【2019年】冲方丁おすすめの本ランキングTOP7
元々ライトノベル作家としてデビューしたのですが、ライトノベル作家とは思えないほどの文才があり、たちまち一般の文学にも進出していきました。また、世界観や構成もしっかりと練られており、読んでいてとても楽しいです。冲方丁さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.冲方丁「はなとゆめ」
冲方丁「はなとゆめ」がおすすめの理由
28歳という若さで帝の后の元で働くことになった清少納言の生涯を描いた作品です。教科書でしか見たことがなく、テストで出るからという理由で名前だけ覚えていた清少納言。冲方丁の作品でなければ読んでいなかっただろうなぁと思います。平安時代というと古すぎて想像もつかない世界でしたが、この作品を読んでから、その時代独自の風習や慣わしがあるのだということがよく分かりました。メールや電話などなかった時代なので、歌を詠み合うことで交流を図ったりするところがまた面白かったです。また、印刷技術も発達していなかった当時、読み書きができる女性は少なかったらしく、そんな中で漢詩に精通していったり、枕草子を書き上げてしまう清少納言の才能には脱帽でした。最終的に、宮中の権力争いに巻き込まれていくのが可哀相でした。清少納言のことがよく分かる一冊です。
第6位.冲方丁「破蕾」
冲方丁「破蕾」がおすすめの理由
まさかの官能小説です。時代小説はよく書かれていましたが、時代モノの官能小説を書くとは思いませんでした。作中、ガッツリ濡れ場があります。この小説は、3話で構成されており、それぞれ主人公が異なります。第一話は、市中引き回しの身代わりとなることになった不憫な女、お咲の話。第二話は、市中引き回しを受けるはずだった罪人の女の話。第三話は、罪人の女と懇意にしていた女の話。それぞれに女達の物語があり、官能的な物語がありました。特に罪人の女は、実は高貴な血族であり、己の野望のためにその美貌を利用していくというストーリーで面白いです。江戸時代を舞台にしていましたが、当時の世の中の成り立ちや風習をしっかりと抑えており、時代小説としても十分に楽しめる一冊でした。冲方丁の文才を以てして描かれる官能的な描写も一読の価値ありです。
第5位.冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」
冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」がおすすめの理由
冲方丁には珍しく、現代を舞台にしたミステリー小説です。廃病院に集められた12人の死にたい子どもたち。未来ある若者が、死へと向かおうとするところに、非常に興味を唆られます。集団自殺を図るために集まった男女12人の高校生たちですが、そこで先に死んでいる少年を発見します。この少年は誰なのか、一体誰が殺したのか、子どもたちは話し合い、次第に真実に近づいていきます。その過程で、なぜ自分が死のうとしているのか身の上を明かし、次第に打ち解けていきます。同時に、廃病院に着いたときに何をしていたのかを話しますが、嘘をついている人が紛れています。来た順番を整理し、推理することで、嘘をついている人を見つけ出す子どもたち。そうしてたどり着いた衝撃の真実の末に、子どもたちはどのような決断を下すのか、ぜひご一読ください。
第4位.冲方丁「天地明察」
冲方丁「天地明察」がおすすめの理由
暦を作り直そうと奮起した一人の男の生涯を描いた作品です。舞台は江戸時代、将軍に囲碁を教える職に就いていた渋川が日本独自の太陰暦を作成するよう任命されます。当時、日本にもたらされていた暦では少しずつズレが生じてきており、これに危機を感じた幕府が対策に乗り出したのです。テクノロジーが発達した現代では、カレンダーを作ることなど造作もないことですが、昔の技術力では、各地に趣き地道に測定するしかありません。そして、そこには高度な算術も必要で、コンピュータもない時代だったので、自らの手で算出していました。その苦労たるや、想像を絶することでしょう。また、測定結果に説得力を持たせるため、皆既日食の日を推定するなどの試みをするところも見どころです。挫折や苦難を乗り越え、日本の太陰暦を完成させた渋川の物語をぜひ一度読んでみてください。
第3位.冲方丁「ばいばい、アース」
冲方丁「ばいばい、アース」がおすすめの理由
冲方丁屈指のファンタジー小説です。異世界が舞台なのですが、世界観がとても作り込まれており、随所に独自の創造物が出てきます。主人公ベルは人間の少女で、その細腕からは想像もつかない剣さばきで大剣を操ります。ファンタジーによくある他種族が混在している世界で、自分だけが特異な存在であることに疑問をもったベルは、己の由縁を探しに旅に出ます。この世界では、旅人は「ノマド」と呼ばれ、それになるには試練が課せられます。ベルはその試練を乗り越えられるのか、旅の果てに自分と同じ人間と出会うことができるのか、ぜひご一読ください。また、道中でいろいろなキャラクターと出会い、様々な人間ドラマが生まれるところもオススメしたいポイントです。中でもアドニスという青年との出会いが印象的で、彼との物語を通してベルも成長していきます。
第2位.冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」
冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」がおすすめの理由
マルドゥック・スクランブルよりも過去の話です。前作ではバロットの敵であり、ウフコックの前の相棒だったボイルドの物語。ボイルドがなぜ、ウフコックを濫用したのかが分かる一冊です。重度の麻薬中毒により味方にフレンドリーファイアをしてしまった思い過去があるボイルド。薬物治療の一環として、ネズミであるウフコックと引き合わせられます。ウフコックとの交流を通して、麻薬中毒を克服し、重力を操る力を得ます。しかし、戦争が終結し、超能力を得ることができる技術を危険視され、ボイルド達は追われる身となります。逃走の果てにボイルドがどのような決断を下すのか、なぜウフコックを傷つけるようなことをしたのかが見どころです。ボイルド意外にも、姿を自在に変化させられる能力者や、電撃を操る能力者などがおり、繰り広げられる超能力バトルも作品の魅力の一つです。
第1位.冲方丁「マルドゥック・スクランブル」
冲方丁「マルドゥック・スクランブル」がおすすめの理由
冲方丁の最高傑作だと思います。まず、少女娼婦という衝撃的な設定の主人公であるバロットが、いきなり殺されかけるところから物語は始まります。瀕死の主人公を助けたのは、死体解剖が趣味であるイースター博士。彼は犯罪捜査官であり、マルドゥック・スクランブル09法という法律に基づいて、人体改造を施すことができる人物でした。そんな博士の手術により、超能力を得たバロットが相棒ウフコックと、自分を殺しかけた男に立ち向かう話です。作り込まれたSFの世界観で、読んでいて納得できる緻密な設計が見事でした。迫力あるアクションシーンも読み応えたっぷりです。そして何より、相棒ウフコックがネズミであるという点が作品のチャームポイントではないかと思います。ただのネズミではなく、意思を持ち、使い手が望むものに変化する能力を持ちます。