- 読書感想文が書きやすいおすすめの本100選
- 1.三島由紀夫「美しい星」
- 2.湯本香樹実「夏の庭」
- 3.沢木耕太郎「旅する力 深夜特急ノート」
- 4.よしもとばなな「キッチン」
- 5.荻原浩「オイアウエ漂流記」
- 6.武者小路実篤「友情」
- 7.夏目漱石「こころ」
- 8.アンネ・フランク「アンネの日記」
- 9.辺見庸「もの食う人びと」
- 10.新海誠「秒速5センチメートル」
- 11.ミヒャエル・エンデ「モモ」
- 12.百田尚樹「プリズム」
- 13.山崎豊子「大地の子」
- 14.原田マハ「本日は、お日柄もよく」
- 15.野口健「落ちこぼれてエベレスト」
- 16.鈴木大介「最貧困女子」
- 17.岡本文良「ばらの心は海をわたった」
- 18.太宰治「走れメロス」
- 19.サン・テグジュペリ「星の王子さま」
- 20.住野よる「君の膵臓を食べたい」
- 21.佐藤多佳子「一瞬の風になれ」
- 22.アレクサンドル・デュマ・フィス「椿姫」
- 23.本川 達雄「ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学」
- 24.上野正彦「監察医が泣いた 死体の再鑑定ー二度は殺させないー」
- 25.三浦しをん「舟を編む」
- 26.芥川龍之介「蜘蛛の糸」
- 27.上橋菜穂子「精霊の守り人」
- 28.クレイド・プレストウィッツ「2050 近未来シミュレーション日本復活」
- 29.はらだみずき「帰宅部ボーイズ」
- 30.赤羽じゅんこ「夢は牛のお医者さん」
- 31.石黒 謙吾「盲導犬クイールの一生」
- 32.角野栄子「魔女の宅急便」
- 33.今西 乃子「犬たちをおくる日―この命、灰になるために生まれてきたんじゃない」
- 34.森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」
- 35.夏目漱石「坊っちゃん」
- 36.森絵都「カラフル」
- 37.百田尚樹「マリア」
- 38.太宰治「女生徒」
- 39.佐野洋子「100万回生きたねこ」
- 40.梨木香歩「西の魔女が死んだ」
- 41.森山 京(もりやま みやこ)「きいろいばけつ」
- 42.ルーシー・モード・モンゴメリ「赤毛のアン」
- 43.俵万智「サラダ記念日」
- 44.ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」
- 45.道尾秀介「光」
- 46.司馬遼太郎「世に棲む日日」
- 47.川村元気「世界から猫が消えたなら」
- 48.辻村深月「ツナグ」
- 49.重松清「卒業」
- 50.辻内鏡人、中条献「キング牧師―人種の平等と人間愛を求めて」
- 51.あさのあつこ「バッテリー」
- 52.宮下 奈都「羊と鋼の森」
- 53.中野 幸隆「十三等分の時計の秘密」
- 54.綿矢りさ「蹴りたい背中」
- 55.ゴルゴ松本「あっ!命の授業」
- 56.大岡昇平「事件」
- 57.青井汎「宮崎アニメの暗号」
- 58.サイモン シン(著)、青木 薫(翻訳)「フェルマーの最終定理」
- 59.スーザン・バーレイ「わすれられないおくりもの」
- 60.太宰治「人間失格」
- 61.J・K・ローリング「ハリーポッターと賢者の石」
- 62.池井戸潤「空飛ぶタイヤ」
- 63.ヴィクトール・フランクル「夜と霧」
- 64.湯本香樹実「夏の庭―The Friends―」
- 65.梨木香歩「裏庭」
- 66.ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」
- 67.有川浩「明日の子供たち」
- 68.金城一紀「GO」
- 69.伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
- 70.水谷修「夜回り先生」
- 71.中島みち「クワガタクワジ物語」
- 72.遊川和彦「さとうきび畑の唄」
- 73.田村裕「ホームレス中学生」
- 74.伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」
- 75.小川洋子「博士の愛した数式」
- 76.本多孝好「FINE DAYS」
- 77.有川浩「レインツリーの国」
- 78.眉村卓「ふつうの家族」
- 79.百田尚樹「永遠の0」
- 80.山田純大「命のビザを繋いだ男 小辻節三ととユダヤ難民」
- 81.綿矢りさ「夢を与える」
- 82.さとうまきこ「9月0日大冒険」
- 83.ジュール・ヴェルヌ「十五少年漂流記」
- 84.ミッチ・アルボム「モリー先生との火曜日」
- 85.伊坂幸太郎「終末のフール」
- 86.岡崎ひでたか「万次郎―地球を初めてめぐった日本人」
- 87.黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」
- 88.神坂次郎「南方熊楠の生涯」
- 89.遠藤周作「沈黙」
- 90.マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」
- 91.源和子「奇跡はつばさに乗って」
- 92.宗田理「ぼくらの七日間戦争」
- 93.レイチェル・カーソン「沈黙の春」
- 94.ダニエル・デフォー「ロビンソン漂流記」
- 95.クリスティン・ジョンソン、ジェシー、ネルソン「アイアムサム」
- 96.恩田 陸「夜のピクニック」
- 97.ジョン・ボイン「縞模様パジャマの少年」
- 98.瀬尾まいこ「卵の緒」
- 99.森見登美彦「恋文の技術」
- 100.宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
読書感想文が書きやすいおすすめの本100選
読書感想文におすすめの本を集めました。どの本で読書感想文を書くか迷すれている方はぜひ参考にしてみてください。
その他読書感想文に関する記事もおすすめですので是非参考にしてみてください。
小学校低学年の読書感想文におすすめの本65選
小学校高学年の読書感想文におすすめの本80選
中学生の読書感想文におすすめの本79選
高校生の読書感想文におすすめの本109選
大学生の読書感想文におすすめの本42選
ブロガーやライターを目指す方必見!ライティング・文章の書き方に関するおすすめの本85選
1.三島由紀夫「美しい星」
自分たちは他の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核時代の人類滅亡の不安をみごとに捉えた異色作。
三島由紀夫「美しい星」が読書感想文におすすめの理由
基本的に純文学は難しく、三島由紀夫も最たるものですが、この美しい星は彼が著した唯一のSF小説で非常に読みやすくなっています。 また、小説の内容も読む人によって感じ方も変わるようなもので、感想文を書くのに適していると思います。 また、この小説は映画化が決定しており、今後読む予定であるならば、映画を見てストーリーの大枠を把握してから読書に臨むこともでき、おすすめです。 はじめは自分が宇宙人だという家族の考えに違和感を感じるかもしれませんが、読むうちに慣れてくると思います。
2.湯本香樹実「夏の庭」
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。
湯本香樹実「夏の庭」が読書感想文におすすめの理由
この作品は子供の読書感想文には本当に最適だと思います。 読書感想文は「感想文」なので、メインで書くことは「自分がどう思ったか」。この作品は「ぼく」の一人称で進んでいくので、この男の子がどう思ったのかというのがわかりやすい。なので、主人公と共感したか、違う考えを持った、それはどうしてそう思ったのか?と感想が書きやすいと思います。 さらに成長物語なので、主人公の気持ちを踏まえて「私もこれから~」とか最後の結びの言葉とかがきれいに決まりやすいと思います。 小説としても素晴らしい作品ですので、本当におすすめです!
今の日本人に必要な、大事な事を考えるという力と他人であろうとも、命の大切さを忘れてはいけない。 そのことを気づいてほしいという願いがあります。いつまでも忘れてはいけないメッセージ性もあります。 この作品には、少年たちと一人の老人が主人公になっています。 現代の縮図の様であり、すばらしい作品です。 大人目線でないので、感情輸入がしやすく、読み終えた後感動と悲しみとはこういうものなのかと実感させられる事でしょう。
中学受験を控えた小学六年生の男の子三人とある一人の老人とのひと夏の交流。夏休みの読書感想文の推薦本に必ず挙げられる一冊です。 まったくの興味本位で近づいた老人が、交流を重ねるにつれて少年たちにとってかけがえのない対象へ変わっていく。しかし永遠の別れはあまりに唐突。短くも儚い、けれどその人生に強烈な印象を持って残る夏の思い出のような四人の交流が、優しく丁寧なタッチで描かれています。 老人との交流による両者の内面の変化は、タイトルにもある「夏の庭」に暗喩されています。老人の家の荒れ放題の庭が、少年たちの手により風通しの良い縁側となり交流の場となっていく。 人の死と向き合うということ、戦争とは何なのか。重いテーマを根底に秘めながらも、メインでは少年たちのひと夏の成長を情景豊かに描いているので普段は読書をしないような子でも読みやすく、読書感想文の題材としては恰好の対象となるのではないでしょうか。
3.沢木耕太郎「旅する力 深夜特急ノート」
旅とは何か、なぜ人は旅へと駆り立てられるのか?冒険と叙情に満ちた紀行文学であり、瑞々しい青春記でもある名作『深夜特急』の誕生前夜、若き著者には秘められた物語の数々があった…。幾多の読者からの絶えざる問いかけに初めて、そして誠実に応えた“旅”論の集大成、著者初の長篇エッセイ。
沢木耕太郎「旅する力 深夜特急ノート」が読書感想文におすすめの理由
今回紹介する本である「旅する力」は小説ではない。ルポライターである沢木耕太郎によって書かれた、長編の旅の体験記である「深夜特急」を書くにあたっての裏話的な要素も含まれた、沢木の旅というものへの捉え方・意義が書かれた作品だ。つまり舞台は現代の日常なのだ。そのため読書感想文を書く際に必要になりがちな、小説などの世界観を説明するためにあらすじを書く必要もなく、自身が抱いた感想を心打たれた部分の引用などと並行すれば、つらつらと書くことができる。そういった意味では非常に読書感想文には適した本ではないだろうか。感想文を書かなくても、バッチリの読み応えがある作品だと思う。それでいて砕けた言葉で書かれており、取っ付きやすい作品ではないだろうか。
4.よしもとばなな「キッチン」
家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる―。唯一の肉親の祖母を亡くしたみかげが、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居する。日々のくらしの中、何気ない二人の優しさにみかげは孤独な心を和ませていくのだが…。世界二十五国で翻訳され、読みつがれる永遠のベスト・セラー小説。泉鏡花文学賞受賞。
よしもとばなな「キッチン」が読書感想文におすすめの理由
主人公「みかげ」がまわりにいる人々にどう支えられ生きていくか、その様子が描かれている物語です。 わたしは「みかげ」と家族構成や、生い立ちが似ているわけではありません。 とりまく人間関係や環境も近いわけではありません。 ですがどこかすごく親近感のわく部分があるのです。 迷ったり、悩んだり、落ち込んだり、喜んだり、胸が高鳴ったり、夢を追いかけたり。 きっとこの1冊はだれもが感じることのあるその一部分をものすごく鮮明に、「わかる、わかってしまう」というように描写されているものだと思います。 男女、年齢関係なく、とてもすんなり入ってくる、読みやすい1冊だと思います。
5.荻原浩「オイアウエ漂流記」
南太平洋の上空で小型旅客機が遭難、流されたのは…無人島!?生存者は出張中のサラリーマンと取引先の御曹司、成田離婚直前の新婚夫婦、ボケかけたお祖父ちゃんと孫の少年、そして身元不明な外国人。てんでバラバラな10人に共通しているのはただひとつ、「生きたい」という気持ちだけ。絶対絶命の中にこそ湧き上がる、人間のガッツとユーモアが漲った、サバイバル小説の大傑作。
荻原浩「オイアウエ漂流記」が読書感想文におすすめの理由
飛行機事故で無人島に漂流する話なのですが、例えば飛行機事故を大きく取り上げた場合、子供にとっては成す術がないと思います。島での生活を中心に書かれたものなら、子供でも自分ならこうする、こうしたらいいのに、と読んでいて感じるものも出てくると思います。 この本は派手なアクションはありませんが、生きていくためにどうしたら良いか、気が合わない人と意見が対立したらどうしようか、そんなちょっと大人な考えをしなくてはいけない状況に置かれますので、読んだ子供も普段とは違う考えを持ったり、考えさせられる一冊になると思います。 また、そこまで緊迫したシーンはないので中だるみはするかもしれませんが、最初の飛行機事故で人が亡くなったり、後半で悲しい出来事があったりと読み終えた子供が絶対に何かを感じて感想文が書きやすいと思います。
6.武者小路実篤「友情」
脚本家野島と、新進作家の大宮は、厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、大宮に心惹かれる杉子は野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う――青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。
武者小路実篤「友情」が読書感想文におすすめの理由
恋をとるか、友情をとるかという、若者にありがちな普遍的なテーマを扱っているのでオススメです。登場人物の大宮、杉子、野島それぞれの気持ちを味わって読むと面白いかと思います。野島が一番信頼していた友達の大宮に、片思いの女性杉子をとられた(といっても両想いですが)とき、激烈に怒る場面が共感できます。愛の物語としても読みごたえがあると思います。男性2人がどのような仕事をやり遂げたのかにも興味深いものがあります。
7.夏目漱石「こころ」
鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。
夏目漱石「こころ」が読書感想文におすすめの理由
言わずと知れた有名な本です。先生と私。親友の死。内容はとても暗く、しかしこの本は読み方次第で色々な受け取り方が出来てしまう本だと思いました。読む人によって見方が変わる。感想文として書くには最適ではないかと思いました。十人十色な感想文が揃うと思います。私の心の葛藤。先生との関係性。親友との恋愛絡みの亀裂が入った時の私の心情。坊ちゃんや我輩は猫であるの様なイメージが漱石作品にはあったので、ある意味違った作風に新鮮さを覚えました。奥深い内容だと思うので、じっくり読んで感想を書いてもらえたらと思いオススメします。
私が高校生の頃は、このお話を授業で習いました。予習はしていくのですが、どうしても授業で正しい解釈のようなものを習うので、それまでにしっかり自分で読み込んでおくことが出来ればよかったと今になって思います。自分のペースで読みながら、登場人物たちの心模様に思いを馳せることができれば、いろいろと考えさせられる場面があって面白かったと思います。また、「お嬢さん」への恋心や、仲間と同じ人を好きになってしまったときの葛藤など現代に生きる私たちでも共感できる部分も含まれているので読みやすいという点からもお勧めします。
この本は中学生の時、読書感想文の指定図書だったので読んだのですが、当初はこんな古い本読みにくくて嫌だと思っていました。しかし、読んでいくと全く古さを感じさせません。その理由は、この本が人間の裏切りという普遍的なことについて書かれているからだと思います。昔の人も、お金や恋愛で親しい人を裏切ったり裏切られたりしていたのかと、人間の変わらない本質のようなものを感じさせられた一冊でした。共感できるようなところもあり、自分が感じたままのことを書けるので読書感想文は書きやすいのではないかと思います。読書感想文が大の苦手でほめられたことなど一度もなかった私が、唯一賞をもらった思い出深い本です。
8.アンネ・フランク「アンネの日記」
ユダヤ系ドイツ人の少女アンネが、ナチスの「ユダヤ人狩り」から逃れるため家族と共に二年間潜んだアムステルダムの“隠れ家”。彼女はそこで、架空の友人キティーに宛てて日記を綴りました。戦後、残された父オットー・フランクにより編集・公表されたこの「アンネの日記」は各言語に翻訳され、2009年にはユネスコ世界記憶遺産にも登録されました。わが国も同様で、1952年に「光ほのかに」のタイトルで文藝春秋より刊行されて以来、綿々と読み継がれています。
アンネ・フランク「アンネの日記」が読書感想文におすすめの理由
私が小学生の時にこの本を読むように母親から手渡されました。 まだ子供だった私はこんなつらく理不尽な人生を歩んでいた少女がいたことを初めてしり、衝撃を受けました。 あまりにも残酷な内容。そのことすべてが事実なんだと思うだけでとても恐ろしかったです。 そして自分が今いる時代はなんて恵まれていて平和で幸せであるかということを子供ながらに認識しました。 それから大人になって、私はまた新たなアンネの日記を読んだくらい私の人生に影響を与えた本です。 今不自由なく暮らしている子供達にこういう事実があったことを知り、自分なりに考えてみてほしいので読んでもらってその感想を書いてほしいです。
女の子の日記なので特に女の子には読みやすいと思います。夏休みは8月15日終戦の日があります。日本が戦争をしている時に自分たちと同じ年代の女の子アンネ・フランクがどんな体験をしていたのか、日記を読み感じる事は多いと思います。感想文も書きやすいと考えます。実はわたくしも小学校5年生の時に読み、夏休みの感想文として提出したのがこの「アンネの日記」でした。当時は女の子の生理の事をアンネという言い方をしていたので、みんな興味半分で読み、実はアンネという少女が過酷な運命を生きた事を知ったのです。みんなにアンネの事を知ってもらって良かったと思いました。
9.辺見庸「もの食う人びと」
人は今、何をどう食べ、どれほど食えないのか。人々の苛烈な「食」への交わりを訴えた連載時から大反響を呼んだ劇的なルポルタージュ。
辺見庸「もの食う人びと」が読書感想文におすすめの理由
アニメーション映画を小説にしたもので、ページ数も多すぎず読みやすい本です。主人公である貴樹が、小中学生、高校生、社会人へと成長していく姿を追った、三話の連作短編です。貴樹と、同級生の明里、花苗、この三人が過ごしていく時間のなかでの、それぞれの感情がとても繊細に描かれているので、年齢や性別を問わず感情移入して読むことができると思います。共感したり、どきどきしたり、胸をしめつけられたりといった、心を動かされる場面が所どころに出てくるので、登場人物の心情に思いを馳せたり、もし自分だったらと考えたりしながら、自然と感想を書けてしまう本だと思います。
10.新海誠「秒速5センチメートル」
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った2人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨を続けていく―。
新海誠「秒速5センチメートル」が読書感想文におすすめの理由
アニメーション映画を小説にしたもので、ページ数も多すぎず読みやすい本です。主人公である貴樹が、小中学生、高校生、社会人へと成長していく姿を追った、三話の連作短編です。貴樹と、同級生の明里、花苗、この三人が過ごしていく時間のなかでの、それぞれの感情がとても繊細に描かれているので、年齢や性別を問わず感情移入して読むことができると思います。共感したり、どきどきしたり、胸をしめつけられたりといった、心を動かされる場面が所どころに出てくるので、登場人物の心情に思いを馳せたり、もし自分だったらと考えたりしながら、自然と感想を書けてしまう本だと思います。
11.ミヒャエル・エンデ「モモ」
時間に追われ,落ち着きを失って,人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々.人間たちから時間を奪っているのは,実は時間どろぼうの一味のしわざなのだ….この一味から時間をとりもどし,人生のよろこびを回復させたのは,どこからか突然あらわれた無口な少女だった.時間の意味を問う異色のファンタジー
ミヒャエル・エンデ「モモ」が読書感想文におすすめの理由
モモは私が小学生の時に読書感想文とした書いた本ですが、大人になった今でも非常に心に残っている本です。 あらすじとしては灰色の男という登場人物達が人から時間を奪い取り、そのせいで人びとは心がすさんでいく。 しかし主人公の女の子モモの手によって奪われた時間は取り戻されていき、人々も心の余裕を取り戻していく。 というストーリーです。 この本には時間の大切さが至るところで表現されています。 そして自分にとって時間とは何なのか?について改めて考える機会を与えてくれる本です。 読書感想文を書くのに読む本としては、最適な本だと思います。
12.百田尚樹「プリズム」
ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。
百田尚樹「プリズム」が読書感想文におすすめの理由
読書感想文といえば、学生の夏休みの宿題のイメージです。学生はミステリーが好き、恋愛系の物語も好きかと思います。しかし、恋愛だけでは、内容が薄いなどの問題があるでしょう。しかしこの作品は恋愛だけでなく、ミステリー要素が充実してます。主人公の聡子が恋をする男性が多重人格とミステリアスで読んでいると引き込まれ、感想文も書きやすい内容かと思います。恋愛ものなので、性的な表現があると思っている方も多いと思いますが、そのような表現は極僅かです。是非この作品をこの夏「読んでいただきたいです。
13.山崎豊子「大地の子」
陸一心──日本人残留孤児で、中国人の教師に養われて成長した青年のたどる苦難の旅路を文化大革命下の中国を舞台に描く大河小説
山崎豊子「大地の子」読書感想文におすすめの理由
文庫全4巻の長編小説ではありますが、大変おもしろくてその長さを感じさせません。 戦後、親や妹と離散した中国残留孤児の少年が、どう生き抜き、帰国を果たし、再び中国の地を踏み家族を探すまでの人生を描いた物語です。 今まで残留孤児という言葉は何となく知っていても、その詳しい経緯や生き様などは全く知らなかったので衝撃でした。中国と日本の戦後の歩み、2国間の軋轢なども生々しく出てきますので、世界史や日本史を勉強してる方にもおすすめです。
この本はとても長編です。それは一人の男性の一生の出来事が書いてあるからです。中国残留孤児のお話です。この言葉「中国残留孤児」。聞いたこと、ニュースで見た人はたくさんいると思いますが、実際どういう人たちがそういう人生を送らなければいけなくなったのかという経緯や、そしてどうやって中国で生き延びてこられたか、その中にあった沢山の苦労。私たちはその詳細を知らないのが現実です。この本を読むとその壮絶さがよくわかります。長編ですが、引き込まれるように読むのを止めたくなくなる本です。一生に一度は誰もが読んでほしいです。そしてどう感じたかを文章に書いていただきたいです。
14.原田マハ「本日は、お日柄もよく」
OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。
原田マハ「本日は、お日柄もよく」が読書感想文におすすめの理由
「本日は、お日柄もよく」は、ドラマ化も決定している原田マハさんの代表作の一つである。内容は、自分にそれ程、自信がなかった主人公がスピーチというものを通して自信を付けていく物語である。 この本を読むことで人の成長の過程を見ることができます。まだ社会人になっていない若者も仕事を通じて成長することはどういうことかをつぶさに感じることができりのではないでしょうか。また、世の中には、あまり知られていないが、いろいろな職業があることも知ることができます。
15.野口健「落ちこぼれてエベレスト」
「いい大学に行って、一流会社に入るだけが人生じゃない!」落ちこぼれだった著者は、植村直己の著書と出会い、人生の目標を見つける。波乱の少年時代から、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を樹立した1999年5月のエベレスト登頂までを綴った、若きアルピニストの軌跡。夢を持ち、挑戦することの素晴らしさを伝える熱き自伝。
野口健「落ちこぼれてエベレスト」が読書感想文におすすめの理由
学生時代落ちこぼれと言われていた著者が、停学中に、著名な登山家・植村直己(故人)さんの「青春を山に賭けて」という本に巡り合い、刺激を受け、高1から本格的に登山を始めたこと、7大陸最高峰登頂を目指してがむしゃらに頑張り、そのことを通して著者が失っていた自信を取り戻していく様子が、臨場感たっぷりに描かれています。当時の最年少記録として、25歳でエベレストを登頂して目標は達成されました。様々な経験を通して、様々な人たちと出会い、人間的に成長していく様子にはエールを送りたくなります。また、登山の経験を通して、自分が世の中で何をすべきか新たな課題を見つけ、行動に移すところも立派です。若い著者がどのように道を切り開いていったかという話なので、どなたが読んでも、特に、若い人が読んだら、同じ世代として、感想文を書きやすいのではないかと思います。尚、野口健さんは、現在多方面で活躍されているアルピニストです。
16.鈴木大介「最貧困女子」
今や働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す!
【読書感想文におすすめの理由】
格差社会の到来によって大学だけでなく高校にも満足に通うことのできない子供が増加しています。そして様々な抑圧によって風俗産業に身を落とさざるを得ない未成年は数多く存在しているのです。読書感想文を書く世代にはまだ早いテーマかもしれませんが、たとえば小学生の卒業アルバムで将来の夢にスチュワーデスやお花屋さん、ケーキ屋さんといった微笑ましい夢を述べる子供たちは多く見受けられますが、将来的に社会の闇、隙間に陥ってしまうケースが実は夢の職業に従事する人数と同じ数ほど存在することを知ってほしいのです。
17.岡本文良「ばらの心は海をわたった」
【読書感想文におすすめの理由】
自分が中学生の頃、この本を読んで読書感想文を書きました。今では少なくなった「ハンセン病」ですが、その頃はまだ「ハンセン病」の療養所などもあり、病気の人達の思いや、受けた苦しみ、共に病気に立ち向かった救済者や医師などについて書かれています。日本では、ほとんど無くなったと言ってもいい「ハンセン病」も、2007年時点で世界の新規患者数は25万人と、未だ現役の病気。その怖さや差別の怖さなど、学べるものは多いはず。殺伐とした現代、殺人事件や命を粗末にするような事が多く報道されています。この作品を通して命の大切さを知っていただければと思います。
18.太宰治「走れメロス」
魂をゆさぶる永遠の名作。無実の罪で死刑を宣告され、身代わりとなった友のため許された期限は三日。戻れるかメロス!
【読書感想文におすすめの理由】
太宰治の走れメロスと言えば有名な小説なので、頭の中に 何となくでも内容が残っている人は多いと思います。小説を一から読むのは意外と時間がかかり、そして一度読んだだけで よく内容を理解しきる事は これもまた難しい事です。走れメロスの内容だと友人を信じたり疑ったりと、学生達にも身近な事であったり だからこそ、内容を理解しやすいものだと思います。この小説は、それを読む事によって人として何を考えるかを問われているような気がします。学生さんにはお薦めです。
19.サン・テグジュペリ「星の王子さま」
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。
【読書感想文におすすめの理由】
自分が好きな作品ということもありますがそれ以外のオススメの点として、一般的な小説よりかなり短い作品なので読みやすい事が挙げられます。もちろん短編小説ほどではありませんが一般的な小説の半分ぐらいのページ数だと思っていただいて大丈夫です。そのため読み始めから読み終わりまでの時間が短く済むので感想文を書き始めるまでがスムーズに行えるでしょう。次に、抽象的な言葉が多いのも感想が書きやすい点だと思います。抽象的な言葉が多いということはいろいろな感じ方があるのでどんな感想を抱いても間違いではなく、自分が感じたことを文章にすればいいからです。この二点のためこの本をオススメします。
「大切なことは目には見えない」などの読んでいて心が打たれるような素敵なメッセージが書かれていて、人生で大切なことを教えてくれるからです。王子様や登場人物の一つ一つの台詞や言葉が奥ゆかしく、印象に残ります。自分の意見を書くのに必要なのは「自分ならどうするか、どうしたいのか」といった意志だと思うので、作品中の登場人物の言動で何を感じたかを考えるのに、この作品は最適だと思います。私もこの作品を読んだ結果、自分を見つめなおすことが出来て人生観が変わりました。
20.住野よる「君の膵臓を食べたい」
偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。 それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。 そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。 病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。 【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。 全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!
【読書感想文におすすめの理由】
「君の膵臓を食べたい」が読書感想文に一番お勧めの理由は、とにかくストーリーが面白く読みやすいということです。普段小説をあまり読むことのない私が、話の展開が気になり3日で読み終えた本なので、短期間で読み終える事のできる本だと思います。そして話の内容が濃く色々な事を考えさせらる本なので、中高生には特に読んでほしい本でもあります。人は一人では生きてゆけないんだ、命の尊さや重さをこの本から感じとってほしいです。
21.佐藤多佳子「一瞬の風になれ」
あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。 主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。
【読書感想文におすすめの理由】
主人公が高校生であるために学生の読書感想文としては書きやすい。テーマが部活であるため、普段学校で部活動をしている人たちにとっては共感できる部分が多く、本の内容と自分の部活動での体験談などを照らし合わせて書くことができる。本の内容も難しくは書かれていないためあまり読書をしたことがない人でも、読みやすくそして理解のしやすい内容となっている。さらにこの本全部で3部に分かれているため、読み終えた後の達成感が味わえる。
22.アレクサンドル・デュマ・フィス「椿姫」
美貌の高級娼婦マルグリットは、パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送っていた。ある日、青年アルマンと出会い、初めて誠実な愛を知る。マルグリットは享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人の幸福な生活が始まる。だが、噂を聞いたアルマンの父が駆けつけて…。
【読書感想文におすすめの理由】
「椿姫」は、19世紀フランスの劇作家にして小説家であるアレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の長編小説で、彼の実体験を基に描かれた恋愛小説です。 貴族の青年アルマンと高級娼婦マルグリットの身分違いの恋を描いた純愛物で、後年彼自身の手により戯曲化。多くの人々に愛され、幾度も舞台化や映画化を果たした小デュマの代表作にして名作です。 二百年近く昔の作品ですが、世間体や息子の将来を心配して二人を引き裂きにかかるアルマンの父親や、愛故に身を引くことを決意するマルグリットなど、その心は今の人々にも通じるものがあります。また、実話が基であるだけに社交界の描写や結核についての認識など、当時のフランス社会の様子がよく描かれており、そういった観点からも考察しがいのある作品です。想像力を養い、心を豊かにするのにピッタリの本かと存じます。
23.本川 達雄「ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学」
動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。
【読書感想文におすすめの理由】
自身が高校時代に読んだ本で非常に面白かった記憶があります。 内容としては生物学なのですが、発想に至るまでのアプローチなどが斬新で物事を常に別の視点から考えているとこんな面白いことも思いつくんだなと感じた覚えがあります。 ページ数自体も200ページぐらいでそんなに難しい事も書いてないのでサクサクと読めると思います。 下記は調べた内容。 1993年の新書ノンフィクション部門で、ベストセラーで四半世紀経った今なお、刷を重ねている名著との事です。
24.上野正彦「監察医が泣いた 死体の再鑑定ー二度は殺させないー」
元東京都監察医務院長を務めた監察医である著者は、長年にわたり、変死体がなぜ死にいたったか、検死・解剖を行ってきた。 それをまとめた著書『死体は語る』は、65万部を超えるベストセラーになったが、今回、初めて「死体の再鑑定」についてまとめた本を書き下ろす。 著者の元には、警察、保険会社、および遺族から再鑑定の依頼が数多く寄せられる。 引き受けた著者は、なぜ最初の鑑定が間違っていたかを紐解いていく。 「溺死ではない、殺しだ。事故死ではない、病死だ。病死ではない、暴行死だ」。 最初の鑑定の嘘を暴いていく様は、上質なミステリーを読んでいるようにドラマチックだ。 ときには裁判所で、証人として最初の鑑定人と対峙したり、再鑑定の再々鑑定を提出したりと……事件は2転、3転。 まさに究極のノンフィクションミステリー。
【読書感想文におすすめの理由】
この本には人の死の描写が含まれています。それだけではなく、遺体が物語る事件の全景や真実が多く語らわれています。保険金狙いで殺されたのか?もしくは自殺なのか?の謎の究明を監察医を30年にわたってし、検死、解剖を数多く行ってきた上野正彦先生が医学を全く学んでいない読者にも大変わかりやすく、やさしい言葉で書かれています。時には証人として法廷で立つこともあり、上野先生以外の解剖を行い所見をした医師に対するそれはおかしい!なぜなら人の身体は●●だからだ!など、納得できる内容になっています。最後まで勉強になる1冊です。
25.三浦しをん「舟を編む」
玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。
【読書感想文におすすめの理由】
主人公4人のそれぞれの辞書に対する思いが語られていて考え深いです。普段なにげなく利用している辞書といものが作られるまでにこれほど長い時間と地道な努力が必要なのだと改めて考えさせられました。辞書作りだけでなく人生全般において一見地味な作業や仕事などのコツコツとした積み重ねがやがて大きな成功に導かれるのだと教えられます。これから社会に出て行く若者や今、社会人の人、もう退職した人、どんな人が読んでも考えさせられる物があります。それに日本語って美しくてそして複雑な素晴らしい言語だなと感じる本です。
26.芥川龍之介「蜘蛛の糸」
大正7年、芥川はすでに文壇に確たる地歩を築き、花形作家としての輝かしい道を進んでいた。愛娘を犠牲にして芸術の完成を図る老絵師の苦悩と恍惚を描く王朝物の傑作「地獄変」、香り高い童話「蜘蛛の糸」ほか、明治物「奉教人の死」、江戸期物「枯野抄」など溢れる創作意欲の下に作品の趣向は変化を極めている。
【読書感想文におすすめの理由】
私は中学一年の時の読書感想文で「蜘蛛の糸」について書きました。何より短いのが一番のオススメポイントです。読書感想文で一番めんどくさいのは、本を読まないといけないことです。でも、これは短編なのですぐ読み終わります。しかも文豪「芥川龍之介」が書いたということもあり、手抜き感がなく、先生受けもいいです。内容は仏教の教えに近いもので、意外と奥深く、読んで自分の行動を振り返ったり、自分なりに考えたりして書くと結構字数も稼げます。
27.上橋菜穂子「精霊の守り人」
老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。
【読書感想文におすすめの理由】
読書感想文というからには、お子さんないしは学生さん向けと推察します。 ストーリー、展開が文章から把握しやすく、キャラクターがしっかり描かれている点から 「精霊の守り人」シリーズをお薦めします。 NHKドラマで話題、人気になり、書店でも平積みになって目にする機会があると思います。 ビデオから一度試してみても構いません。今回の映像化は原作の意図を踏み、丁寧にドラマ化されています。 でも、もちろん原作を全巻、読んでください。もっと深く、繊細な味わいがあり、感想文もちゃんと原作を読解しているな、と納得させられなければいけませんから。 文庫本10冊は結構ボリュームがありますが、初めに書いたように、展開がスピーディながらイメージできる文章で、容易に頭の中に世界が広がりますので、夢中にどんどん読み進めて行け、また、登場人物の目標や思いが手に取るようにわかるので、感想文の表現も書きやすいと思います。
28.クレイド・プレストウィッツ「2050 近未来シミュレーション日本復活」
ニッポンは三度目の復活を遂げる!米国発、衝撃の問題作。日米両超大国時代の到来を予見!知日派論客による「新・日本論」
【読書感想文におすすめの理由】
「日本沈没」ではなく「日本復活」です。著者はかつて米国政府機関でジャパンバッシングの最前線にいて日本に対する対抗策を練っていた方です。今度は逆の立場から日本へエールを送っています。ジャパンバッシングで日本の弱点を探していたので、日本社会および経済状況に対する分析は的確で、復活の改善計画も具体的です。けっして飛躍した提案ではないので、今からすぐに実施できるものです。自分自身のため、日本そして世界のためにも日本が復活しなければと思えてきます。
29.はらだみずき「帰宅部ボーイズ」
真っすぐ家に帰って何が悪い。オレたち帰宅部にだって、汗と涙の青春はあるのだ。『サッカーボーイズ』の著者が描く余りものたちの新たな青春小説。
【読書感想文におすすめの理由】
オススメの理由は、青春物語だからです。青春物語が好きな人にオススメです。だから、読書感想文で青春物語はピッタリだと思います。また、絵本みたいな幼稚な物語ではないので、中学生から大学生ぐらいまで読める本だからです。特に中学生にオススメです。理由は「帰宅部ボーイズ」も中学生の青春を描いているからです。悩み悩む中学生が読むには最適な本ですよ。また、「帰宅部ボーイズ」では、友情も描かれているので、友情物語が好きな人にもオススメする本です。
30.赤羽じゅんこ「夢は牛のお医者さん」
夢をあきらめないひとりの少女の物語。 新潟県の山あいにある小さな小学校に3頭の子牛が“入学”してきました――。 当時、小学3年生だった少女が、牛の世話をするなかで抱いた夢・・・・・・、それは「牛のお医者さん」。 懸命に世話をした牛との別れ、家族や周囲の支えと夢への熱い思いを胸に挑んだけわしい獣医師への道。 そして、“ペット”ではなく、“家畜”のお医者さんとなったかつての少女は、今も「いのち」と向き合いながら、日日戦っています……。 2014年春に単館上映からスタート、その後大きな話題となったテレビ新潟製作の同タイトル映画を絵本にしました。 観客の感動と涙をよび、公開からわずか4ヶ月でミニシアターでは異例の2万人を突破。ぴあ初日満足度ランキング1位を獲得。以後、日本映画ペンクラブ賞、日本映画批評家大賞、日本民間放送連盟賞など多くの賞を受賞し、いまなお各地で上映が続いています。 “夢をあきらめない”を、全国のこどもたちたちに届けます。
【読書感想文におすすめの理由】
小学校にある日、3頭の牛が入学してきて…というドキュメンタリー映画にもなった作品が小説になっています。ビジュアルが思い浮かべやすいのと、同じ年代の少女が夢を叶えるまでの険しい道のりなど、主人公に感情移入しながら読める作品だと思います。 また、世話をしていた牛とのお別れや、獣医師になるまでの努力、家族との絆、命の大切さ、その命とどのように向き合ってきたのか、今子どもたちに知ってぜひ知ってほしい内容になっています。
31.石黒 謙吾「盲導犬クイールの一生」
「人間らしい歩き方を思い出させてくれた」との言葉を残して、パートナー(使用者)はこの世を去った。盲導犬クイールの、生まれた瞬間から、暖かい夫婦のもと息をひきとるまでをモノクロームの優しい写真と文章で綴る。映画化、ドラマ化もされた感動の記録。解説・多和田悟。新たに秋元良平「出版から十五年が過ぎて」を収録。
【読書感想文におすすめの理由】
盲導犬がどのようにして盲導犬となるのかを知ることができます。盲導犬は、たくさんの愛情を受けることが大事であることや、盲導犬としての期間をどのように過ごすのかなど、子どもも興味を持って読めると思います。とても有名な本なので、家族で盲導犬について話し合うこともでき、それを感想文の中に盛り込むこともできます。犬を飼っている子はもちろん、飼っていない子も、吸い込まれるように想像力を働かせるはずです。犬の一生とそれに寄り添う人々の一生、まるで我が事のように感じることができ、この本を読んだ子どもにも良い影響がある良本だと思います。
32.角野栄子「魔女の宅急便」
ひとり立ちするために初めての街にやってきた13歳の魔女キキが、新しい街で始めた商売宅急便屋さん。相棒の黒猫ジジと喜び哀しみをともにしながら街の人たちに受け入れられるようになるまでの1年を描く。
【読書感想文におすすめの理由】
ジブリアニメの原作として有名な作品で、映画の内容は多くの人が知っていると思います。 ただ、映画は原作全6巻の内の1巻分だけで、しかも、原作の内容は映画とは大きく異なっています。 感想文を書くにあたって、ストーリーの感想に加え、原作が映画とどのように違っているのか、原作と映画でそれぞれ何を伝えようとしているのか、それぞれについて自分はどのように感じるのか、自分はどちらのテーマにより共感するのか、などについて書いてみるのも面白いと思います。
33.今西 乃子「犬たちをおくる日―この命、灰になるために生まれてきたんじゃない」
愛媛県動物愛護センターで、獣医師の資格を持ちながらも犬たちの殺処分に関わらねばならない職員。その葛藤の中で一頭でも多くの命を救うために奮闘する職員の日常を追いながら、命の重さを問う感動ノンフィクション。
【読書感想文におすすめの理由】
児童文学作家の今西さんの著書はわかりやすい言葉で表現されているため読みやすいこと。そして何より子供達に命について真剣に考えてほしいからです。安易な気持ちでペットを飼うことの怖さも知ってもらいたいです。少しハードな内容ではありますが、読書感想文を書くのであればとっても意味のある本だと思います。小さな動物への愛情や思いやりを持った子供に成長してほしいと共に、命に対する責任も考えるきっかけになればと思います。小学生高学年くらいにおすすめだと思います。できればご両親と一緒に読んで、家族で話し合うのも良いかと思います。
34.森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
【読書感想文におすすめの理由】
わたしはこの作品に出会うまで、なにか作品を読み終えても登場する「その土地」に興味を抱くことは一度もありませんでした。 しかしこの本を読み終えてから、この作品の舞台となる「京都」に深く関心を持ち、憧れるようになりました。 どうしてもこの作品に出てくる風景や神社・お店など、実際に目で見てみたいと強く思ったのです。 そう思わせるほどに、京都のあらゆる街並みがとても細かく描写され、美しい京都の町にいるかのような感覚に引きずりこまれるのです。 出てくる登場人物もとても想像しやすく、ついクスッと笑ってしまったり、共感できる言葉やシーンが散りばめられています。 まさにこれが「森見ワールド」。 独特な言葉遣いや言い回しにも、読み終えるころには虜になっていることでしょう。 ぜひぜひ一度は読んでいただきたいと思います。
35.夏目漱石「坊っちゃん」
松山中学在任当時の体験を背景とした初期の代表作。物理学校を卒業後ただちに四国の中学に数学教師として赴任した直情径行の青年“坊っちゃん”が、周囲の愚劣、無気力などに反撥し、職をなげうって東京に帰る。主人公の反俗精神に貫かれた奔放な行動は、滑稽と人情の巧みな交錯となって、漱石の作品中最も広く愛読されている。近代小説に勧善懲悪の主題を復活させた快作である。
【読書感想文におすすめの理由】
数年前までは定番として挙げられていた『坊っちゃん』ですが、最近では指定図書に見かけることもなくなりました。 時代が古いと言うことなのでしょうが、作者名しか知らず読んだこともないというのは非常にもったいないことだと思います。 教科書に載る昔の作家は多いですが、その中でも夏目漱石をお勧めする理由は読みやすいの一点につきます。 森鴎外や芥川龍之介、太宰治は内容如何よりも文章が読み辛く、小・中学生などでは途中で挫折してしまうこともあります。 夏目漱石の文章は昔らながらの表現もありながら、柔らかい文体は現在の文章と比較しても古臭さを感じない。 特に坊っちゃんはそれが顕著であり、中学時代本が苦手だった私でもすらすら読めました。 読み切れなければ感想文は書けませんし、あらすじで書き上げてしまっては本末転倒。 読みやすく、若い人に読んでほしいなと思う小説としては坊っちゃんが一番お勧めです。
36.森絵都「カラフル」
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。
【読書感想文におすすめの理由】
少し古い本にはなるのですが、実際に私が読書感想文を書いた本です。 物語のあらすじは、死んだボクはもういちどだけ人生をやり直せる事になる。ただし、名前も知らない人として。その間に前回の人生での過ちに気づけたら魂は昇華し、輪廻のサイクルに戻れる。という話しです。 この主人公はどこにでもいるような学生でやる気もなく、魅力もあまりありません。 その分その少年のことを自分に重ねやすく、自分だったらどうしよう、こんな気持ちになるな、と感想文を書きやすい気持ちや疑問を持ちやすい話です。 最後のどんでん返しとまではいきませんが、結末も面白いですし、思春期特有の悩みもてんこ盛りなので、学生さんにおすすめの本です。
37.百田尚樹「マリア」
「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。
【読書感想文におすすめの理由】
スズメバチの働き蜂が主人公の物語なのですが、とても感情移入しやすく夢中で読み進められる読みやすい作品です。 内容的にもきちんとした生物学的な背景に基づいており、女王蜂、働き蜂、オス蜂、それぞれの視点からスズメバチの一生が描かれています。 スズメバチは人間にとっても時として牙を剥く恐ろしい昆虫ですが、彼女らには巣を守るという使命が本能として受け継がれており、 人間が巣の安全を脅かすと判断した場合は自らの命を顧みず戦います。マリアは働き蜂なので自ら子孫を残すことはありませんが、 女王蜂のために生涯をささげる事への葛藤なども描かれており非常に奥の深い作品で読書感想文を書く作品にふさわしいと思います。
38.太宰治「女生徒」
「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、―」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く妻を描いた「おさん」など、太宰がもっとも得意とする女性の告白体小説の手法で書かれた秀作計14篇を収録。作家の折々の心情が色濃く投影された、女の物語。
【読書感想文におすすめの理由】
まず、「太宰治」というビッグネームであるため、まじめに課題に取り組んだと教師等に思われやすい。次に、短編であるということ。単純に読みやすい。そして内容に関してであるが、思春期の女の子が一日をつらつらと綴っているというものであり、女子中高生であれば特に自分の現在の感性や感覚と比較して感想を書くことができる。戦争や死などといったあまり身近でないものとは違い、「ここは自分も常々感じているところであった、なぜならばーー」というように実体験に基づいた等身大の感想文が書ける。
39.佐野洋子「100万回生きたねこ」
このとらねこ一代記が、何を風刺しているかなどと考えなくても、すごいバイタリティーをもって生き、かつ死んだ話をおもしろいと思ってみればよいと思う。上級から大人まで開いてみて、それぞれに受けとめられるふしぎなストーリーでもある。飼い主へのつながりが無視され、前半と後半が途切れているようで、みていくとつながってくるふしぎな構成である。――日本経済新聞「こどもの本」書評より
【読書感想文におすすめの理由】
本自体は短く簡単な話で決して長い物語ではありません。一見読書感想文には不向きかとも思いますが、短い話なのに奥が深く最後にはジーンとくる話です。何回生き返ってもどの飼い主のことも愛せない、自分しか愛せなかった一匹の雄猫。自由に生きられる野良猫に生まれ変わった時、一匹の自分には見向きもしない雌猫に出会ったことで少しずつ素直になり自分以外の人を愛することはどんなに素晴らしいことかを知ります。これは人間の世界でもよくあることではないかと思いました。登場人物に対しての感想だけにとどまらず、それぞれ読み手がいろんな気持ちを感じやすい本だというところが感想文におススメではないかと思いました。
40.梨木香歩「西の魔女が死んだ」
「西の魔女」とは、中学生の少女まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、祖母のもとで、何でも自分で決められるようになる「魔女修行」をすることに・・・。生きる力を与えてくれる、癒しの児童文学、誕生。 –このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
【読書感想文におすすめの理由】
自分がちょうど思春期の頃にこの本に出会い、一気に引き込まれました。どこにでも起こりうる、でもちょっと不思議なお話だったのが印象的でした。 私はジブリ映画が大好きなのですが、この本は半紙の流れや設定がそれに近いものがあり、そこも引き込まれる一つの要因だったと思います。 思春期の頃といえば、祖父母と疎遠になっていく子が多いのではないでしょうか。この本を読んで、祖父母と過ごした楽しかった頃を思い出してほしいです。
41.森山 京(もりやま みやこ)「きいろいばけつ」
きつねの子が、丸木橋のたもとできいろいばけつをみつけました。だれのばけつだろう。一週間たっても持ち主が現われなければ、自分のものにしよう……。子どもたちが抱く希望や不安、喜びなどを、やさしくあたたかく描いた、大人気ロングセラー。
【読書感想文におすすめの理由】
ある日、主人公のきつねの子がばけつを見つけます。所有者が誰かわからないそのばけつをきつねの子は欲しくなりますが、自分のものにする前に、持ち主が現れるかもしれないと考えて一週間待つことにします。いるかいないか分からない持ち主のことに思いを馳せる優しさ、そして自分のばけつへの愛着や持ち主が現れるかもしれないという不安との葛藤、ばけつが自分のものになる瞬間への期待など、純粋で子供らしい感情の動きが物語の主人公であるきつねの子から見えます。こうした豊かで繊細な感情の変化に触れることは、読書の醍醐味だと思うからです。
42.ルーシー・モード・モンゴメリ「赤毛のアン」
ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく――。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。
【読書感想文におすすめの理由】
赤毛のアンは、女性ならだれでも一度は読んだことがある作品ではないでしょうか。赤毛のアンが読書感想文にオススメの理由は、年齢(学齢)を問わずどの年代でも書けるということです。例えば小学校低学年用の簡単な本もありますし、高校生や大人向けの本もあります。そしてストーリーはいたってシンプルでイメージが湧きやすく、美しい情景が頭に思い浮かびます。あるいはカナダの写真などを見ながら実際の土地に思いを馳せながら読むこともできます。赤毛のアンの魅力は誰にでも書きやすいとろだと思います。
43.俵万智「サラダ記念日」
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日?―“与謝野晶子以来の天才歌人”による、空前絶後のベストセラー歌集。
【読書感想文におすすめの理由】
物語でもないのですが、実際、私が学生の頃に読書感想文を書くにあたって愛読した物がサラダ記念日でした。 昭和の時代背景も折り込まれてますし、思春期の子供にも共感できる1首もありましたし、古い言葉を使った物もあったので勉強にもなりました。 何よりも読みやすかったのが特徴です。 物語のようなダラダラとした文章が苦手な人にでも、スキマ時間でサラッと読めるので良いと思います。 楽しい気持ちにも切ない気持ちにもなれて、偏った感情だけでないところが読書感想文を書きやすくしてくれると感じました。
44.ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」
シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。――成道後の仏陀を讃美するのではなく、悟りに至るまでの求道者の体験の奥義を探ろうとしたこの作品は、ヘッセ芸術のひとつの頂点である。
【読書感想文におすすめの理由】
ノーベル文学賞受賞作品であるのと、私にとって人生の意義について考えさせられた感動の名作だったからです。時代や国境を越えて人類のあるべき姿を赤裸々に描いた作品は、作者らしいグローバルな視点やスケールにおいても共感を得ることができました。愛や苦悩を知ってこそ真の幸福を願える人間になりうるのであろうことがわかり、どんなに辛い時でも生きていく勇気が湧いてくるように感じられました。タイトルは出家前の釈迦の本名ですが、親近感のあるストーリーです。
45.道尾秀介「光」
利一が小学生だった頃、仲間といれば毎日が冒険だった。真っ赤に染まった川の謎と、湖の人魚伝説。偽化石づくりの大作戦と、洞窟に潜む殺意との対決。心に芽生えた小さな恋は、誰にも言えなかった。懐かしいあの頃の記憶は、心からあふれ出し、大切な人に受け渡される―。子どもがもつ特別な時間と空間を描き出し、記憶と夢を揺さぶる、切なく眩い傑作長編小説。
【読書感想文におすすめの理由】
現在、小説を書いている現役の作家で、映画になった著作もあり、読みやすい本です。 中学生、高校生にちょうど良いです。大人も楽しめます。 主人公は小学生。主人公と友達の日常に起こる、謎解きと冒険の物語です。 章が終わるごとに、主人公の気持ちの独白があり、それが少しづつ成長していきます。 周囲の大人たちが、関わり、見守り、助けてくれる・・今どきの話題も含み、ちょうど青少年期の人たちには、お勧めです。 この一冊を読み上げることで、確実に、一歩成長することができます。
46.司馬遼太郎「世に棲む日日」
狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動。幕末、長州藩は突如、倒幕へと暴走した。その原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の人物群を鮮やかに描き出す長篇
【読書感想文におすすめの理由】
私が読書感想文にオススメしたい本は司馬遼太郎の『世に棲む日日』です。 本書は、松下村塾から数多くの偉人を輩出した吉田松陰と、松蔭の意志を受け継いだ高杉晋作を中心に幕末の時代を描いた歴史小説です。 たった2年しかなかった存在しなかった松下村塾から、なぜ歴史を動かす偉人たちが育ったのか。 その謎を解く鍵は、吉田松陰という人物の生き方にありました。そして、司馬遼太郎の代表作であると同時に、松蔭の生き方を知る上で、最も重要な資料の1つとしての価値を持つのが『世に棲む日日』です。 ぜひご一読ください。
47.川村元気「世界から猫が消えたなら」
郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけてくる。
「この世界からひとつ何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得ることができる」
僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計……そして、猫。
僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。
二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化、映画化!
【読書感想文におすすめの理由】
主人公は毎日みんなと同じように普通の生活をしていたのに、ある日突然、病気で余命一週間と宣告されてしまう。そこにやってきたのが「悪魔」。悪魔は主人公に、「あるものを世界から消す代わりに、君の命を1日延ばすことができる」と言う。1つ消したら1日、30個消したら一ヶ月、寿命が延びることになる。でも、ガラクタなどのいらないものは受け付けてもらえない。自分の命を延ばす代わりに、世界から何を消しますか?そこで延びた貴重な1日を、どんな風に過ごしますか?何がしたいですか?色々と自分の人生に置き換えて考えたり、人に考えさせたりできる本なので、感想文も書きやすいかと思います。
48.辻村深月「ツナグ」
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
【読書感想文におすすめの理由】
映画にもなったので、読書が苦手な人でも抵抗なく読めると思います。生と死について考える作品となっています。自分の書きやすい物語で書くと良いでしょう。一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「ツナグ」。あなたなら誰に会い、何を伝えますか。人生は、出会いと別れの積み重ねでできています。後悔しないように、あなたの大切な人に想いを伝えてみてはいかがでしょうか。多感な高校生や中学生に、読んでもらいたい一冊です。
49.重松清「卒業」
「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが――。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。
【読書感想文におすすめの理由】
実の母親が亡くなった後に父親が結婚した血のつながらない母親と息子の関係が繊細に描かれいる。新しい母親は息子が小学生の時に突然現れ、そん戸惑いと亡くなった生みの母親との思い出が交錯し、素直になれない小学生の子供の心を読者ならどのように考えるかという点から感想が生まれやすい。また息子が成長し、自分の子供ができたことで母親との関係を修復しようとするが、やはり素直に気持ちを表すことができない。成長した息子を取り巻く兄弟、妻、子供のとの関係から、母親に気持ちを伝えるまでの展開を自分の心の成長に置き換えることで、小説の中に入り込むことができる。
50.辻内鏡人、中条献「キング牧師―人種の平等と人間愛を求めて」
アメリカ公民権運動の指導者として,つねに非暴力抵抗運動の先頭に立って闘い,志半ばで凶弾にたおれたキング牧師.「わたしには夢がある.それは,いつの日か,かつての奴隷の息子と,奴隷所有者の息子が,兄弟として同じテーブルに腰をおろすことだ.」人間愛に満ちた社会の実現をめざし,三九年の生涯を燃焼した,その足跡をたどる.
【読書感想文におすすめの理由】
公民権運動を行ったキング牧師の人生について書かれた本です。キング牧師の生涯の記述だけでなく、写真やスピーチも載っているのであまり時間をかけずに一冊読み終えることができます。当時のアメリカの歴史についても学ぶことができます。キング牧師の業績だけでなく失敗や苦悩・後悔なども書かれています。「自分だったらどうするか?キング牧師のような行動ができるだろうか?」という観点から感想文を書きやすい本で、とてもオススメです。
51.あさのあつこ「バッテリー」
そうだ、本気になれよ。関係ないこと全部すてて、おれの球だけを見ろよ。
中学入学を目前に控えた春休み、父の転勤で岡山の県境の街に引っ越してきた巧。ピッチャーとしての自分の才能を信じ、ストイックなまでにセルフトレーニングに励む巧の前に同級生の豪が現れ、バッテリーを組むが…。
【読書感想文におすすめの理由】
まず一番の理由は、「バッテリー」が児童書だということです。 宿題で読書感想文を提出するのは小学生~高校生ぐらいまでだと思うので、教科書に掲載されている近代文学よりはるかに読み易いと思います。 次の理由は「バッテリー」が小説だけでなく漫画・アニメ・実写映画化されているという点です。 読書感想文が苦手な人の中には「普段全く本を読まない」という理由が含まれると思いますが、その点「バッテリー」は漫画やアニメを先に見てストーリーを確かめられるという利点があります。 勿論、読書感想文なので小説は読まなければならないのですが、先にストーリーを押さえておくことによって書くポイントを定められますし、漫画やアニメと原作を比較するということ自体が読書感想文を書いていく糸口になると思います。
52.宮下 奈都「羊と鋼の森」
ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
【読書感想文におすすめの理由】
戸村という少年が、運命的に学校でピアノの調律師に出会い。戸惑いながら、つまずきながらも調律師という裏方で、繊細な仕事を通して成長していく姿は感動的です。 ピアノはただ音を合わせれば良いという単純なものではなく、持ち主の技量や環境、その人の心も受け入れて音を作りあげなくてはならない仕事なのだと、この本を読んで初めて知りました。 一人の人間の成長するお話は、中学生・高校生などこれから将来を考える年代にとって良い材料になるのではないでしょうか。
53.中野 幸隆「十三等分の時計の秘密」
【読書感想文におすすめの理由】
主人公は中学受験を控えて進学塾に通い、毎日毎日勉強漬けの小学6年生の男の子。電車の窓から見えた文字盤が十三等分された、普通と違う時計が気になり、その時計のあるビルに向かいます。 時間そのものや、時間の使い方について考えさせられるストーリーと、衝撃的な結末で、私も子供の頃に読んで、今でもはっきり内容を覚えている本です。確か、当時の課題図書にも選ばれていたと記憶しています。1992年の刊行ですが、中学受験や進学塾、家庭など、主人公を取り巻く環境や悩み事は、今現在の子供たちにも通じるものがあり感情移入もしやすいのではないでしょうか。 もし、自分が十三等分の時計を見つけたらどうするか……といったところから、感想文のとっかかりになると思います。
54.綿矢りさ「蹴りたい背中」
この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい”長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが…クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。
【読書感想文におすすめの理由】
この本は特に高校生におすすめしたい本です。 理由はこの「蹴りたい背中」が発表されたとき、綿矢さんが19歳でこの作品も高校生を主人公にした物語だからです。 私も学生の時に読んだことがありますが納得する場面も多く、20代の今、読み返したりしても納得する場面が多いです。 誰もが経験したりするであろうこと。 友達と疎遠になったり恋愛感情かなんなのかよくわからない感情などの描写がとても、上手です。 もう一つ、「インストール」という作品も学生が主人公の小説なので読んで欲しいです。
55.ゴルゴ松本「あっ!命の授業」
3年ほど前からボランティアで少年院を回り、少年たちに独自の漢字を使った授業をしていた著者。それが先頃テレビ、新聞、ヤフートップニュース等々に取り上げられ、youtubeでは、授業の模様が話題沸騰(200万アクセス突破)となっています。
誰もが受けたがっていた『命の授業』が待望の書籍化!
これを読めば、日本語のすごさ、日本のすごさを実感することができるでしょう。
【読書感想文におすすめの理由】
この本は日本人が普段使っている何気ない言葉には一つ一つに意味があることを教えてくれる本です。 この言葉にはこういう意味がある、この言葉は昔の人はこういう風に考えて作られたなどのとても深い話が読めれます。 実際に私もこの本を読書感想文に書いて提出しました。書いてみると意外と何を書けばよいかはっきりわかりスムーズにかけれます。 ただ文字しか乗っているだけではなく、ゴルゴ松本さん手書きの説明イラストや漢字の形について詳しく説明してくれているので文字だけでは疲れるという方にお勧めですね。
56.大岡昇平「事件」
十七歳の美少女アデイラは二十歳も年上の商人バートレットと結婚した。しかし、彼女が二十七歳の頃、夫に紹介された美男の牧師と愛し合うようになる。ある日、夫が急死するという事件が起る。検視の結果、死因はクロロホルムによるものと判明した。事件の発生から捜査、起訴、法廷、陪審制による判決までを克明に追及し、謎に満ちた人間ドラマを描いた表題作「無罪」。戦後文学の巨人・大岡昇平は、推理作家協会賞を受賞した『事件』以外にもこんなミステリの名作を残していた。英米の不可解な殺人事件の裁判記録を読みこみ、見事に小説化した傑作十三篇を収録する。
【読書感想文におすすめの理由】
少し昔の小説ですが、人が人を裁くことの難しさを主題にしたこの本は、多くの若者に読んでほしい一冊です。自分が殺したと主張する、若くして結婚した男と、彼を取り巻く人間関係、そして法廷で暴かれる嘘。見ているのは活字だけなのに、法廷でのやりとりが頭の中で再生され、自分が生きた時代ではないのに当時の様子がありありと浮かんできます。当時の時代背景や当時の人々の考え方なども理解できますので、この本をオススメしたいと思います。
57.青井汎「宮崎アニメの暗号」
スペイン映画『ミツバチのささやき』、漫画『護法童子』、ゴヤの『巨人』、宮沢賢治、世界各地の神話、太古の洞窟壁画、陰陽五行思想―。宮崎駿のアニメ作品には、さまざまな「仕掛け」が巧みに隠されている。表層のエンターテインメント性に惑わされることなく、暗号を一つ一つ解読していくと、宮崎駿が見つめている深く広い世界が見えてくる。単なるアニメ論を超え、多くの日本人が忘れかけた「真情」を呼び覚ます注目の論考。
【読書感想文におすすめの理由】
誰もが知っているスタジオジブリの宮崎アニメについて、その裏側からジブリ作品の伝えようとしている要素を解き明かそうとするルポルタージュのような作品。多くの人に知られている「スタジオジブリ」がメインテーマであるため、細かい解説などはいれずに大まかなストーリーと引用を用いて、そこに自分の感想を付け加えるという構造をとれば、読書感想文も書きやすくなるのではないかと思われる。今まで何気なく見ていた映画に「そんな見方があったのか!」と思える要素がいくつも見つかるので、驚きやが意外性などの感想も持ちやすそうな本である。
58.サイモン シン(著)、青木 薫(翻訳)「フェルマーの最終定理」
17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!
【読書感想文におすすめの理由】
この物語は、300年以上証明されなかった定理をオックスフォード大学の教授アンドリュー・ワイルズが証明するという実話です。数々の問題を提起し証明してきた17世紀の偉大な数学者フェルマーはが残した謎と、それに挑戦する数学者たちの生き様を描いた本書は、実話だからこそミステリーに対するロマンや不可思議さや感動があります。300年もの間、日本の数学者を含む多くの数学者が挑んでは失敗し、その過程で多くの新たな定理が証明されいくなど、数学者たちの活躍と挫折、栄光を知ることができます。そして、小さいころにフェルマー予想に触れたことで数学の道を志したワイルズが、自分の人生をかけて証明に打ち込む姿は純粋に感動します。 数学の本ではなく、1人の人間のドキュメンタリーであり、歴史ミステリーとして人生を豊かにしてくれる1冊です。
59.スーザン・バーレイ「わすれられないおくりもの」
アナグマは、もの知りでかしこく、みんなからとてもたよりにされていた。冬のはじめ、アナグマは死んだ。かけがえのない友を失った悲しみで、みんなはどうしていいかわからない…。友だちの素晴しさ、生きるためのちえやくふうを伝えあっていくことの大切さを語り、心にしみる感動をのこす絵本です。
【読書感想文におすすめの理由】
わすれられないおくりものは小学生の中学年の時に読んで読書感想文を書いた思い出のある一冊です。おくりものといえば現代ではお金で買ったものなどが多いと思いますが、この絵本ではお金では買えない大切なものを思い出させてくれます。身近な人の死によって悲しみは満ちますが、その人と一緒に過ごした時間はかけがえのないものでその人が教えてくれたことで自分ができなかった事が出来るようになってほんとのおくりものの意味が分かります。現代の子にも心にしみるような優しい一冊の本なのでお勧めします。
60.太宰治「人間失格」
「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。
【読書感想文におすすめの理由】
有名すぎるくらいの定番ですが、「人間とは、自分とはどういう存在なのか?」というアイデンティティが確立される際に、誰もが突き当たる問題について真正面から考えさせられる作品です。悩みもがきながら生きる主人公の姿は、読んでいて時に息苦しささえ感じるかもしれませんが、誰もが自分は何者でどう生きていくべきなのか、どのように生きていきたいのかということを悩み、考えることで成長していく部分があると思います。そして、それを感想という形で言葉として表現することで意識も高まるのではないでしょうか。時代は変わっても、人間の本質は変わらないことを感じさせてくれる1冊でもあります。
61.J・K・ローリング「ハリーポッターと賢者の石」
ハリー・ポッターは孤児。意地悪な従兄にいじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ホグワーツ魔法学校からの入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知る。キングズ・クロス駅、9と3/4番線から紅色の汽車に乗り、ハリーは未知の世界へ。親友のロン、ハーマイオニーに助けられ、ハリーの両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決までの、息を飲む展開。9歳から108歳までのファンタジー。
【読書感想文におすすめの理由】
ハリーポッターシリーズは誰もが知っているといってもおかしくないメジャーな作品で、子供でも飽きずに楽しく読めるのでとてもおすすめです。 私が小学生の時に読書感想文で読んだことがあって、子供にとってはページ数は多いけれどファンタジー要素は想像も膨らむし、好奇心が掻き立てられてどんどん読み進めていた記憶があります。 読書感想文が苦手だったのに退屈しないで読み終えることができて感想もスラスラ書けました。 今ではたくさんのハリーポッターシリーズが出ているので自分が好きなシリーズも選べて感想文が書きやすそうだと思います。
62.池井戸潤「空飛ぶタイヤ」
走行中のトレーラーから外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも…。自動車会社、銀行、警察、記者、被害者の家族ら、事故に関わった人たちの思惑と苦悩。「容疑者」と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともに事故の真相に迫る。圧倒的感動を呼ぶエンターテインメント巨編!
【読書感想文におすすめの理由】
世の中の仕組み(会社・人間関係など)を理解するのに有効なストーリーが展開されているからです。大企業の不正に対する中小企業の戦いを描いた本作品は、会社組織で働く人間の息苦しさや振る舞い方やワクワク感を感じ取る事ができると思います。会社はどうやって儲けているのか、中小企業は何故存在するのか、大企業と中小企業では何が違うのか、といった基本的な社会の仕組みを知るためにはかなり参考となるバイブル的な一冊でしょう。
63.ヴィクトール・フランクル「夜と霧」
心理学者、強制収容所を体験する-。飾りのないこの原題から、永遠のロングセラーは生まれた。原著の改訂版である1977年版にもとづき、新たな訳者で新編集。人間の偉大と悲惨をあますところなく描く。
【読書感想文におすすめの理由】
この本をお勧めするのは、生きる勇気をもらえる本だからです。第二次世界大戦中ナチスドイツにより、強制収容所に連行されたユダヤ人心理学者である著者がその体験をつづった有名な本です。たとえ制限されたつらく厳しい条件の下におかれていたとしても、希望を捨てず、自ら生きる意味をもつことがいかに大事かを実体験をもとに教えてくれます。またこの作品は、ユダヤ人強制収容所においてどんなことが行われていたかを収容された側の目線で知ることができる貴重な資料でもあります。
64.湯本香樹実「夏の庭―The Friends―」
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。
【読書感想文におすすめの理由】
本の内容が素晴らしいのはもちろんですが、感想文を書きやすい本だと思います。まず国語の教科書にも掲載されていることから、どうしてこの本を読もうと思ったかという動機が書きやすいこと、教科書には一部分しか載っていないので、教科書で読んだ時の印象と全文読んだ後の印象の違いを書くなど、これだけでも文字数が稼げます。そして主人公が小学6年生で複数いること、読書感想文が宿題として出されるのはやはり小学校が多いと思います。そう考えると同世代の主人公は感情移入しやすく、本の中に登場する少年たちの中で、誰に共感するか、自分だったらこう思うなど、文章を書く切り口がたくさんあります。「人の死」という大きなテーマを題材にした作品ですが、難しい言葉は出てきません。本も薄くて読みやすいので、本を読むのが苦手な人にもおすすめできます。
65.梨木香歩「裏庭」
昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた――教えよう、君に、と。少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。
【読書感想文におすすめの理由】
主人公の女の子が古い屋敷の鏡から「裏庭」と呼ばれる異世界に行ってしまうお話なのですが、沢山のテーマが織り混ざっていて何回読んでも新しい発見があり、色々な楽しみ方ができる本です。冒険物語としても、ファンタジーとしても、主人公の成長物語としても、(心の奥深く入っていく…)非常に精神世界的な物語としても、楽しむことができます。登場人物も、可愛らしかったり面白かったりミステリアスだったり、魅力的なキャラクターが多く、飽きることがありません。様々な側面から捉えることができるので感想文の題材としてピッタリだと思います。
66.ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」
誇りと喜びにあふれて首都の神学校に入学したハンスがそこで見出したものは、詰めこみ主義の教育と規則ずくめの寄宿舎生活であり、多感で反抗的な友人の放校であった。疲れ果てて父の家に戻った彼は機械工として再び人生を始めようとするが…。重い「車輪の下」にあえなく傷つく少年の魂を描くヘッセ(1877‐1962)の永遠の青春小説。
【読書感想文におすすめの理由】
この作品の主人公は、周囲の期待に応えようとして、幼いながらに自分を犠牲にして生きます。また、そういう線路を敷いたのは父親だけでなく、村全体の大人達でした。しかし、それが破滅へ続く線路だとは誰も気づいていないのです。結局、主人公は川で溺死してしまいます。タイトルの「車輪」は、「村の大人」「親」「決まり事」などのことで、「下」は文字通りそれらに押しつぶされた、つまり「轢かれた」のです。子ども達が通る道であろう「大人への反発」をする時期に勧めたい一冊だと思います。
67.有川浩「明日の子供たち」
三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。
【読書感想文におすすめの理由】
この本は、児童養護施設を舞台にした作品です。児童養護施設というと理由があり、親と暮らせなくなった子供たちが住むところなので、可哀想な子供たちがいるイメージがありますが、この本を読むと児童養護施設の子供たちは決して可哀想な生活を送っているのではなく、私たちの先入観があったのだと気づくことができる作品です。確かに、児童養護施設の子供たちは辛い経験をしてますが、ずっと辛いのではなく楽しいこともあるということもわかる作品です。とにかく、児童養護施設についての先入観がなくなる作品です。
68.金城一紀「GO」
広い世界を見るんだ―。僕は“在日朝鮮人”から“在日韓国人”に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。
【読書感想文におすすめの理由】
おもなテーマは「在日外国人の葛藤」だが、主人公がエネルギッシュな男子高校生で、家族、学校や友人関係、恋愛など誰でも共感できる悩みを通じて成長していく過程がとても爽やかに描かれている青春物語だから。主人公に無配慮な外国人差別がどんどん降りかかってくるも、それを跳ね返し自分で壁を乗り越えていく姿もカッコいい。ページのボリュームはあるが、どのキャラクターも個性的でどんどん先を読みたくなるし、描写も疾走感があるので苦にならない。
69.伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。
【読書感想文におすすめの理由】
映画化もされているので見た方は知っているかと思われますが、実際に原作を読んでみるとまた面白いと思います。 首相の暗殺の濡れ衣を着せられた主人公が警察や警察組織から逃げ回る物語で、本を手にとってみると意外に分厚くてとっつきにくいかもしれませんが、読み始めてみると文章から伝わってくるスピード感が心地よくどんどん読めてしまいます。 ミステリー要素も含まれているので、なぜ主人公が濡れ衣を着せられてしまったのかを考えながら読むとまた面白いかもしれません。 最後のほうは伏線の張り方が見事としかいいようがない回収をされていて、読み終わったあとはとてもスッキリするかと思います。
70.水谷修「夜回り先生」
内容記載予定
【読書感想文におすすめの理由】
十代後半の頃に読んだ本です。若者の非行等に向き合う水谷豊さんの経験や思いが綴られています。非行に走る若者、しかし、そういった行動に走る裏には若者なりの理由があり、非常に共感した本です。周りには理解してもらえない苦しさと戦う若者。理解できない周りの人間。二十代の現在、その頃の同じ十代としてでは無く、過去のように思えるような内容に感じます。非行に走ってしまう人間を白い目で見る前に、しっかり向き合う事で相手を理解し、心の支えになることで、人生をやり直せる可能性を教えてくれる本だと感じました。
71.中島みち「クワガタクワジ物語」
生まれて初めて、一度に三匹ものクワガタムシをつかまえ、それを飼う太郎少年と見守る母。さわやかな心の交流、生命の尊さをうたいあげた三夏の記録。74年筑摩書房刊を文庫化。
【読書感想文におすすめの理由】
男の子ならほぼかならずハマるカブトムシ&クワガタムシ。この書はカブトムシ、クワガタムシを捕まえたり育てたり、逃がしてしまったり寿命で死んでしまったり、と昆虫飼育の一通りのことが網羅されています。クワガタムシの種類も多数登場し、題材自体が興味を持つものですので、必ず真剣に読んでもらえると思います。 また、昆虫とはいえ生命についても考えさせられる内容となっており、多感な少年期だからこそ読んで欲しいと思います。 (何十年も前ですが)私は小学校の図書室でこの本を知り、何度も読み返しました。
72.遊川和彦「さとうきび畑の唄」
内昭和16年、沖縄。写真館を営む平山幸一夫婦と5人の兄弟の家族は楽しく幸せに暮らしていた。しかし、12月8日真珠湾攻撃を境に家族はバラバラに…。平成15年度文化庁芸術祭大賞受賞のドラマをノベライズ。
【読書感想文におすすめの理由】
私も小学生のころ読書感想文の題材にし、今年小学1年生の息子も同じく題材にしました。戦争のことを知る世代が少なくなっていく中、夏休み中の8月は原爆の日、終戦の日など戦争に関しての歴史の重要な日が多いです。「さとうきび畑の唄」は、明石家さんまさんがドラマ化した本でもあります。沖縄戦での激しい戦い、巻き込まれていく国民たち。日本人として忘れてはいけないことを、小学生低学年でも読みやすく、大きい字で書いてくれています。平和しか知らない幸せな世代に、ぜひ忘れてほしくない題材です。
73.田村裕「ホームレス中学生」
麒麟・田村のせつな面白い貧乏生活がついに小説に!
中学生時代の田村少年が、ある日突然住む家を無くし、近所の公園に一人住むようになる超リアルストーリー。
ダンボールで飢えを凌ぎ、ハトのエサであるパンくずを拾い集めた幼き日々から、いつも遠くで見守ってくれていた母へ想いが詰まった、笑えて泣ける貧乏自叙伝。
【読書感想文におすすめの理由】
中学生にしていきなりのホームレスになるという展開。親は何があろうが、子供を養育する義務があるのに、それを放棄する父。また兄弟もいたのに、彼は見栄を張りホームレスになり公園で暮らす。中学生は義務教育なのでありえない話である。現代の子供は夏休みと言えば、エアコンの効いた部屋でゲームしている姿が多い中。外で暮らす中学生なのです。ホームレスになった彼はまず寝るところとして公園を選ぶ。選ぶというよりそこしかなかった。食べ物もろくにない中、生きる現実、明日への不安の中、彼は考える。夏だからよかったのかもしれないが普通ではない。兄弟は高校生などでバイトもでき、弟のことも心配するが日々の生活は大変だった。現代の中学生は自分から遊び歩き、家に帰らない子もいるだろう。だがこの本では夏休みにわくわくしていた中学生がいきなりホームレスという意外な展開と年齢の近さから自分に置き換えられる作品と言える。
74.伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」
屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。
【読書感想文におすすめの理由】
この小説は伊藤計劃の遺作であり、それをプライベートでも仲の良かった円城塔が続きを書いたSFです。舞台の始まりは19世紀のイギリスで産業革命が起こった際に、ゾンビを操ってそれを労働力とした世界。馬車の御者も、兵士も「屍者」と呼ばれるゾンビが行っています。その中で、主人公である、ワトソンが、始まりの屍者を巡る陰謀に巻き込まれていくお話です。情報量が多く、少々難しい話かとは思いますが、昨年アニメ映画となり、またそれ以前にも様々な賞も受賞している本なので、必要以上にとっつきにくい話ではないと考えています。文庫化されているので、手に入りやすいというのもお勧めする大きな理由です。映画と見比べてそれを感想に書くのも良いかと思います。
75.小川洋子「博士の愛した数式」
「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。
【読書感想文におすすめの理由】
難しそうなタイトルで嫌煙されそうですが内容は感動できるものだと思います。家政婦として派遣された『私』が向かったのは記憶が80分しか持たない博士の家、そこで私の息子(ルート)を交えて3人で温かい時間を過ごしていくものです。教えても次の日には忘れてしまっている博士に根気強く話しかけ、大好きだというタイガースの話にもルートは嫌がる事なく笑顔でいて。文章からもまるで本当の家族のように見えてきます。そんな温かい様子を文章から読み取り想像する事ができれば一気に読んでしまいたくなる作品だと思います。感動する作品を読みたい人には読みやすく内容に入りやすい作品だと思います。
76.本多孝好「FINE DAYS」
余命いくばくもない父から、35年前に別れた元恋人を探すように頼まれた僕。別れたときには知らなかったが、彼女は父の子供を身ごもっていたという。複雑な気持ちで当時彼女が住んでいたアパートを訪ねた僕を待っていたのは、若き日の父と恋人だった…(「イエスタデイズ」より)。夢と現実のはざまを行き来するような読み心地で、心の深い場所に余韻を残す4編を収録。新世代の圧倒的共感を呼んだ、著者初の恋愛小説集。
【読書感想文におすすめの理由】
読書感想文を書くにはまず読書感想文を書く本人が本の世界観にきちんと引き込まれなければいけないなと思いました。 私はこの本を読んで本の世界に引き込まれたとても大好きな1冊です。 本の中身としては4編になっています。どれか一つを選んで書くのもありだと思います。 私がこの本をおすすめする理由として作者の作り出す雰囲気がとてもミステリアスでおもしろいからです。今まで読んできた中であまり感じたことのない世界観でした。主人公を含め登場人物にとても興味が沸く物語で学生モノということで自分だったらと置き換えることが出来たり、ミステリアスな部分もあり考えさせられるところもあるのでいろんなネタが出てくる部分でとても読書感想文として書きやすいかなと思います。
77.有川浩「レインツリーの国」
きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。
【読書感想文におすすめの理由】
障害について自分の意見を書きやすいからです。健常者と聴覚障害者との認識のズレや、聴覚障害者でも先天的に聞こえない人と後天的に聞こえなくなった人との違いが物語に絡んで来ます。話のジャンルとしては恋愛なので読みやすく、とっつきやすいというのも理由のひとつです。また視点は主に健常者なので、主人公の考えに同調でき、健常者だから言える言葉にも違和感を感じることが少なく、だからこそ、違ったときの衝撃が強く感じられて、印象に残り、そこから話を広げて行きやすいというのも理由のひとつです。ただ、ある程度障害者についての知識や認識がないとなかなか自分の意見が出てこないので対象年齢が少し高めになってしまうきらいはあります。
78.眉村卓「ふつうの家族」
【読書感想文におすすめの理由】
読書感想文と言えば主に小学生・中学生が中心だと思うのですが、この作品は小学生低学年でも理解することが出来、中学生や大人でも楽しめるような「小難しさがなくシンプルで奥の深い」SF作品となっております。 それでいてライトノベルなどとは違い(ライトのベルを否定している訳ではありません)しっかりとした文学作品です。 更にショート作品をまとめたものでとても読み進め易くありながら全体が一貫して同じ世界観と背景でつながりもあって普段余り本を読むことがなくても最後まで楽しんで読めると思いこの本をオススメします。
79.百田尚樹「永遠の0」
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
【読書感想文におすすめの理由】
太平洋戦争および第二次世界大戦時の日本において、きれいごとではない部分が露呈されているところが、過去の現実と向き合うという意味でよい作品と言えます。なにがきれいではないかですが、戦地に赴く準備をする兵士たちの極限状態を描き、弱い部分が見え隠れする場面があったり、それによって周りと衝突したりする場面があるところです。また、「暗く狭い防空壕」に通ずる「暗く狭い戦闘機」の印象が色濃く残され、現代の「にっぽん」を支えた兵士たちの短い一生を尊ぶ、よい機会になることは間違いないでしょう。
80.山田純大「命のビザを繋いだ男 小辻節三ととユダヤ難民」
命を賭して彼らをナチスの手から救ったもうひとりの日本人がいた。杉原千畝の「命のビザ」を手に日本へ逃げのびたユダヤ難民は6000人。滞在期限はわずか10日間だった。
【読書感想文におすすめの理由】
第2次世界大戦中、ナチスが行ったユダヤ人に対する仕打ちを非道だと思い、ホロコーストから逃げて日本領事館まで来た人に命のビザを発行したのが杉原千畝であるのは有名です。そのビザでシベリア鉄道を使いはるばる日本まではるばる日本までやってきたユダヤ人たちを日本国内で迎え、救うために日本政府に掛け合い海外へ送り出した人物です。今でこそどんな民族であっても人命は大切です。でも、そうではなかった時代に人命を大切にした人たちがいたことを知ることは、様々なことを考えるきっかけになります。また、考えること思うところが多ければ、読書感想文も書きやすいと思います。
81.綿矢りさ「夢を与える」
私は他の女の子たちよりも早く老けるだろう。チャイルドモデルから芸能界へ―幼い頃からTVの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…少女の心とからだに流れる18年の時間を描く。芥川賞受賞第一作。
【読書感想文におすすめの理由】
主人公の夕子は、売れっ子子役。 華々しい人生のスタートから物語りは始まります、芸能人と一般人との格差が生まれ、そこから人生が転落していきます。 この本の一節に「私は普通の子より早く歳をとるでしょう」とあるように、忙しい芸能生活で普通の日常からどんどんと掛け離れ、売れっ子子役となっていく主人公。 芸能人は誰しも一度は憧れる職業です。 最近、芸能人の不倫などでテレビで取り上げられていて、とても身近な話題であるし、一般人が経験出来ないような芸能界の世界観を疑似体験でき、色々と第三者目線で感想が湧き出でくるストーリーで感想分が書きやすいです。 自分を商品として顔で売ってる事、芸を見せている事で収入を得るという事は、プライベートまでも侵されてしまうと言う事がよくわかる一冊です。
82.さとうまきこ「9月0日大冒険」
病弱なうえ、不運も重なって、楽しいことも日焼けのあとも一つとしてないまま夏休みの終わり8月31日を迎えた純は、大好きな恐竜図鑑を眺めて眠りについたところ、いかにも原始的で、荒々しいパワーにみなぎる9月0日の世界に迷い込み、そこで同じように退屈な夏休みを過ごしその世界に飛び込んできたクラスのアイドルの女の子や、無口で乱暴者だと避けられている男の子と出会い、ともに冒険をはじめる。
【読書感想文におすすめの理由】
私が小学生の頃に読んだ本ですがとても夢中になりどんどん読み進めていきたくなる本です。まるで自分も一緒に冒険をしているように共感できるので読書感想文もとても書きやすい本でした。とても心に残っている本なので、実際自分の子供にも読み聞かせたところグイグイと本の中に引き込まれていたようでした。文字数が多いので小学校高学年対象にはなりますが、本が苦手な子でも読みやすい内容になっていると感じるのでお勧めしたい本です。
83.ジュール・ヴェルヌ「十五少年漂流記」
一八六〇年三月九日、少年ばかり十五人を乗せた船が、嵐の中の大海を漂流していた。少年たちは、難破しないよう、必死に大波とたたかったが……。科学小説の父、ジュール=ベルヌの代表作。
【読書感想文におすすめの理由】
無人島に漂流した15人の少年達が懸命に生きていくさまをえがいた小説です。必死に生きようとする少年達のサバイバルと仲間同士の葛藤に引き込まれます。無人島を植民地と捉え、自分たちの大統領を決め、新たなコミュニティーを形成していく過程は面白いです。また、仲間割れからそのコミュニティーに亀裂が入り、殺し合いにまで発展してしまう人間の心の闇もえがかれています。人の持ついい面と悪い面を見事に表現した作品で、読書感想文には最適な作品だと思います。
84.ミッチ・アルボム「モリー先生との火曜日」
スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムは、偶然テレビで大学時代の恩師の姿を見かける。モリー先生は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。16年ぶりの再会。モリーは幸せそうだった。動かなくなった体で人とふれあうことを楽しんでいる。「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」モリーは、ミッチに毎週火曜日をくれた。死の床で行われる授業に教科書はない。テーマは「人生の意味」について。
【読書感想文におすすめの理由】
アイスバケツチャレンジで名前が一般的に知られることになったALSという病気にかかり、余命が短いモリー先生が人生に疲れたミッチに「人生とは何か」を教える最後の授業のお話です。文章自体は難しく書かれていないので、中高生でも簡単に読むことができると思います。感想も心に響く文がたくさんあるので書きやすいと思いました。私は20代で読んだのですが、もし学生の頃に読んでいたのならと思える本です。今後人生で悩むことがあった時にもきっと役にたってくれると思います。
85.伊坂幸太郎「終末のフール」
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。
【読書感想文におすすめの理由】
伊坂幸太郎の作品は伏線回収が鮮やかなミステリーが多いのですが、この作品はどちらかというと非日常の中の日常を描いたものです。何より一番読書感想文として書きやすいのが、「もし自分だったらどうしただろう」ということを思わされるからです。隕石が落ちてくると世界中がパニックに陥り、そこから小休止状態となった中で登場人物たちはそれぞれ生活をしていますが、自分だったらどう生きていくのだろうかということを考えさせられます。このまま隕石が落ちてこないでいたら、と思う人もいますが、中には落ちてくればいいのにと言う登場人物もいるのです。それは私たちの日常に置き換えたら何を意味するのか、でも実際私たちの現実だっていつこの本のようにパニックに陥るのかわからないんだよなと思わされます。
86.岡崎ひでたか「万次郎―地球を初めてめぐった日本人」
漂流に始まる数奇な運命と、幕末に果たした知られざる大仕事!
【読書感想文におすすめの理由】
この本は、歴史上の人物、ジョン万次郎について書かれた本です。歴史の勉強と共に、幕末に生きたジョン万次郎の生きざまから、多くの事を学べる本なので、中学生に是非オススメしたい本です。人生で、逆境とも思える状況でも、あきらめない精神、たくましく生き抜く心、訪れたチャンスを生かし成功をつかむために前向きに考えること、たくさんのことを学べると思います。若いながらに、苦労しつつ成功をつかんだジョン万次郎の人となりを読み取れる本です。
87.黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」
戦後最大のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』。単行本、文庫、絵本の累計は800万部!35カ国以上で愛読されています。本書はその新組版。字が大きく絵も鮮やかになりました!トットちゃんがユニークな教育のトモエ学園で、友達とのびのび成長していく自伝的物語。深い愛情で子どもたちの個性を伸ばしていった校長先生が、トットちゃんに言い続けた言葉「きみは、本当は、いい子なんだよ」は、今も黒柳徹子さんの宝物です。
【読書感想文におすすめの理由】
誰もが知っている黒柳徹子さんの半生です。最初に入学した小学校では問題児だった徹子さんが、素晴らしい学校、級友に出会えたお陰で、問題点だと思われていたことが彼女の長所となり、現在の仕事に繋がっていくという話で、今現在大勢いらっしゃる、発達障害だと言われている子供達、そしてその家族にも大きな夢と希望を与える話だと思います。 特にそういった悩みのない人も、人はそれぞれ違うからこそ面白い、ということがよく理解できると思います。 子供達に是非読んでもらいたい一冊です。
88.神坂次郎「南方熊楠の生涯」
異常な記憶力、超人的行動力によって、南方熊楠は生存中からすでに伝説の人物だった。明治19年渡米、独学で粘菌類の採集研究を進める。中南米を放浪後、ロンドン大英博物館に勤務、革命家孫文とも親交を結ぶ。帰国後は熊野の自然のなかにあって終生在野の学者たることを貫く。おびただしい論文、随筆、書簡や日記を辿りつつ、その生涯に秘められた天才の素顔をあますところなく描く。
【読書感想文におすすめの理由】
粘菌類の研究で日本よりも海外で有名な学者であり、とてもスケールの大きい人物で、また人情味にあふれるところもあり子供たちにとっても、とても魅力的な人物として興味をもって読んでくれることでしょう。海外を放浪後、ロンドンの大英博物館に勤務しながら、貧乏生活を送り苦学しながらも研究に対する情熱を失わず、偉大な功績を残します。また自然を愛し権力にも屈しないひたむきさやユーモア溢れる大らかさは、一服の清涼剤として素直な感動を与えてくれます。
89.遠藤周作「沈黙」
島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。
【読書感想文におすすめの理由】
キリスト教を別の側面からするどく観察しており、宗教に関係ない人が読んでもとてもひきこまれます。 冒頭は冒険小説な雰囲気ではじまってゆき、後半はするどい心理描写があります。 遠藤先生の本の中では私は一番好きです。 クリスチャンの友人の中にもこの本が大好きだという人もいますし、嫌いだという人もいて面白いです。 理想ばかり追い求めて現実から逃れている人が読むときっと心が痛むでしょう。 厳しい現実の中に生きている人が読むとなんとなく心が温かくなります。
90.マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」
ある夜、墓場で殺人を目撃したトムとハックは、恐ろしい秘密を胸に海賊生活をしたり、命を狙われた人を救ったり、真っ暗な洞窟から脱出したり、さまざまな冒険を経験し、すばらしい宝を発見します。
【読書感想文におすすめの理由】
世界的に有名な作品で昔から愛され続けているトム・ソーヤーの冒険は読書感想文においては定番化されてると言ってもよいかもしれません。 しかし人々に選ばれ続けるにはやはり理由があり、それは読み終えたあとに子どもの心を豊かにしてくれるからだと私は感じています。 やんちゃな少年であるトム・ソーヤーを通じて冒険心や探究心、恋やライバルと切磋琢磨して成長することなどを疑似体験でき、それはきっと大人になってからも読んだ本人にプラスの影響を与えてくれるはずです。 なので私は1冊で様々なことを学べるトム・ソーヤーの冒険をオススメします。
91.源和子「奇跡はつばさに乗って」
悲しいとき。つらいとき。くやしいとき。腹立たしいとき。自分の気持ちをおさえきれずに、誰かを恨んだり憎んだりしたことはありませんか。60年以上前、ひとりの少女が自分の死と向き合いながら、小さな千羽鶴の一羽一羽にこめた願い。家族にのこした「ありがとう」の言葉。そのいのりは現代にまでおよんで、恨みや憎しみといった負の感情を人々から取り払い、「思いやりの心」を、くさりのようにつないでいきます。
【読書感想文におすすめの理由】
通訳を生業としているアメリカ在住の著者が、9.11のアメリカ同時多発テロ事件の後、ニューヨークの事件現場にたくさんの千羽鶴が飾られているのを見て「なぜ日本の千羽鶴が?」と思ったことがきっかけで物語は始まります。 千羽鶴は世界では平和を願うためのものとして、その始まりは広島の原爆で被害を受けた佐々木禎子さんが折ったものからでした。 一羽の折り鶴がきっかけで、著者は佐々木禎子さんのお兄さん、トルーマン大統領のお孫さんと出会い、戦争と平和について、今までのことやこれからの事へ考えを深めていきます。まるでサダコの折り鶴がそうしているかのように。 今年、オバマ大統領が広島を訪問され折り鶴を平和記念資料館に寄贈されました。あの日から71年目の夏、この本はこれからの私達のあり方を考える上でも読書感想文にぴったりなのではないでしょうか。ちなみに小学校高学年、中学生、それ以上の方向けに書かれています。
92.宗田理「ぼくらの七日間戦争」
1年2組の男子生徒が全員、姿を消した。河川敷にある工場跡に立てこもり、体面ばかりを気にする教師や親、大人たちへ“叛乱”を起こす! 何世代にもわたり読み継がれてきた不朽のシリーズ最高傑作。
【読書感想文におすすめの理由】
昔ドラマにもなった「ぼくらの七日間戦争」 今の子供たちは知らないと思います。 夏休みを境に中学生22人が行方不明になる事件が発生する。しかし行方不明などではなく中学生が起こした立てこもり事件なのだ!立てこもり事件とともに本当に誘拐事件も発生してその事件をも見事解決するストーリーですが、子供たちと大人たちの闘い、思春期なる少年達の葛藤、現代の子供たちにはない泥臭さな話ですがのめり込みやすく心を打たれるシーンや共感を得ることもできる不思議な話です。 宗田理の「ぼくらの」シリーズはこの七日間戦争から始まって主人公達が大人になるまでシリーズが何作も出ます。少年達の成長もまた見れるこの第1作からオススメです。
93.レイチェル・カーソン「沈黙の春」
自然を忘れた現代人に魂のふるさとを思い起こさせる美しい声と、自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の浸透、循環、蓄積を追究する冷徹な眼、そして、いま私たちは何をなすべきかを訴えるたくましい実行力。三つを備えた、自然保護と化学物質公害追及の先駆的な本がこれだ。ドイツ、アメリカなど多くの国の人々はこの声に耳を傾け、現実を変革してきた。日本人は何をしてきたか?
【読書感想文におすすめの理由】
10年以上前の学生時代に読んだのに、いまだに内容を忘れていません。それだけ印象深い本なので、今の学生の方にも是非読んで頂きたく思います。小学生には少し難しいかもしれませんが、中高生ならば十分読めます。できれば本を購入してきて、興味深い文章に線を引きながら、自分が思ったこと、感じたこと、疑問点など書き込みながら読み進めていくと、読書感想文を書くのが楽でしたし、理解が深まりました。 今でも環境破壊は大きな問題です。環境問題に意識を持つをきっかけになると思うのでオススメです。
94.ダニエル・デフォー「ロビンソン漂流記」
船乗りにあこがれて家出をしたロビンソン・クルーソー。ところが乗った船が嵐にあい、無人島に漂着してしまいます。食べるものも着るものも、それらを作る道具さえありません。狂暴な動物におそわれるかもしれないのです。さまざまな困難に立ちむかい、知恵を働かせて生きた28年間のひとりきりの大冒険。18世紀イギリスで生まれた世界的古典名作!
【読書感想文におすすめの理由】
『ロビンソン漂流記』は船が難破し無人島に漂着したロビンソン・クルーソーの物語です。絶望的な状況に陥っても諦めずに懸命に生きていこうとするロビンソン・クルーソーの姿から、どんな困難にぶち当たっても知恵と勇気で乗り越えていくことの大切さが伝わってきます。この作品は、哲学的な示唆も含んでいます。この無人島には時々ほかの島の原住民が上陸し、捕虜の処刑や食人が行なわれていたましたが、ロビンソンはその原住民を追い払い捕虜を助ける過程で、本当の善と悪は何なのか疑問を持ちます。人を殺し食べることはロビンソンの倫理観で悪だが、彼自身も島の生き物を殺し食べることによって生きている。ロビンソンは自分自身もその原住民と変わらないではないかと考えるようになります。生きる勇気を与えてくれる一方で、生きることとはいったいどういうことなのか考えさせられる作品で、読書感想文にピッタリの本だと思います。
95.クリスティン・ジョンソン、ジェシー、ネルソン「アイアムサム」
コーヒーショップで働くサムは知的障害のため7歳の知能しかもっていない。そんなサムの宝物は愛娘のルーシー。慣れない子育てに奮闘しつつも、ひたむきに愛を注いでいる。優しい仲間たちにも囲まれ、幸福な日々を送るふたりだったが、ある日、悲劇が襲う。父親の知的年齢を追い越してしまったルーシーが学ぶことを拒否しはじめたのだ。心配した担任教師からソーシャルワーカーが派遣され、ルーシーはサムのもとから連れ出されてしまう。もう一度ルーシーと暮らしたい。父親失格の烙印を押され落ちこむサムだったが、敏腕女性弁護士リタとともに、裁判に出ることを決意する。なぜなら、誰よりも自分がルーシーを愛しているから―。はたしてふたりは幸せな日々を取り戻すことができるのか。せつないほどに無垢な愛、親子の絆に涙する感動の物語。
【読書感想文におすすめの理由】
この作品は2001年に映画化されていて、私は映画を見てからこの小説を読みました。 映像として先に見ていたので、その後に読む小説の展開が想像しやすくすらすらと頭の中に入ってきました。小説では映画で描かれなかったラストが描かれています。 このお話は7歳の知能しかない知的障害を持っている父親と、娘が様々な困難を乗り越えながらも多くの人に支えられ生きていく『親子の純粋な愛』描かれたものとなっています。 普段の生活の中で、このような障害を持っている人と関わる機会がない中、この作品に出会い衝撃を受けました。こんなに純粋な親子の愛が存在するのかと心打たれました。 このお話を幸せなものか、そうでないものなのか、受け止め方は人によると思います。つらい状況も多く出てきます。 それでもこんなにしっかり前を向いて生きている、生きていかなくちゃいけない。そう感じ、自分を見つめ直す機会を与えてくれる素晴らしい作品でした。
96.恩田 陸「夜のピクニック」
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
【読書感想文におすすめの理由】
毎年恒例の強歩大会。24時間かけて80kmを歩く伝統行事。3年生の甲田貴子はある決意を胸に秘めていました。それは同じクラスの男子、西脇融に声をかけることです。貴子は融のことを意識していましたが、一度も話をしたことはありませんでした。親友たちにすら伏せられていた貴子の融への想い。それは恋心とは異なるものでした。実は二人は血の繋がりのある兄弟であり親は離婚しています。この歩行祭の間に、さらに、賭けに勝ったら、融と面と向かって自分たちの境遇について話をするように提案するという次の賭けを考えていました。貴子は自分が賭けに勝ちたいのか負けたいのか、わかりませんでした。3年間の学校生活では起り得ない時間を同級生たちが共有します。普段の学生生活ではない時間を隣の同級生の顔も見えない暗闇の中で共有し、物語が進んでいきます。そういったことが後になって大切な思い出、青春になっていくのかもしれないと思いました。
97.ジョン・ボイン「縞模様パジャマの少年」
大都会ベルリンから引っ越してきた見知らぬ土地で、軍人の息子ブルーノは、遊び相手もなく退屈な毎日を送っていた。ある日、ブルーノは探検にでかけ、巨大なフェンス越しに、縞模様のパジャマを着た少年と出会う。ふたりの間には奇妙な友情が芽生えるが、やがて別れの日がやってきて…。
【読書感想文におすすめの理由】
実際に過去に起こった出来事、ホロコーストを題材としているため考えさせられる事も多く、今世界中で起きている出来事と関連させて感想文を書く事ができると思います。戦争、人権、差別、世界平和などに関する自分の意見を沢山書けると思います!明るいハッピーな本ではありませんが、私は学生の頃に書いた感想文で1番描きやすかった本でした。また映画にもなっているので、本を読んだ後に?見てみるといいかもしれません。平和の祭典オリンピックも今行われてますし、悲しい過去の出来事と平和に関連する作品であれば話題性もありいいかもしれませんね!
98.瀬尾まいこ「卵の緒」
僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7’s blood」)。優しい気持ちになれる感動の作品集。
【読書感想文におすすめの理由】
本自体はすぐに読み終わるくらい少ないページ数なので、時間のない人でも1,2時間で読み終わることができるからです。 また、読みやすい内容で小学生から大人まで幅広く楽しむことができる本だと思います。 すぐに読み終わるのに内容はとても深いもので、様々な家族や親子の在り方について考えさせられます。 複雑な母の想い、子の想いがリアルに描かれており、クスッと笑えてホロリと泣ける、誰もが共感することのできる家族の物語です。
99.森見登美彦「恋文の技術」
京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。
【読書感想文におすすめの理由】
この作品を読むと、きっと手紙を書きたくなると思うのです。 まずこの小説はすべて手紙のやりとりで構成されている作品なのです。 登場人物である主人公やヒロイン、まわりにいる人々がどんな外見をしていて、どんな性格で、どんな仕事をしていて、何を学んでいて、どんなところに住んでいて、どんな気持ちでこの手紙を書いているのか、しっかりと描写されているのでとても想像がしやすいです。 また、日々の思いや生活をこんな風に文(ふみ)にすることができるのかととても感心してしまいます。 日本にはこんなに素敵な言葉があるのか、手紙を書くにあたりこんな技術があるのか、大切な人に書いたものを読んでもらいたいな。 そう思わせてくれるようなとても素敵な作品です。
100.宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
祭りの日の夜、いじめられっ子のジョバンニは親友のカムパネルラとともに、銀河鉄道に乗って満点の星空を旅する。悲しくも美しい宮沢賢治の代表傑作!
【読書感想文におすすめの理由】
毎年、夏の夜に読みたくなります。 題名の通り、色んな星座が出てくるので 星空の観察と合わせて読むと グッと物語の世界に引き込まれます。 色んな視点から、感想文が書けると思います。 例えば、主人公中心に書くとか、 途中下車する星座を中心に書くなど。 また、アニメ化等もされているので、 映像を観てから読むと、 よりイメージが湧きやすいと思います。 最後が切なく、少し引きずられる感じが 何ともたまりません。 夏休みに丁度いいボリュームだと思います。
コメント
凄く参考になりました!
ありがとうございます(。>ω<。)