香月日輪おすすめの本ランキングTOP7

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香月日輪おすすめの本ランキングTOP7

中学生のころに友人の紹介で知り、当時の自分を救ってくれた作家さんです。文体がとても気さくで、気取らず、読みやすいです。そのため、「読書をしている」というよりは、「尊敬できる大人が話をしてくれている」ような印象で、そのあたたかさがとても好きです。 著作の中でも特に好きなシリーズ(全10作)は、数年かけて何度も読み返しています。甲乙つけがたいですが、主感たっぷりのランキングにしました。香月日輪さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑤」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑤」がおすすめの理由

このシリーズには主人公・夕士や親友の長谷、妖怪アパートという不思議なアパートに住む不思議な住人達など、語るべき登場人物がたくさんいますが、作家さんが『このキャラクターがこんなに出張ってくるなんて予想外だった』とコメントするほど濃い教員・千晶が初登場する巻です。全体を通して幽霊、妖怪、霊能力者というテーマが日常のすぐ隣にあるような身近さで描かれますが、千晶は中でも特殊な存在感を放っています。読み始めた当時は作中の女子高生同様、大変に虜でした。外見の格好良さは言うまでもなく、立ち居振る舞いから発現の一つ一つが堂に入っていて、かつ鼻にかけない。まさに理想の先生といったところです。まったく種類の異なる濃さを持つ教員も登場しますが、『こういう人いる…!』と頭を抱えるような面が的確に書かれています。ラストの『とっておき』は、自分が同じ場所にいるかのように熱狂します。 そして、もともとは児童文学であるため、文庫化に伴い巻末に書き下ろしが付いています。とてもほほえましくて好きです。

 

 

第6位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑧」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑧」がおすすめの理由

偶然に霊能力との邂逅があった主人公・夕士が、何の縁か因果か、強盗事件に巻き込まれてしまいます。ほかの巻で言う霊的な非日常、妖怪関連の非日常とは別種の、ごく現実的な事件性のあるお話です。一緒に人質に取られてしまった教員・千晶らとともに、なんとか脱出を試みます。脱出するシーンは緊張感があり、何度も読み返しているにもかかわらず、いつもどきどきしてしまいます。無事に逃れようとする過程で、霊能力を持っている夕士は『みんなを助けたい』という思いにかられます。同時に、自分の異能力を見られたらどう思われるかと揺れ、迷います。日常生活の中でも、『もし自分が代わってあげられたら』『助けてあげたかった』と、悩んだことがあります。それが筋違いで、考えても仕方がないとわかっていてもです。同じように悩む夕士に、千晶は『自分が犠牲になって助けてもいいと思うな。された側はつらいし、傲慢だ』『もし助けられなかった人がいたとしても、受け入れて生きるしかない』ということを伝えます。苦悩したことのあるすべてのひとに、語り掛けるような言葉です。悩んで疲れてしまったころ、思い出したように読んでいます。

 

 

第5位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常④」

 

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常④」がおすすめの理由

主人公・夕士の成長の過程で関わった、近い年頃の若者たちが成長していく様を描いた巻です。俗にいう『コミュ障』と括られるような、コミュニケーションの苦手さを持つアルバイト先の大学生2人。そして幼いころから幼稚な人間に囲まれるなど、『大人』と話す環境に恵まれなかったためにコミュニケーションを学べずにいた女の子。自分が中学の頃に読み、高校、大学それぞれ読み返していたお話で、とてもタイムリーで、他人事とは言えないトピックスでした。現代的なツールのおかげで生身で会話することへの苦手意識がある、というのは身に覚えがあります。そんななかでも、やっぱり直接話すことに意味があることもある。真剣に話すことで、心をはぐくむ必要がある。そんなことを教えてくれる一冊です。うまく話せず悩んだこともある自分が、『話すことが苦手だから嫌い』と投げ出さずにいられたのは、この本のおかげかもしれません。

 

 

第4位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常②」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常②」がおすすめの理由

この巻では主人公・夕士が魔導書と運命的に出会い、今後魔導書と付き合っていくための修業を行います。普通に暮らしたくても魔導書と縁があった夕士は『関わらないこと』から『関わり方をコントロールする』考え方に切り替えて、自分の能力強化を図ります。トレーナーをしてくれる秋音ちゃんのこの臨機応変さ、尊敬します。 作品を通して、「るり子さん」という賄いさんによる心のこもった料理がたくさん出てきます。(作家さんは料理は一切しない方だったようで信じられないのですが、)文字だけでどんな料理かイメージでき、それだけでお腹が鳴るほどおいしそうです。夕士がうらやましい。今作は能力強化のトレーニングを行っていることもあり、『体力が資本!』とばかりにボリュームのある料理がたくさん出てきます。シリーズの中でも一番好きな料理(「スタミナねぎチャーシュー丼」と「おかわり自由のミニラーメン」)が出てくるので、味わうように読み返す一冊です。ちなみに、実際にこの小説から派生して、料理本が生まれています。さすがるり子さんです。

 

 

第3位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑥」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑥」がおすすめの理由

この巻では主人公・夕士たちが修学旅行に行きます。相変わらず、教員らしくない教員・千晶がひたすらにかっこいい佇まいをしています。旅行先ではいかにもという悪霊、霊障に直面することになります。授かってしまった霊能力的にも、夕士が千晶の世話を焼く場面が多々ありますが、特に身の回りの世話をされている回で、読んでいてにやにやしてしまいます。千晶が語る『自分のかっこよさの裏側』は必見ですが、そんな風に教員がいつもの授業中の顔とは別の顔、別の話をしてくれるところが、非日常の修学旅行という雰囲気を味わえるので、お気に入りです。 また、序盤では旅行で行く雪山とは関係なく、だだっ広い雪原へ行って雪遊びをします。大人が本気を出して雪遊びをしてかまくらを作って、全員中に入ってごはんを食べます。いわゆる飯テロといった形ですが、これがなんとも楽しそうでおいしそう。食事のメニューだけでなく食べる環境も含めてうらやましい、お気に入りのシーンです。

 

 

第2位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑦」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常⑦」がおすすめの理由

シリーズを通して一番の転機の巻だと思っています。主人公・夕士が両親を亡くして以来固く誓ってきた、『即戦力のビジネスマンか公務員』への道に暇を見出し、大学へ通う道を選びます。信念を曲げるといってもいいほど、『自分はこうなるのだ』と決めていた道から離れてもいいのかもしれない、と気づけたこと。その道を自分の意志で選択してもよいのだと納得できる自分になったこと。どうしても自分の人生になぞらえて読んでしまいますが、これだ!と決めていた価値観を自分で壊し、新しい価値観を以て人生を歩き出すとはこういうことだと教えてもらったような気がします。夕士がそうしたように、読者の誰もが、自分の歩みたい道を進んでよいのだと。 加えて、今作ではこれまでの作中では奔放なキャラとして表現されていたまり子さんの過去が明かされます。本物の恋をして、子供を産もうとするも叶わなかったという場面では、同じ女性としては胸が痛く、何度読んでもぼろぼろに泣いてしまいます。彼女の言葉はひとつひとつが正直で、痛切に響きます。性別を問わずすべての人に読んでほしいエピソードです。

 

 

第1位.香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常①」

香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常①」がおすすめの理由

一言で表現するなら、バイブルといっても過言ではありません。香月日輪さんという作家さん、そして妖怪アパートシリーズに初めて触れた、思い出深い一冊です。本シリーズでは、主人公・夕士の触れた言葉たちが、読者へのメッセージとして作中にちりばめられています。シリーズを通して訴えられているメッセージのひとつに、「君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」という言葉があります。龍さんというキャラクターが序盤で夕士にかけた言葉ですが、お話が完結した後も心に強く残っているフレーズです。今も、この言葉に助けてもらって生きているといってもいいでしょう。夕士が初めて怪奇なアパートに足を踏み入れた時も、特異な教師に会った時も、自分の人生を考え直す時も、いつでもこの言葉が響きます。現代に生きるわたしたちには、夕士が歩んだ人生で体感した出来事以外のたくさんの経験をしていきます。でもこの言葉がどんなときも自分の中に残っているので、まったく同じ場面でなくても、この言葉を思い出しながらがんばることができます。何度も読み返す大事な本です。

 

 

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