【2019年】芥川龍之介おすすめの本ランキングTOP7

スポンサーリンク
スポンサーリンク

【2019年】芥川龍之介おすすめの本ランキングTOP7

現代にも通じる普遍的な人間性を描いているところが好きな理由である。また、現代人でも当時の人でも想像しやすい平易な言葉を用い、一見すると何を語っているのかわからないような物語なのに、その裏に哲学じみた面白さが隠れているところも魅力の1つだ。芥川龍之介さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.芥川龍之介「鼻」

芥川龍之介「鼻」がおすすめの理由

この物語も芥川龍之介独特の皮肉が聞いた内容になっている。主人公の男は鼻が長いことを気にかけている。人間誰だって欠点の1つや2つ位あるものだ。それを気にするか気にしないかということが重要なのであり、気にし始めると息苦しく感じてしまう。これは、作者の生きた時代、また主人公の生きた時代、現代においても普遍的な真理である。しかしこういった普遍的な真理であっても芥川の生きた当時、このような生きにくさを誰が感じ誰が文字に起こして物語に昇華しただろうか。私の知る限りにおいて、誰でも理解しやすく誰でも読みやすい平易な言葉で物語を作り、その裏にこのような普遍的な真理をちりばめることができたのは芥川の他に無いように思われる。この物語をただそのままの言葉で受け取ってしまうと、最後に主人公の話が元に戻り安心する場面の意味は理解できないと思われるが、そこを考えさせるのが芥川の面白さである。

 

 

第6位.芥川龍之介「煙草と悪魔」

芥川龍之介「煙草と悪魔」がおすすめの理由

この物語は芥川にしては珍しいイソップ童話のような調子の話である。この点は興味深く、物語に登場する宣教師、いわゆるキリスト教の伝道師がイソップ童話を古来からの寓話を教訓として受け継ぎ教え広めてきたように、この物語も寓話的な面白さを切り口としている。のっけから誰しもが一度は名前は聞いたことがあるザビエルが登場する。ザビエルが登場するのに、物語はそのザビエルが留守である隙をついて悪魔がやってくるのところから始まるのである。日本には当時、キリスト教や悪魔と言う概念は持ち込まれたばかりだったであろう。そこに加えて、やはり異国から持ち込まれたであろうタバコと言う、現代では悪魔のように扱われる嗜好品が育てられてる。これは本当に芥川の生まれた時代に書かれたものなのか、そう疑ってしまうかのような現代にも通じるタバコと皮肉をテーマにした寓話なのである。

 

 

第5位.芥川龍之介「蜘蛛の糸」

芥川龍之介「蜘蛛の糸」がおすすめの理由

言わずと知れた芥川文学の金字塔である。王朝ものと言われる芥川龍之介であるが、よもやインドの王子、お釈迦様を題材に人間の醜さを描くとは誰が思ったであろうか。まず初めにこの物語のきっかけである、主人公の男の行いであるが、一般的に人から褒められるようなことをしたわけではない。ただ道に入る蜘蛛を踏み潰さずにやりすごしたり過ぎない。まことに小さな小さな善行とは言えないような行いである。そこにお釈迦様のお慈悲深さがにじみ出ている。そしてその慈悲深いお釈迦様のはかない望として、これも現世ではとても人の命を救うことのできない1本の蜘蛛の糸がたらされるのである。まさに主人公の男に残されたわずかな良心の1本である。どんな悪人でもほんのわずかな良心が存在するはずである。しかしそれを変えられるのは自分自身のみである。その良心に気づき自らを変えることができなければ、地獄へ落ちていく。そういった教訓を得られる一作である。

 

 

第4位.芥川龍之介「地獄変」

芥川龍之介「地獄変」がおすすめの理由

この狂気に満ちた物語は、醜い容姿をした主人公の絵師が、その容姿に劣らず醜い所業を遂げ一筆の絵を完成させる物語である。導入から何やら不穏な展開。主人公の意思は自分の目で見たもの以外を描くことができないのである。そのような男に、殿様は悪趣味の極みであることの地獄の絵を描くように命じるのである。この男の性分を知りながらこのような命を下す異常さ、そしてその性分に真っ向から突き進み身近な人間を地獄に突き落としてゆく、この男の異常性。芸術とはかくも常軌を逸した人間の所業なのかと戦慄させる一作である。中盤に男は自らの手で自分の弟子を地獄の一景を描くための生贄にする。ここまででも人間の恐ろしさを十分に感じさせるのだが、終盤に殿様の仕向けた悪魔の所業、自分の娘が焼け死ぬところを芸術家の目で望描いてしまうのである。芸術とはかくも異常な世界であり、常人には理解し得ない境地を持っているものかと気づかせる1冊である。

 

 

第3位.芥川龍之介「杜子春」

芥川龍之介「杜子春」がおすすめの理由

この物語はまず初めにその世界観に引き込まれる。それもそのはず、舞台は日本ではなく古代中国。王朝物の作家と言われる芥川であるが、古代中国までフォローしてしまうとは恐れ入る。そしてこの物語の主人公は、子供の頃誰しもが憧れたであろう仙人を目指してあらゆる苦難に耐え抜いていく。どうして仙人は主人公にこのような辛辣な試練を与えていくのだろうか。また、最後にはなぜ両親を畜生に変えてまで主人公の心を試したのであろうか。そこには大きな力に憧れる凡人たちの浅はかな知恵と渇望の稚拙さがあぶり出されている。現代人においてもITや投資の世界で億万長者になる有名人、華やかな暮らしぶりがいつも報じられる有名社長がいつだって脳裏にちらつく。しかし本当の幸せな暮らしぶりとはどんなものなのか、考えさせられる一札なのではないだろうか。

 

 

第2位.芥川龍之介「藪の中」

芥川龍之介「藪の中」がおすすめの理由

芥川作品の中でもややこしい一作と言える。何がややこしいかと言えば、まず黒澤明監督の「羅生門」の原作としても有名なことだ。人間はプライドと自らの都合のために、物事を都合よくとらえる生き物である。また、真実が明るみに出ないと分かってしまえば証言をねじ曲げ平気で嘘をつくものまで現れる。物語では実際に人目につかない籔の中で起きた出来事を、複数の関係者や降霊された殺害された被害者が現れてその事件のいきさつを証言していく。この物語で面白いところは、それぞれが物理的な利害を超えてプライドや立場を重んじてみたり、自分の信念を押し通そうとしているところである。まさに人の心は籔の中。まして人と人とが関わり合い、その利害が絡み合うと深い闇の中へと事実を隠してしまう。人間とはかくも都合の良い生き物なのかと改めて実感させる一作である。

 

 

第1位.芥川龍之介「羅生門」

芥川龍之介「羅生門」がおすすめの理由

最もお勧めしたいのがこの羅生門の物語である。このタイトルは黒澤明監督の映画で「籔の中」であるところを羅生門とした位インパクトのあるタイトルである。平安時代の荒廃した朱雀大路。その情景がカラスのフンや空の色あらゆるものの色のコントラストを巻き込んで読むものの脳裏を刺激する。おそらくは多くの人が中学生やあるいは高校生の頃にこの本を手に取ったことであろう。場合によっては学校の授業で紹介されたこともあるだろう。それだけ日本の文学史上に残る名作中の名作と言える。この物語もやはり芥川特有の皮肉がちりばめられている。まず読み進めていって、はじめに思い浮かぶのは現代人ならではの発想なのかもしれないが、老婆の残虐性や異常さである。読むものは下人に感情移入するのが普通であろう。しかし感情移入していた下人が最後には読者を裏切り、人間の本質的悪を暴いていくのである。善や悪は時として変わるものだと気づかせられるである。

 

 

タイトルとURLをコピーしました