【2019年】池井戸潤おすすめの本ランキングTOP7
池井戸さんの作品に出会って、痛快エンタメの破壊力を知りました。毎回面白く、期待を裏切りません。半沢直樹シリーズが有名ですが、その他のどの作品も勧善懲悪で、読後感が清々しくページを捲る手が止まりません。ただ単にスッキリしたいときにもおすすめ。池井戸潤さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.池井戸潤「空飛ぶタイヤ」
池井戸潤「空飛ぶタイヤ」がおすすめの理由
最初の一文からスッと入っていきました。ゆっくりと読むつもりが、途中で止められませんでした。赤松社長の、真実も求める泥臭いまでのがむしゃらさに、その熱量に熱くなっている自分がいました。彼はもちろんのこと、敵対関係となる大手自動車会社の沢田だって、その資本系列の銀行員である井崎だって、各々自分の揺るぎない信念のもと仕事や真実に迫っていく姿がカッコイイのです。人は一人じゃ生きられないというけれど、愛する人が一人でもいれば、人は何度でも立ち上がることが出来るんでしょうね。この小説を読んで一番強く思ったのは、仕事をすること、働くとはなんだろうということでした。今、日本の社会では働き方や社員の形態など変革期を迎えているけれど、働くことがこんなにも、熱くて夢中になれるものでなくてはならないし、そんな気持ちでいられる魅力的な仕事であってほしいと思いました。
第6位.池井戸潤「下町ロケット」
池井戸潤「下町ロケット」がおすすめの理由
熱く、文句なしに面白い!読んでよかったです。そして最後は涙が出ました。まさに職人技と言いたくなる研ぎ澄まされた文章で、中小企業による快挙を爽快感たっぷりに書き出してくれています。この本の魅力は何といっても、下克上というか、巨大企業相手に戦っていく佃製作所の有志にありますが、その一辺倒じゃないところもすごいです。例えば、帝国重工も一枚岩ではなく、部長の財前の葛藤や、社内での亀裂もリアリティ十分で、唸りました。綺麗事だけでは済まされない世界を泥臭く描き、直木賞も納得の充実した作品でした。大企業に勤めている読書には自戒を込めて読み進めてほしいですし、中小企業に勤めている読者にはきっと頑張る勇気をもらえます。いたるところに職人、プロ、技術者、国内にもこうした素晴らしい人材がいっぱいいるはず。まだまだ日本も頑張れる!という勇気が貰えました。
第5位.池井戸潤「オレたちバブル入行組」
池井戸潤「オレたちバブル入行組」がおすすめの理由
半沢直樹シリーズ第一弾。バブルの時期には決してつぶれることがない、一生安泰と言われていた銀行でその中を生きていく人の話。銀行ものを読んだのは初めてかもしれないです。人を捨てる人、人に助けられる人。正義をかざし世界をリセットするのではなく、正義を武器とし世界を組み立てていく半沢直樹。真っ白い人じゃないから魅力的でした。銀行員は人事が全て、というような表現が数多く出てきますが、おそらく多かれ少なかれどのような職種でも関心事である点は一緒。上司からミスを押し付けられるのも一緒。そういった逆境に立ち向かい、上司をギャフンと言わせるところが最高に面白いです。文章もテンポも心地よく、大変読みやすかったです。池井戸さん自身が銀行出身ともあって、業界に精通した銀行のドロドロとした暗部が深く描かれていて、とても臨場感を味わえました。
第4位.池井戸潤「オレたち花のバブル組」
池井戸潤「オレたち花のバブル組」がおすすめの理由
半沢直樹シリーズ二作目。バブルの時期に入行して世間ではエリートと言われる同期が、銀行という組織に翻弄され、それぞれの道を進んでいます。半沢直樹の伊勢島ホテルの200億円の融資回収も熱いですが、左遷された同期の近藤が、タミヤ電気でバンカーとして目覚め、会社を変えようと奮闘するところに最もこころが動かさせました。会社員人生、いいことばかりではないけれど、どんな状況でも諦めず、自分の信念を貫き通すことで道が拓ける、という展開になっているのがこのシリーズがサラリーマンの心をうつ理由だと思いました。主人公たちから教えられたことは、お前の襟元はなんだ?という問い。組織人として働くという哲学、柱は何か?そこからブレることなく自分の責任をはたしているか?こんな銀行員がいたら最高だなと。仕事へのエネルギーをもらえる文句なしの一冊です。
第3位.池井戸潤「銀翼のイカロス」
池井戸潤「銀翼のイカロス」がおすすめの理由
半沢直樹シリーズ。スケールもさらに大きくなり、スピード感もあり一気に読みました。さすが、池井戸作品は面白いです。相変わらずキャラクターの善悪が分かりやすく表現されていて読みやすい。今度の敵は、一癖も二癖もある政治家たちや、底が見えない弁護士など、更に敵には内部にも…敵方を憎たらしく設定するのが上手いうえに、最後に締まるから面白いです。現代社会であった出来事にちょっと似せているような気がしましたし(今で言えばJALと民主党政権あたりかな?)そのため、のめり込みやすいと思います。ビジネス小説として、本当に質が高いと思います。早く読みたいと思わせることが出来るのは、池井戸作品ならではの卓越したストーリーの賜物。最後、中野渡頭取の決断には感動しました。本書の最初に登場する牧野副頭取の遺書にも深く関係しますが、仕事や人生に対する男たちのプライドを強く感じ、胸を打たれました。
第2位.池井戸潤「アキラとあきら」
池井戸潤「アキラとあきら」がおすすめの理由
池井戸作品で一番の面白さは、善人と悪人の区別が明確だというところです。フィクションの利点でもある、キャラクターの明らかさを存分に発揮しているところが清々しく、一気に読んでしまいました。アキラとあきら。読む前は二人はライバル関係になるのかなと思っていましたが、ちょっと違いました。生まれ育った環境は天と地、月とスッポンほどの差がある二人が、同じ銀行の同期として類稀なる優秀さを発揮していく過程が、息を飲むほど興奮します。宿命に翻弄され、傾きつつある家業の社長の座に据えられる彬の窮地を救うべく、バンカーとして戦略を練る瑛。頭の良さはもちろん、自らの宿命と真摯に向き合う誠実さや、他者を思いやる感受性、正義感、嗅覚の良さなどなど、二人に共通する魅力にため息が漏れ、恋にも似た高揚感を感じられました。池井戸節炸裂の最高に清々しい一冊です。
第1位.池井戸潤「ルーズヴェルト・ゲーム」
池井戸潤「ルーズヴェルト・ゲーム」がおすすめの理由
商売でも野球でもライバルの立場の会社に立ち向かう青島製作所。企業が抱える利益とその天秤。今回の小説でその天秤にかけられたのは社会人野球。経営が悪化する中、どこで支出を抑えるか、一番わかりやすい人件費に手がかかる。人件費に手がかかっているのに、社会人野球を企業が続いていいのか。この答えに正解はないと思います。ただ、人にも会社にも同じように、それぞれの歴史とか、葛藤があって、どこで折り合いをつければいいのか誰にも分からない。この答えに池井戸潤ならではの正義が勝つという内容で答えが示されていた本だと思います。廃部が決まっても、応援してくれる人の姿を見て、部員たちが全力で試合に臨もうもするシーンはぐっときます。最後は活字で読む野球なのに、鳥肌!胸が熱くなりました。男たちの熱い戦いに何度も涙腺が緩んでしまいました。