である「双頭の悪魔」は手を変え品を変えミステリ独特の趣向である読者への挑戦が三回も差し込まれる二重三重の展開に満ちた傑作である。ミステリ同好会唯一の女性・有馬真里亜が高知県の山奥の芸術家たちの住む村に入り込み、帰ってこないという彼女の家族からの連絡を受け、ミステリ同好会の面々は高知へと向かう。そこで起こる殺人は芸術家たちの村の中と外、両方で発生してしまうのだが、中と外で二手に分断されたミステリ同好会の面々は、それぞれ事件に立ち向かうのだ。この作品で最も驚かされたのは、村の外、探偵役の江神が不在で事件に遭遇した有栖川らミステリ同好会の面々が、独力で事件の謎を解明しようと奮闘する場面である。名探偵不在で果たして事件は解決するのか否か、これから読む読者には不安と期待に震えながら読んでいただきたい。

 

 

第2位.有栖川有栖「絶叫城殺人事件」

有栖川有栖「絶叫城殺人事件」がおすすめの理由

火村シリーズの短編集である。火村シリーズを原作としてドラマ「臨床犯罪学者火村英生の推理」が放映された際、第一回目の放送の原作となったのが表題作の「絶叫城殺人事件」であった。有栖川有栖の著作には珍しく、全編「○○殺人事件」とタイトルされており、「○○」の部分も建物名で統一されている。「絶叫城殺人事件」では作中人物の有栖川有栖が、普段の穏やかさに似合わず世間の風潮に侮蔑的な視線を投げており、彼のシニカルな一面が読者に対しあらわにされている。短編集ではあるが、その分、物理トリック、シリアルキラー、意外な犯人などミステリの各ジャンルの趣向が凝縮されており、シリーズ初心者にも読みやすい一冊となっている。なお、作中人物の有栖川有栖はシニカルな面を持ちつつ、映画館で恋愛映画を見て涙を流すなど情緒的な魅力もたっぷり持つ人物であることが、この短編集を読むだけでも理解できる。

 

 

第1位.有栖川有栖「鍵の掛った男」

有栖川有栖「鍵の掛った男」がおすすめの理由

大阪・中之島のホテルの密室で亡くなった孤独な男・梨田稔(69)。警察が自殺と判断したその死を、梨田の友人の女性作家・影浦は疑問に思い、推理作家の有栖川有栖とその友人の犯罪学者・火村英生に調査を依頼する。作者である有栖川有栖が「いつか書こうとしていた小説はこれだったのか」と語った、殺人事件の“被害者”に焦点を当てた一冊である。大学の業務で忙しい火村に代わり、助手の有栖川がひとりで被害者の過去を捜査する描写が大半であり、火村ファンには退屈な展開かもしれない。しかし、登場が遅れた分、火村の推理の電光石火ぶりはシリーズ内でもピカイチで、またたく間に論理的に犯人を導き出すさまは彼の頭脳明晰ぶりを活写して余りある。火村シリーズの長編の中でも群を抜いて分厚いが、そこに込められた作者の熱量が、十分に伝わる内容である。

 

 

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