- 宮本輝おすすめ作品ランキング
- 13位タイ.宮本輝「花の降る午後」(2票)
- 13位タイ.宮本輝「骸骨ビルの庭」(2票)
- 13位タイ.宮本輝「五千回の生死」(2票)
- 13位タイ.宮本輝「三十光年の星たち」(2票)
- 9位タイ.宮本輝「幻の光」(3票)
- 9位タイ.宮本輝「私たちが好きだったこと」(3票)
- 9位タイ.宮本輝「星々の悲しみ」(3票)
- 9位タイ.宮本輝「草原の椅子」(3票)
- 7位タイ.宮本輝「春の夢」(4票)
- 7位タイ.宮本輝「流転の海」(4票)
- 6位.宮本輝「ドナウの旅人」(5票)
- 2位タイ.宮本輝「蛍川」(6票)
- 2位タイ.宮本輝「青が散る」(6票)
- 2位タイ.宮本輝「泥の河」(6票)
- 2位タイ.宮本輝「優駿」(6票)
- 1位.宮本輝「錦繍」(9票)
- 1票入った宮本輝おすすめ作品も紹介
宮本輝おすすめ作品ランキング
読書好きの方100人に宮本輝さんのおすすめ作品をお聞きし、ランキング形式でまとめました。素敵な作品ばかりで、ぜひ全て読みたいものです。読書の参考にしてみてください。
13位タイ.宮本輝「花の降る午後」(2票)
宮本輝「花の降る午後」がおすすめの理由
この小説の舞台は神戸。当時、神戸の学生だった私は興味があり購入。マダムと青年の恋もあり、官能表現もありドキドキして読んでいました。でも再度読んでみたら美しく感じる。そしてまた神戸に行きたくなるような絶妙な描き方だと思います。(30代女性)
夫の意思を受け継いだ神戸のフランス料理店を守り続けているひとりの女性の姿が目の前に浮かんできました。大切な人を失ってしまった悲しみが美しいフルコース料理とミスマッチして印象的でした。善人が幸せになることを願う心を感じました。(30代男性)
13位タイ.宮本輝「骸骨ビルの庭」(2票)
宮本輝「骸骨ビルの庭」がおすすめの理由
第二次世界大戦の後の焼け跡となった大阪市内の様子が、目の前に浮かんできました。誰しもが欲望をむき出しにしてがめついですが、破壊から再生へと向かう途中の世の中を必死に生き抜こうとするしたたかさを感じました。(30代男性)
書かれた日記を読む、というスタイルで物語が進行していくため、平易な文章で読みやすい。登場人物が過去を物語っていくが、現在の彼らと過去の彼らのギャップが面白かったり、次の語りの内容が気になったりでサクサク読み進められるのも良い。(40代女性)
13位タイ.宮本輝「五千回の生死」(2票)
宮本輝「五千回の生死」がおすすめの理由
その描写はあたかも一幅の水墨画のような美しさをたたえ、生命の待つ逞しさも儚さが合わせ鏡のように移る。鮮烈な思い出や過酷な忘れ難き体験を持て余しながらも、人生という歳月が力を与えているんだということを教えてくれる珠玉の短編集。(30代女性)
一日の間に何度も死にたくなったり生きたくなったりする謎の男と、主人公との短い出会いを描いた小説です。軽快な大阪弁の会話が、心地よい読後感をもたらしてくれます。自転車のシーンは必見です。真夜中にひとりで読みたくなるような小説です。(20代女性)
13位タイ.宮本輝「三十光年の星たち」(2票)
宮本輝「三十光年の星たち」がおすすめの理由
働く事について悩んでいる若者にも、中堅層にも、定年後の年代の方にも、それぞれの視点や物の見方、角度から感じられることがあるストーリーだと思う。物語の進行には小難しいところがなく、気構えず結末まで読み切れるテンポも良いと思う。個人的には就活を始める前の学生が読んでおくと、就活前、就活中、就職後も思い出しては想いを馳せる一作になるのではと思います。(20代女性)
30歳にして無職になってしまった男の存在が、今の社会問題を象徴しているようで印象的でした。怪しげな仕事の依頼人に振り回されていく様子が、ユーモアセンスと少しの哀愁を感じました。働くことに疑問を持っている人に読んで欲しいです。(30代男性)
9位タイ.宮本輝「幻の光」(3票)
宮本輝「幻の光」がおすすめの理由
この小説はこれといった答えがない小説だと思います。ふらふらと線路を歩いている中年の男。後ろから電車がきてその男を轢いてしまいます。 人生にはなにかぷつりと折れてしまうと元にもどらないことが起こりうるのだということがわかると思います。(30代男性)
人はある時なんの前触れもなく心が折れることがあります。この小説の主人公がまさにそうだろうと思います。フラフラと線路を歩いている姿を実際に見てはいないのに心の中にありありと浮かんできて離れません。そんな生きることの意味を見出せなくなった瞬間はどんな人にも一度はあるのではないのでしょうか。(30代男性)
愛する人をある日突然失ってしまうことの悲しみが伝わってきました。死者を見送ることを「グリーフワーク」というあっさりとした言葉で表現しているところが斬新でした。死を受け入れることで、旅立っていくところが良かったです。(30代男性)
9位タイ.宮本輝「私たちが好きだったこと」(3票)
宮本輝「私たちが好きだったこと」がおすすめの理由
4人の男女が共同生活をスタートさせたお話ですが、女性って怖いなって感じもありましたがそこが面白かったです。傷つけ合うけど、最終的には深く愛するという素敵な作品。優しさ、愛することは何なのかと考えさせられるという作品でした。(30代女性)
高級公団住宅での奇妙な共同生活が印象的でした。工業デザイナーとその友人であるカメラマンのやり取りが気が利いています。転がり込んできたふたりの自由奔放な女たちの姿も良かったです。ラストのそれぞれの旅立ちが名残惜しかったです。(30代男性)
ひょんなことからマンションの一室に住むことになった男女四人。 互いに他人。そんなことがあるのかといえば、小説だからあるのだけれど、そこからのストーリ展開が読者をひっぱっていくので、不自然さはみじんも感じません。 それどころか、四人それぞれの抱える、深刻のような、些細なような事情のいちいちが同感共感を呼び、ますます感情移入していきます。 なんということもない物語のなかから、深い感銘を呼び起こす宮本輝ならではの青春小説です。(50代男性)
9位タイ.宮本輝「星々の悲しみ」(3票)
宮本輝「星々の悲しみ」がおすすめの理由
全体を通して暗く、どうにもならない不条理な人生を眼前に見せられて、これが現実だと知らされて苦しさを感じる。成熟した大人の世界だったが、若々しく苦々しく湿っていて、だけど血が通っていて、どこか美しいものを感じた。(30代女性)
宮本輝の短編小説です。大学受験に失敗した浪人生が勉強もろくにせず図書館で本を読みふけっていてそこで出会った女性に思いを寄せたり、二人の同じような境遇の浪人生と出会い、ちょっとした事件を起こしたりと浪人生活という窮屈でもあり、希望にも満ちた青春時代の何気ない情景を瑞々しく描いています。タイトルの「星々の悲しみ」は作中に出てくる絵のタイトルでもあるのですが色々な解釈ができると思います。悲しくもあり希望も感じる素晴らしい小説です。(40代男性)
喫茶店の絵を盗むことで若者は何を得たかったのか、抑えようのない閉塞感の中にどうにかして生きていこうという作者の深い思いが込められているように感じた。しかし現実はそんなに簡単じゃないところもしっかりと書き込んである。必読の小説といっても過言ではない。(30代男性)
9位タイ.宮本輝「草原の椅子」(3票)
宮本輝「草原の椅子」がおすすめの理由
中年男性の恋と虐待を受けていた少年の心の傷が癒されていく物語です、その過程が美しくそして哀しくて フンザという今まで知らなかった土地の美しさや、「ゴムホースの原理」という傷ついた少年の心を浄化させる術が切なくて なんだか哀しいけれど、救いがあってそして最後には優しい気持ちになれる物語です。(40代女性)
シルクロードの雄大な自然に囲まれている中を旅するひとりの中年男性の姿が印象的でした。虐待や無関心に晒されている子供たちの問題についても考えさせられました。阪神淡路大震災への静か祈りと復興への祈りが感動的な本です。(30代男性)
50代のおじさん達がフンザを目指して旅をする所が感動しました。この小説を読んだ時はまだ30代でしたが、50代のおじさんの気持ちがとても良く現れており共感できました。フンザという桃源郷。なかなか行く事はできませんが、この小説をきっかけにいつか行ってみたいと思いました。(40代女性)
7位タイ.宮本輝「春の夢」(4票)
宮本輝「春の夢」がおすすめの理由
「春の夢」というタイトルが好きです。まだ青春と呼べる年代の若者が主人公です。しがらみや葛藤を十分詰め込まれた存在が身動きのできない蜥蜴に象徴されていると思います。「春の夢」の夢には肉体的にも精神的にも泥のような重い夢の世界でもがく若者の叫びの物語が表現されています。(50代男性)
体に釘を打ち付けられても生き続けているトカゲと一緒に暮らす青年の物語。青年の背負う悩みや心の葛藤が、柱に打ち付けられて動けないトカゲの衝撃的な姿にオーバーラップして、独特の静寂の世界をもつ宮本輝ワールドが楽しめます。(40代女性)
キンという存在をフィルターに、青春の1ページを書ききった傑作。作中の心優しきエゴイストとは、この作品の象徴であるなと感じた。何度読んでも、めくったページにエネルギーが溢れていて、ひとつひとつの言葉が心に刺さります。(30代女性)
若者特有の将来への期待や焦燥感、不器用な恋愛感情などを暖かいタッチでよく表現しおり、読後感がとても良かったです。私が初めて読んだのが30歳の頃で、田舎から上京して期待と不安一杯で過ごした大学時代を思い出しとても懐かしい気持ちを思い出させてくれました。(30代男性)
7位タイ.宮本輝「流転の海」(4票)
宮本輝「流転の海」がおすすめの理由
戦後の関西を舞台に、人々が貧しくも力強く、泥臭く、懸命に生きていくさまが胸を打ちます。 宮本輝は描写力や表現力が素晴らしく、文章を読んでいると、当時の大阪の雰囲気や匂いまでもが 感じられるような気がします。(40代女性)
著者のライフワークともいうべき長編大作です。戦後の日本が立ち上がっていく様子が、主人公の好色な男の生きざまとともに伝わってきました。授かった息子を溺愛する描写から、父親と息子の関係性について考えさせられます。(30代男性)
主人公の松坂熊吾は、大人でありながらも無邪気な子供のような性格をしているところがあり、そこがまた魅力的でもある。そんな彼が、50歳にして子宝を授かり戦後の生活を生きぬく。父親と息子の関係が鮮明に描かれた作品である。(20代女性)
戦争により全てを失った主人公が、妻との間に思いがけなくも第一子を授かり、この子が成人するまでは絶対に死なないと戦後の焼け跡の中で奮起しながら生きる物語です。 主人公の熊吾は物語の最初の時点ですでに50歳という年なのですが、はるかに若い妻との間に子供をもうけ、その存在の重さ、愛しさに突き動かされるように精力的に生きてゆきます。 反面、この熊吾という男はひどく自分勝手で好色で、お風呂が沸いていないというだけの理由で妻を殴ったり、めちゃくちゃなところもあります。 ひどく人間臭く、泥臭く、時にはいやらしいほど生々しい熊吾や周りの人間たちの必死に生きる様子が興味深い一冊です。(30代女性)
6位.宮本輝「ドナウの旅人」(5票)
宮本輝「ドナウの旅人」がおすすめの理由
家出をした母親とその娘、母親の愛人と娘の恋人の四人でドナウ川に沿って旅をするお話なのですが、最初は母親の自分勝手さに娘と一緒になって怒りを覚えます。しかし一緒に旅をしていくうちに、母親も一人の女性なのだということを娘と共に読者も知っていきます。そしてその一人の女性はずっと寂しい思いをしてきたのだということが、ドナウ川流域の旅情たっぷりに語られていくところが何とも言えず侘しく、ただの旅小説でないところがこの小説のおすすめです。(30代女性)
大学生の時に読み、大きく影響を受けた小説の一つ。日本人の学生がおそらくあまり関心を持っていなかったドナウ川沿岸の東欧も舞台としている点が当時の私には非常に新鮮で、どうしようもなく異国的なロマンを感じ、読み耽りました。直後に旅行で訪れたドイツでは、舞台となったパッサウのドナウ川沿いのベンチで小説を読み返したほど。当時抒情的な小説には抵抗を覚えていた年ごろでしたが、この作品に対しては例外的に受け入れられました。むしろ、「海外でも自分らしさを失わず暮らしていけるんだ、よし飛び込んでみよう」と留学を考え始めていた自分の背中を押してくれた作品でもあります。(40代女性)
ヴォルガ河に次いでヨーロッパで2番目に長い河であるドナウ河の雄大な自然に囲まれている様子が上手く描かれています。そんな力強い流れと比べると、旅を続ける母とその愛人、さらには娘とその恋人の4人の存在の儚さが伝わってきました。(30代男性)
この作品は、ドナウ川沿いに西ドイツからルーマニアまでを旅する物語です。まだ西ドイツと東ドイツが分かれており、ソ連が巨大な国家であった時代の話です。私がこの本を読んだのは、主人公の女性よりも若い二十歳の大学生の頃でした。私はハンサムなドイツ人の恋人に憧れ、奔放な主人公の母に呆れ、自殺を考えている母の恋人の胸中を思いながらも主人公と共に旅をしている気分になって読みました。読み終えた後の静かな感動は今も胸に残っています。今でも何度も手に取って読み返したいと思える貴重な本です。(40代女性)
7ケ国にまたがるドナウ川の流れに沿って旅する話しです。宮本輝さんらしい繊細な描写で描かれています。登場人物絹子が同じ年代なのでつい引き込まれていきました。共感出来る部分とそうで無い部分と混在しながら読みました。昭和60年に発行された30年以上前の作品です。(50代女性)
2位タイ.宮本輝「蛍川」(6票)
宮本輝「蛍川」がおすすめの理由
淡い青春の恋の物語。愛を貫いて生きた主人公の母は、息子を連れて遠くへ行くのか。息子の恋の行方を暗示しつつ、曖昧なままに物語は終わる。その最後のシーンでは桜と雪のイメージが日本文学の伝統に則って重ねられた上に、さらに蛍の乱舞のイメージが重ねられ、新たな「美」が創造されている。映画化もされているが、こちらはお勧めできない。(50代男性)
ふたつの巨大な河を結びつける、小さなせせらぎの様子が思い浮かんできます。富山県の街並みや、昭和初期の人々の暮らしの様子が生き生きとした語り口で伝わってきました。たくさんのほたるが飛び交うシーンが印象的でした。(30代男性)
初めて読んだ宮本輝の小説が一番好きなものです。 慎ましい生活と幸せ。 そしてその現実と薄い膜を通して存在する死。 螢川は、日常を描きながらも過去を持つ人々の中で残滓のような悲しみと苦しみ後悔を現在の中で折り合いをつけて生きる強さと悲哀を感じた。 どちらも生きることという人生の意味に初めて触れた幼少・思春期の少年の視点を通しているから知らない時代でも共感覚が得られました。(50代男性)
家族、恋、友情。子供のころに感じはじめて大事なものが丁寧に、大切に書いてある気がします。たくさんの蛍が集まった風景は現代の人には想像することもできない。作品から、昭和という時代が持つ暖かさも感じとることが出来ました。(30代女性)
私たちは夏の訪れを告げる、1つの風物詩として蛍を見る機会が減ってしまってはいるものの、それでも少し足を伸ばせば蛍を見ることができる。でも、どれだけの人がその蛍の光意味を考えているだろうか。この作品での蛍の光はとても切ない。生と死。一生懸命生きる主人公と儚い蛍の光をじっくり見つめて読んでほしい作品です。(20代女性)
宮本輝の「川三部作」の中で1番人気が高く、映画化までされている代表作です。年上のお姉さんへの淡い初恋と、夜中の川べりで蛍が初恋のお姉さんにまとわりつくという幻想的なクライマックスが、強烈な印象を残します。宮本輝の作品を読むなら、まず『螢川』がオススメです。(20代男性)
2位タイ.宮本輝「青が散る」(6票)
宮本輝「青が散る」がおすすめの理由
青春時代が人生のなかで本当に貴重な輝きのある一瞬の時間なのだなと確認させられる一冊だと思います。主人公の遼平が新設の私立大学の一年生という設定が読者を一発で遼平の世界に引きずり込んでしまうと思います。全てが初々しくはじけるような感情と肉体が散りばめられています。遼平が打ち込むテニスには白いライン、白いボール、土、Tシャツ、短パン、夏の空気が凝縮されまぶしい輝きが発光しているようです。そしてもうひとつの光である「夏子」との真正面からの恋愛もまぶしい青春の光だと感じます。 また装丁が(有元利夫)であることもおすすめの理由です。(50代男性)
学園青春小説ものかと思いきや、恋愛からくる葛藤と死。今も本棚から取って読んで見たくなる一冊です。ストーリーの展開が読んでいて飽きません、釘付けになります。視聴率を取るために人気漫画を各局ドラマ化していますが、こんな小説もドラマ化して欲しいです。(50代男性)
初めて読んだのは高校生の時で、サラッと読んだと思います。その後、社会人になって何度か読み返しましたが、読むたびに自分が通り過ぎてしまったキラキラしたものや、何とも言えない切なさを感じることが出来ました。青春っていいなぁと、しみじみ感じる作品です。(40代女性)
大阪市内に新設されたばかりの大学を舞台にして、若者たちの心が揺れ動く様子が上手く描かれています。主人公が友人とテニスクラブを立ち上げていく様子が、情緒豊かに伝わってきました。ヒロインへの純粋な思いも良かったです。(30代男性)
大学生の主人公とその友人達の青春の日々が、楽しいことよりもどちらかと言うと若さ故の悩み、苦しみ、葛藤を重点的に描かれているのですが、彼らの日々がきらきらと眩しいほどの輝きを放って胸にしみこんできます。主人公と同年代の人はもちろんですが、青春が遠い昔になってしまった人にもおすすめです。失ってしまった心のみずみずしさを取り戻せそうな気がしてきます。(40代女性)
最初にこの本を読んだのは高校生の時でした。この本を主人公になった気分で読み進めてゆき、実際には私は読書をしただけなのに、主人公の体験を自分の体験のように感じて読み進めることが出来ました。青春小説の中では私の中ではトップクラスです。(50代男性)
2位タイ.宮本輝「泥の河」(6票)
宮本輝「泥の河」がおすすめの理由
この小説で鮮明に焼きついているシーンがある。河のそばでしりあった子供の母親にのしかかる男の背中の汗である。小説なのにここまで鮮明にこのシーンが頭の中に焼きついているのもめずらしい。こどもながらにそういった衝撃的なシーンをみたということを伝えたかった作者の意図にまんまとのせられた形である。(30代男性)
私の年代の大阪の安治川口が舞台であるので大変親近感があり、みんなが貧しく一生懸命に生きていた時代が文脈から読み取れ大変共感を覚えました。私の人生を強く生きていくことを教えてくれたように思います。悲しい物語ですが、人間の優しさが表現されている秀作です。(60代女性)
昭和30年代の大阪の風景が情緒たっぷりに描かれています。船の上で暮らす少年たちとその母親の娼婦の姿が、時代から取り残されてしまったようで印象的でした。主人公が、異なる価値観の人たちと心を通わせるところが良かったです。(30代男性)
戦後の大阪を舞台にした短編。少年と姉妹の交流を遠し、家族とはなにか、戦争とはなにか、生きるとはなにかを考えさせられる作品。映画化も有名なので見比べてみるのもおすすめ。幻想的ながら衝撃を与えられる内容。(30代女性)
戦争の傷跡の残る大阪で、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟との交流を描いた作品で、その情景が目に浮かぶような筆致で描かれています。 生きていく上での辛さや苦しさを知っていて、なおそれでも生きようとする人間の力強さを感じる一冊です。(20代女性)
年代が私が生まれた頃の話で大阪の安治川の貧しい人たちを描いています。昭和30年代はまだ庶民が皆貧しくて生きる為には方法を選べず子供達にも悲しい事がたくさんありまがそれは仕方ない事と子供なりに理解しています。悲しい物語ですが、力強く生きるということを教えられました。(60代女性)
2位タイ.宮本輝「優駿」(6票)
宮本輝「優駿」がおすすめの理由
「オラシオン」というサラブレッドの若馬が地方厩舎からトラックに乗せられて出発するシーンが印象深いです。 「オラシオン」に中央競馬での活躍を期待していますが、本当の願いは「オラシオン」が無事にこの厩舎に戻ってくることだけなのでした。「願い」「思い」がこのシーンには凝縮されていると思います。この小説は「オラシオン」というサラブレッドをめぐる人間たちの深い「祈り」のようなものが全編に流れていて背景に静謐な音楽が聞こえてきそうです。(50代男性)
ハズレが少ない宮本輝作品の中でも傑作と呼ばれるのが「優駿」です。かなり古い作品です。北海道・静内の小さな牧場が生み出した一頭のサラブレッド「オラシオン」を軸にして、競馬界の裏側とそれに関わる人物のドロドロとした人間ドラマを描いた作品です。(30代男性)
この本は、競馬に興味がなくても、競馬の事が、ただのギャンブルでは、ないという事を様々な視点から、かいまみる事が、できる本だと思います。競馬の楽しさを知っている方も、違った視点でドラマがる大変すばりしい本です。(40代女性)
映画のほうが有名ですが、私は本から入りました。一頭のサラブレットの馬とその人間模様を描いた一冊です。動物が好きで私はすんなりと読めましたが、人によっては馬の独特の世界の複雑な人間関係が苦手の人もいるかもしれません。(40代女性)
一頭の競走馬をめぐる多くの人々の関わり合いが上手く描かれています。誕生から日本ダービーへの晴れ舞台へと駆け上がっていく様子が思い浮かんできます。著者自身の大切な人を失ってしまった実体験が、作品の中で生きています。(30代男性)
斉藤由貴主演の映画の原作ですが、映画よりもかなり感動的です。競走馬を育てていくことの苦労と楽しみがとてもよくわかります。種付けだけでもかなりお金がかかり、実際に生まれるかどうかは運しだいなのでそれもギャンブルです。もし途中でケガをしたら競走馬としては働けないので、それまでにかけた時間もお金もムダになってしまいます。それでも競走馬に夢を持っている人間たちがいるのです。馬を通してそれにかかわる人たちの生きざまに腹がたったり涙がでたりする素敵な作品です。(30代女性)
1位.宮本輝「錦繍」(9票)
宮本輝「錦繍」がおすすめの理由
最初から書簡のやり取りで始まることにびっくりするのだが、切り口が良いと感じる。 愛し合い結婚するはずだった二人が人生の掛け違いから、お互いが数奇な人生を歩み、人生の岐路に偶然出会うところから始まる物語で、お互いの思いやせつなさがなんとも胸を打つ作品です。最初は20年以上も前に読んだのですが、今でも手に取ると読みはじめたくなる作品です。(40代女性)
20代のころ、ある先生から「これが大人の愛というもの。知りたかったら読みなさい」と言われました。何にも考えずに1行1行読むたびに震えました。大人ってすごいと思いました。30代になってもこの本を読むことがあります。年齢を重ねるほど、この本の良さや深さが分かるような気がします。もっと味わい深く読むことができるように、一生懸命に生きていきたいなと思ってしまう本です。(30代女性)
別れた夫婦の手紙のやり取りをそのまま書いている。一度別れてしまうともう元には戻らないものがあるということを淡々と現実と織り交ぜながら書いている。人と別れるのはこんなにつらいのかということがよく分かる小説。(30代男性)
ある事件によって愛し合いながらも離婚の道を選んだ二人が、十年の歳月を経て偶然に再会します。その後、手紙のやりとりをするようになるのですが、上質な大人の往復書簡になっていてたいへん読み応えのある作品です。(40代女性)
十年前に離婚した男女の小説なのですが、二人の手紙のやり取りという形で物語が作られています。オススメの理由は、男女それぞれの肉声が鮮やかに聞こえてくるかのように、二人の言葉尻から感情が伝わってくるからです。そして、二人の語る言葉から、美しい風景も広がっていきます。(20代女性)
夫の不貞のために離婚せざるを得なかった主人公が真実を知りたいという思いから元夫と手紙を交わします。それがそのまま小説になっているのですが、手紙という形式で読むことによりお互いの心情が読み手の胸を打ちます。障害のある息子とひっそり暮らす主人公が決して元夫を責めずに理解を深めて行く様が健気で感動しました。(40代女性)
夫婦の絆とはいったいどういったものなのだろうか?運命の赤い糸とか?結婚と離婚とは結局どういったことなのか、めぐり合った二人が結婚し離婚する時何を失ってしまうのか、ここまで淡々と書かれているのは書簡のせいなのか。(30代男性)
宮本輝氏の初期の代表作です。今読み返すど昭和の雰囲気が満載でああ時代が変わったんだなぁと感慨深くなります。氏の特有の人間関係のドロドロ感と切なさと綺麗な文章が相まって好きな一冊ですね。比較的読みやすい作品が多い作家ですが特に学生の方におすすめしたい一冊です。(40代女性)
10年という歳月と、手紙という形を通してのやりとり。だからこその、その時直にというのとは違った、落ち着いた感情の中から沸き起こる静かな激しさと激しい心の揺れ。自分の感情と対峙しているようでした。読み返すことで深さが増しそうです。(30代女性)
1票入った宮本輝おすすめ作品も紹介
宮本輝「いのちの姿」
宮本輝「いのちの姿」がおすすめの理由
「なにがどうなろうと、たいしたことはありゃあせん。」著者の父の言葉に、私も何度か助けられた。戦争、肺結核などを経験されている方の言葉は、心に響く。緊張感が続いている世界情勢。一度この本を読んで、平和の大切さを再確認して欲しい。(30代女性)
宮本輝「オレンジの壺」
宮本輝「オレンジの壺」がおすすめの理由
祖父の日記に隠し子がいるというような内容で書かれてあり、事実なのかを探っていくのですが、隠し子のことだけでなく、その日記と共に祖父の生きた時代を巡ることで主人公の女性も成長していく話でした。 人生の岐路に立ち迷っている女性が、何十年も昔の祖父の日記に共感したりすることで成長していく過程がとても気持ち良かったです。 今を生きる私たちには想像もできない出来事を、日記というツールでつながって旅をするという面白い設定の話でした。(30代女性)
宮本輝「胸の香り」
宮本輝「胸の香り」がおすすめの理由
胸の香りは短編小説集です。人作品が約30枚の原稿で宮本輝自身この30枚に無駄なく、内容を凝縮しているそうです。一つ一つ短くて時間をかけることなく、読むことができます。ところどころわかりにくい部分もありますが、この奥に隠れている真実は何なのかよく考えさせられるストーリーとなっていて素晴らしいです。以上が理由です。(10代男性)
宮本輝「三千枚の金貨」
宮本輝「三千枚の金貨」がおすすめの理由
縁もゆかりもない男から宝の地図を渡された主人公の、奇妙な冒険が印象的でした。仕事や家族との関係について悩むうちに、身の回りの問題を解決していく様子が上手く描かれています。謎を残したまま物語が終わるところも良かったです。(30代男性)
宮本輝「水のかたち」
宮本輝「水のかたち」がおすすめの理由
平凡な主婦が五十歳の誕生日に、年代ものの文机と茶碗と手文庫を貰い受けたことから、人生に変化が起こります。子育ても山場を過ぎ、更年期にも突入し、でもまだまだ人生にはいろいろな人やモノとの出会いが待っているという予感を与えてくれる上下2分冊の小説です。私も五十歳の誕生日に読み始めました。(50代女性)
宮本輝「草花たちの静かな誓い」
宮本輝「草花たちの静かな誓い」がおすすめの理由
登場人物の歴史、アメリカの邸宅の庭に咲き乱れる花と緑の空気、海の見える風景に引き込まれて一気読みしました。スープの美味しさや草花の美しさが印象に残る。草花たちの密やかなささやきに耳を澄ませるって素敵だなと思いました。(30代女性)
宮本輝「長流の畔」
宮本輝「長流の畔」がおすすめの理由
シリーズ8作目。熊吾は相変わらずのバイタリティーで行動を起こしていくが、性根の悪いやつに関わり難事が降りかかることが少なくない。房江の背中を思い、切なさがこみ上げました。流転の海シリーズの中でもベスト3に入る作品です。(30代女性)
宮本輝「田園発 港行き自転車」
宮本輝「田園発 港行き自転車」がおすすめの理由
冒頭から富山の素晴らしい景観が語られ、行きたくなります。ゴッホの星月余の絵を連想させる夜景や、可愛らしい赤い愛本橋見てみたい。不倫を絡んだドロドロした内容なのに爽やかなのは、富山の自然と人物像によるところが大きい気がします。(30代女性)
宮本輝「途中下車」
宮本輝「途中下車」がおすすめの理由
短い作品でありながら描かれている事柄は非常に濃密である。主人公は受験を諦め、何にも情熱が持てず、自分のこれから先の人生に対して不誠実な人間である。ある日電車の中で出会った少女に恋をする。しかし少女が好きなのは主人公の友人であった。打ちのめされた主人公は友人に対しても不誠実な対応をする。その行動は後々ずっと彼自身を苦しめ続けるのであった。この作品は若い人特有の、人生そのものに対する倦怠感や鮮烈な恋、瞬く間に打ち砕かれる甘い期待などをあっさりとした文体でありながらも的確に描写しており、ひりひりとした痛みが伝わってくる。失恋した瞬間の描き方は非常に残酷である。ここで失恋の痛みに耐え、未来へのバネにできるほどの強さがあればよかったのだが、主人公は生き方の軌道修正をすることができずに、自分自身のみならず他人に対してすら不誠実に振る舞ってしまう。その時の行動で彼の人生の価値があらかた決まってしまったような気がする。感心される人物でないことは確かだが、誰しも抱いているずるさに共感した。自らの内面にも存在する卑しさ、ずるさに気づかせてくれる。(20代女性)
宮本輝「道頓堀川」
宮本輝「道頓堀川」がおすすめの理由
今では失われてしまった、古き良き時代の大阪の下町の風景が目の前に浮かんできます。幼い少年たちの葛藤と成長が伝わってきました。著者自身も幼いころから大阪市内を転々としていたので、実体験が上手く描かれています。(30代男性)
宮本輝「避暑地の猫」
宮本輝「避暑地の猫」がおすすめの理由
学生時代に避暑地に憧れたという理由で購入しました。ほんわかとした内容かなと思いきや結構悲劇続きの内容でした。 でもどんどん読みたくなる感じ。愛情や憎しみが混ざり合っている。当時、学生だった私には息苦しかったけど面白くて 最後まで読んでしまった。(30代女性)
宮本輝「夢見通りの人々」
宮本輝「夢見通りの人々」がおすすめの理由
十人十色の登場人物を描き、それぞれの生き様が切なくもあり、でもあり得る、そんな物語です。人間の愚かさや、世の中の皮肉がそこらじゅうに散りばめられていますが、前進する強さを人はみんな持っているということを教えられました。(30代女性)
宮本輝「命の器」
宮本輝「命の器」がおすすめの理由
人が持つ命の器は、大きさが決まっているのだろうか、自分の生き方次第でこれから大きく、また小さくもなるのなるのだろうか、そんなことを考えさせられました。宮本輝の名作が、何がきっかけで書かれたのかもわかってとても興味深かったです。(30代女性)
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